誤りなくキノコを見分ける力をつけるにはフイールドで実際に採取して みることが不可欠ですが、ここではそれが出来ませんので、できるだけリアリテイな写真で説明 したいと思います。そのため図鑑山渓カラー名鑑「日本のきのこ」(1988-11-10発行版) を引用して説明しております。 キノコの季節になると自然保護センターとか林業試験所などでキノコ相談コーナーを開設していますので 、実際に採取して、そこで鑑別をしてもらって見分ける力をつけていってもらいたいと思います。 くれぐれも”疑わしきは罰する”です。自信のないものは絶対採取して食しないことです。 |
シイタケはスーバーとか八百屋で売っているので、良く分かっていると 思います。中国産も多く出回っていますが、野山のシイタケは中国産とは 大分違いがありますので、原木で栽培したものをよく観察してください。 野山のシイタケは春と秋の二回生えます。コナラ、クヌギなどを伐採して杉な どを植林した後の切り株や放置されているコナラ、クヌギなどの木に生えます。 もちろん、ナラの木の自然の倒木にも生えます。20cm位の大型のものも時には見受けられます。時期的には関東地方では3/上旬、11/末頃です。 野山のシイタケは図鑑(P-28,29)のように色が褐色に近いものが多いです。 間違いやすいキノコとしては”猛毒のツキヨタケ がありますので、くれぐれもご注意願います。 ツキヨタケは 図鑑(P-62)にありますように、茎が短かく片側に寄っていますし、最大の 特徴は茎のところを割ると黒いシミがあること です。なお、ヒラタケとの区別もこのシミで行います。 |
イグチ科のキノコは笠の裏が小さい網の目状の孔、管孔があります のですぐわかります。一般にイグチ科のキノコには毒キノコなし、と思ってい ましたが、ドクヤマドリタケ(図鑑P-322)、アシベニイグチ(図鑑P-321)があるようです。 しかし、グロテスクなキノコでハナイグチと間違うことはないです。ハナイグチ は初心者でも余り間違うことが少ないキノコです。 ハナイグチはカラマツ林に生えます。図鑑(P-304)のように笠の上が褐色で ヌメリがあり、笠の裏は黄色で茎も褐色の縞があります。信州ではジコボウと 呼んでいます。この笠の色は褐色ですが図鑑のように濃いものから薄いもの まであります。 山歩きをしてカラマツ林を見回すと結構見つかります。 カラマツは高いところに生えていますので、ハナイグチの生える時期は 標高によって差があります。高いところでは9/上旬、下がってくると9/下旬か ら10/上旬となります。 カラマツに生える食べられるイグチ科のキノコとしてはこの外にキノボリイグチ、 シロヌメリイグチがあります。 キノボリイグチ これはカラマツの木の苔むした根元などに生えます。図鑑(P-302)のように非常に ヌメリが強く、笠の上が褐色の大きな縞状になっています。ハナイグチを狙っていって 時期尚早の時キノボリイグチが生えてたりします。しっかりしたキノコです。 シロヌメリイグチ このキノコは図鑑(P-303)のように白っぽいヌメリのあるキノコですが、虫が入りやすく、 よほど幼菌でないとまともな物はありません。これもハナイグチを狙っていって時期尚早 のとき採れます。 |
カラマツ林に生えるキノコのついでにキヌメリガサも紹介します。これもカラマツ林に生えます。 これは図鑑(P-36)のように小さなレモン色のキノコです。笠の大きさは2〜3cmでカラマツ林に 一杯生えています。笠は最初はこんもりしていますが、大きくなると 真中がややくぼみます。笠と柄に僅かですがヌメリがあります。 取るのに根気がいるので、コンキダケとも云われています。 採取する時はできるだけきれいにとらないと松葉やごみが一緒にくっつき洗うのにも根気がいります。 カラマツの黄葉が始まり、松葉が少し落ち始める頃生えます。天高く馬肥ゆる秋の日、子供連れのキノコ 狩りピクニックはこのキヌメリガサが良いです。とにかく小さいので人海戦術でとらないと日が暮れてしまいそうです。 |
ナラタケはクヌギ、コナラ、ミズナラなどの枯れた木に大抵は群生して株になって生えます。時々地上 まで広がって生えることもあります。大きな株に当たると大きなボール一杯くらいの大収穫になります。 特徴は図鑑(P-94)のように、笠は縁が内側にめくれた形で、真中付近に 細かいササクレがあり、縁には放射状の筋が見える。また、柄にはつばがあり、 根元方向へ褐色から黒色を帯び、根元は若千太くなっている。 間違いやすい毒キノコとしては、図鑑(P-272)のコレラタケ に若千似かよっているので注意を要します。生える場所、ササクレ、放射状の筋、つば、根元が少し太くなる、 などの特徴で比較して識別して下さい。 生える時期は関東の平地に近いところでは10/中旬から下旬 です。キンモクセイの花が咲きだすとキノコの季節になります。 |
モミの木の林に生えます。分かりやすく初心者にとって最初のキノコ狩りによいです。 図鑑(P-393)のように、色が橙色しておって、幼菌は笠の真中が窪み、縁が内側に丸まっています。そして、柄には楕円形の模様があります。 キノコはもろくて壊れやすいです。傷がついたところから朱色の乳液が出ます。少し大きくなると 笠の上は白っぽくなります。 このように際立った特徴がありますので間違うことはありません。また、似た毒キノコもありません。 時期的には標高によって変わります。富士山麓だと9/中旬頃から、近くの里山ですとそれから 1ヶ月遅れて生えます。モミの木さえ識別できれば確実に収穫できます。ただし、モミの木の林は 視界がきかず迷いやすいので注意を要します。 |
クリタケはナラタケと同じようにコナラ、ミズナラなどの枯れた切り株に生えます。大抵は群生して株 になっています。図鑑(P-222)のように、笠はこんもりしていて、色は褐色で真中の方が色が濃く、縁 には幼菌の時は白いササクレがついています。茎は白っぽく根元付近がやや褐色がかっています。 間違いやすいキノコとしては図鑑のP-224にあるニガクリタケです。ニガク リタケはクリタケより小型で華奢で、色が黄色っぽいですから、間違うはずはないのですが、結構中毒 を起こしています。怪しいなと思ったらニガクリタケは名前の通り苦いですから少し噛んでみてください。 噛むくらいでは中毒にはなりません。 クリタケはあまり関東近郊の低い里山には生えません。登山するような山に生えます。時期的には 10月上旬頃です。 |
タマゴタケは本ページのカバーの絵としても使っていますし、図鑑などの表紙などにもよく見受けられ るので、キノコに興味のある方ならご存知と思います。図鑑(P-150)のように笠の表は真っ赤です。縁 には放射状の線が見えます。裏は黄色です。茎は黄色ですが、笠の付け根付近にはハンカチみたいな つばがぶら下っており、また茎全体にわたって黄褐色のササクレみたいな模様が付いています。また、茎の根元には白い ツボがあります。全体的に壊れやすいキノコです。 間違いやすいキノコとしては猛毒の ベニテングタケ図鑑(P-142)があります。図鑑の通りだいぶ違いますから間違うことはないと思いま すが、ベニテングタケの笠の上の白い破片はなくなっていることがありますので、笠の裏とか茎の色で 判断してください。それからタマゴだけには黄色のものもあります。これは毒の黄色のベニテングダケ (図鑑P-142)やタマゴダケモドキ(図鑑P-156)と間違いやすいので採取しないほうがよいと思います。中毒の 事例があります。 タマゴタケは里山にも沢山生えます。9月末頃です。高い山では8月ころから生えます。 |
アラゲキクラゲはニワトコの木の枯れたものに、主に春生えます。ニワトコは野山の森と野原の境とか カヤトの原に春一番にブロッコリーみたいな青々とした蕾を付ける木です。ブロッコリーみたいな蕾は山菜で すが食べ過ぎるとお腹を壊します。 図鑑(P-533)にあるように裏側が白くうぶげのようなものが生えています。形や色が特徴が あるので一目でお分かりと思います。似た毒キノコはありません。 生える時期は関東の里山では3月末から4月上旬です。木の上に生えますので木が適度に湿る雨が降らないとなかなか 生えません。雨が降った後4,5日して探しに行くとよいです。 |