A.山歩き/2.山紀行/白沢峠周辺の山
白沢峠周辺の山
★白沢峠よりツツジ咲く防火帯を経て倉掛山へ★
★自然林の美しい鳥小屋、斎木林道を経て白沢峠へ★
写真
、略図をご覧の時は文字をクリックして下さい。
プロローグ
もう10年も前、三窪高原のツツジを見るため柳沢峠に車を置
いて、三窪高原から防火帯を通って深静峡まで歩いた。
三窪高原は観光客で
ごった返していたが、防火帯の道に入ると今までの騒々しさがウソのように静かで
あった。明るくのびやかな草原の緑の中には朱色のつつじが美しく点在していた。
起伏のある防火帯を歩いていくと、つつじ咲く風景が次から次へと変化しながら展開
して行く。防火帯はその先の遥か倉掛山まで伸びていた。
しばらく後、倉掛山へ三富村経由で白沢峠から登った。そして、
笠取山へどう登るか調べているうち、高橋部落の方からも白沢峠へ行けることが
分り、
略図
に示す林道のゲート付近(P)まで車で入って
歩くようになった。(2000-12記)
白沢峠から倉掛山(1998-6-7歩く)
倉掛山へ登るのは6月上旬から中旬頃である。春、柳沢峠を越えると、
樹間にはヤマツツジやレンゲツツジが咲いており、カラマツ林では春ゼ
ミも鳴いている。今年も山へこれた幸せを感じさせてくれるところである。
落合の先で、高橋、一ノ瀬方面へ左折する。しばらく高橋川沿いに行くと、
右に新犬切峠、一ノ瀬方面への道を分ける。だんだん道が悪くなるが、ところどこ
ろに民家があり、その周りにはヤマツツジや
アヤメ、
コンフリー
などが咲いて山里の遅い春の雰囲気を漂わせている。
やがて道は二又に分かれるところとなる。しかし、メインの道路は真直ぐで、
我々の行く方は右手の林の中の林道である。すぐ林を抜け、草木に隠れて見えない
が右手の川沿いにゆく。
ますます道は悪く、車の腹を摺らないように慎重に行くと、
川に近づき、橋のたもとの広場に着く。そこに車を置いて身支度をして出発する。
左に沢の流れを見ながら樹間の林道をしばらく行くと左手に分れている山道
があるが、それは見過ごして、次の左に分れる山道に入る。枝沢もそこで左から
合流している。
この分岐点には山道の橋が掛かっており、また
略図に示すように太い二又の
ミズナラの木も立っている。
まだ、春が早いので道は比較的ハッキリしている。枝沢沿いに5分も行くと沢は
二手に分かれ、道は左の沢に沿って緩やかに上っている。少しぬかるみのところもあ
るが、難なく通過すると道は沢から右手の斜面にジグザクと登っていく。ある程度
登ると左手に沢を見ながら斜面を緩やかに登っていくようになる。時々落葉の道
からギンリョウソウが覗いたりしている。
そこからは豊な新緑の樹林の中を森林浴をしながら登っていく。森が深く、近く
の山の見通しはほとんどきかない。50分くらい歩くと、上の方に空が見えだし、
また、左手にも豊な樹林の山が見えてきて、もうそろそろ白沢峠であることを感じさ
せる。
やがて新緑のカラマツに囲まれた開放感溢れる防火帯の白沢峠に出る。
そこは三富村から高橋への道と斉木林道が交会う十字路である。
防火帯の真ん中には、在りし日の斉木林道の遺産であるトラックの残骸があるが、
もう自然の中に取り込まれ、周りの風景と同化している。明るい草原にはまだ咲いて
いないがアヤメ、マルバタケブキ、シダ、アマドコロが多い。
本当に懐かしく今年もこれた幸せを感じさせてくれる。
倉掛山へは斉木林道を行っても良いが、防火帯を左に登っていった方が入口が
分り易いので、防火帯を行くことにする。防火帯の新緑の
シダ
の生えている緩やかな道を登ってゆくと、見事な株の
ヤマツツジ
が見られ、足元には小さなチゴユリも見られる。
さらに登ると、防火帯は左側に
下がっている傾斜面となり、左下に斉木林道が通っているのが見える。また、道は防火帯の
右端を行くようになり、平坦となる。余り多くないが、斜面にはレンゲツツジが
点在している。
先を見ると防火帯は一旦下り、それからかなりの勾配で登っているのが見える。
一旦下ったところで斉木林道とすれ違ったところが
略図のC地点である。
防火帯の道を緩やかに下り、C地点から登ってきている防火帯の左端の道を登って
いくようになる。左の樹林の下には
エンレイソウ
が群生している。
防火帯を登りきると急激に落ちているガレ場の先端にでる。視界が開け、左斜め
上に、これから登る倉掛山への尾根が見える。倉掛山への入口はガレの縁の左端の雑
木林に入っている踏み跡がそれである。
雑木林の道は結構きつく、踏み跡も分り難いところもあるが、とにかく右が切れ
ている尾根なので、その右端に沿うように登る。
春の遅い年には、
林床には
ツバメオモト
が咲いていたりして心を和ませてくれ、また、シャクナゲも見られる。
しばらく登ると傾斜は緩み、樹間にヤマツツジがチラホラ見られるようにな
ると、また、防火帯にでる。
これからがハイライトである。
5っのピークを乗り越えながら登っていく。それほど天気は良くないが、
それがかえって風景を幻想的にしている。
防火帯を登っていくと、霧にかすむ
新緑のシダの群生、
さらに、緑の中にコントラストの鮮やかな
レンゲツツジの点景が現われる。
また、防火帯の境をみると
レンゲツツジや満開の
ドウタンツツジの大木が彩りを添えている。
さらに登っていくと
つつじ咲く風景が次から次へと変化し展開していく。
次の期待でときめき、現われては喚声の連続であった。
ツツジの風景を堪能して頂上近くに達すると、フイナーレに
ふさわしく、また、見事な
ヤマツツジの大木があった。
防火帯はピークに達し、左に下っている。倉掛山の頂上は
右手奥の樹林の中にひっそりとあった。樹林の中で見晴らしは
きかないが、もうツツジの風景で満足であった。
(コースタイム)
自宅5:55-勝沼IC7:41−高橋(P)8:40〜50−
白沢峠9:45〜55−倉掛山入口(ガレ場の縁)10:15−
倉掛山
11:15〜55−二又のミズナラの木13:20−
高橋(P)
13:30
鳥小屋から白沢峠(2000-6-8歩く)
高橋の民家の周りにはヤマツツジ、レンゲツツジが咲いている。アヤメはまだ少し
早いようだ。右の林道に入り、ガタガタ道を慎重に走るが、それでも2回ほど腹を
擦ってしまった。ようやく橋のたもとの広場にたどり着き、身支度して出発する。
今回は林道を真直ぐ石保戸山の方に行ってみることにする。運良く斉木林道に
たどり着いたら白沢峠を廻って戻るつもりである。この辺はメジャーでないせいもあり、
この林道は地図にも載っていないし、どこへ通じているかも報告されていない。
とにかく行ってみることにする。
左側の沢のせせらぎや春セミの声を聞きながら行く。林道の道端には蕾をつけた
ヤマツツジが咲いている。やがて白沢峠の分岐になるが、これを見送り、真直ぐ林道
を行く。
森が深くミズナラ、カエデの大木の見られる美林帯である。道端には
ラショウモンカズラ、クリンソウ、エンレイソウ、ヤマツツジが咲いている。
しばらく沢沿いに行くと右手にヘアピンカーブとなり林道は登っていく。
そのうち枝沢と出会う。そこは清冽な流れとなっていて、
クリンソウ
が二本ほど花をひっそりと咲かせている。
道はゆったりカーブしながら登っていく。左手に深い谷が見られ、その向うには
斉木林道が通っているであろう緑豊な樹冠の連なる尾根が見える。また、近くには
ミズナラ、カエデなどの大木が見られ、深山の趣がし、雰囲気のよい美林帯である。
やがてモミの木が現われてくるとようやく傾斜も緩み、前方の道の上に空が開けて、
稜線に近いことを知らせてくれる。
稜線に出ると丁字路
(
略図のB地点)
となって、道標はないが、「水源林−−−」とかすかに読める標識が立っている。
林道は左へ緩やかに登り、右は防火帯のような広い草地が豊な樹林の中を石保戸山方
面へ入っていっている。
石保戸山にも寄ってみたいと思ったが、今回は斉木林道に出ることであるので
左に先をいぞぐことにした。林道はほとんど平坦で10分ほどで斉木林道にでた。
そこは
鳥小屋
であった。「鳥小屋1636メートル」の標識が立っている。右方向の笠取小屋方
面は車のわだちがハッキリし、左の白沢峠方面は落葉と草の道であった。
現在、笠取山付近までの水源林管理のために利用されている車道は高橋から
入る我々の通った林道のようである。
一休みした後、斉木林道を白石峠方面に向う。
緑濃い深い深い樹林の道を延々と行く。歩いて間もなく
ミツバツツジが結構咲いていたが、その後はほとんど花は咲いていない。
道は広く迷うようなところはないが、同じような展望のきかない樹林の道で、
そのうち、贅沢な話しであるが、白沢峠はまだかまだかと言う気持ちになる。
35分ほど歩いて左から山道が合さり、50分ほど歩いたところに道標があっ
た。道はほとんど緩やかなくだりであるが、1時間ほど歩いたところから僅かである
が上りとなった。鳥小屋から1時間25分掛かってようやく白沢峠についた。
明るく開放的な白沢峠にでると、
トラックの残骸がオブジエの
ように樹木と一体となり、周りの風景に溶け込んでいた。
また、草原には
新緑の
シダがまぶしいほどに輝いていた。小鳥のさえずりや春ゼミの声を聞き
ながらゆったりと昼食を食べ、至福の時を過ごした。そののち、高橋へと下った。
このコースは豊な広葉樹林帯の道であるので、紅葉の頃がよいのではないかと
思う。今度は石保戸山と合わせて秋に歩きたいと思う。
(コースタイム)
自宅4:45−勝沼IC6:30−高橋(P)7:30〜40−
石保戸山分岐9:05-鳥小屋9:13〜20−道標10:10−
白沢峠
10:45〜11:30−高橋(P)12:30
(地図)
・昭文社 山と高原地図 大菩薩連嶺
・1/25000地形図 柳沢峠 大菩薩峠
・
略図
●追記
- 倉掛山の記事で、シダ、ヤマツツジ、エンレイソウ、
ツバメオモトの写真は1995−6−3のものです。
- 倉掛山の記事は暖冬の年のものです。例年だとレンゲツツジは
6月20日頃が見頃と思います。
- 略図
のA〜B地点の経路は正確な位置が分りませんので略しています。
しかし、林道は一本道ですので間違うことはありません。
- 三富村の方から登る場合は140号線の白沢にかかる橋を渡ってすぐの
沢沿いの林道が入り口です。林道は大きな堰堤のところまで続いていますが、
沢を渡ったりし、道はよくないので、適当なところの路肩に駐車して倉掛
山まで往復するとよいと思います。白沢峠までの道は結構きついですが、
春にはミツバツツジ、ハシリドコロの花が見られます。