A.山歩き/2.山紀行/・・柳沢峠・雪のブナのみち


柳沢峠・雪のブナのみち


展望台から笠取山方面を望む


柳沢峠・雪のブナの道を行く ('07-04-20)
ソメイヨシノや山桜の残る奥多摩湖から芽吹きやミツバツツジが彩る早春の風景を楽しみながら 青梅街道を柳沢峠へと上って行くと、予想もしなかった風景が現れた。それは雪で覆われた山肌に冬枯れの木立ちが林立する冬山の風景であった。 二日ほど前の里の冷たい雨は山では4月にしては珍しい大雪であった。桜の風景を写そうと奥多摩湖、大菩薩上日川峠、富士五湖などを廻る予定できたが、こういう雪景色に出会う と山好きは落着かない。急遽、予定を変更して 、以前歩いて勝手知っている「ブナのみち」を歩いてみることにする。

国道の向かいの階段を登って小笹の繁る樹林帯に登って行く。今年の冬は関東地方は一度も雪が積もっていない。 久しぶりの雪の感触、初雪の雪野原を駆け回る小犬のようにハイな気分になる。先ほど桜やミツバツツジを写して春爛漫に慣れた目には雪の白さがまぶしい。積雪は深いところで 15〜20cm位ある。世の中、好きな人がいるもんで、ここの遊歩道はいろいろなコースに分岐しているが、既にすべてのコースに踏み跡がついており、全く迷うことはない。
下草が小笹のブナが混じる自然林の雪道を行く。いつも見るあの深緑の笹がいやに今日は黄緑で若葉のように瑞々しく美しい。 新しく一斉に芽吹いてきたのであろうかと思ったくらいである。そんなわけはない、よく見ると、笹の下の雪からの反射光で照らされ、透けているような感じにみえるものであった。 また、15cm程度の積雪なので、笹の葉っぱは埋まることなく顔を出し、その点在する緑と雪のコントラストもまたいい。 雪のない冬枯れの森の山道は、空を仰ぎ見みて、幹や梢のシルエットを楽しむくらいしかないが、今回はいつもは地味な小笹の林床が美しい。
そんな足元の風景を楽しみながら1時間弱歩くと、ブナの道の最高地点のベンチとテーブルの ある展望台に着く。そこからは多摩川の源流部の笠取山など白銀の奥秩父の山並みが連なって見える。実に清々しい。 軽い昼食を済ませすぐ出発する。昼になって気温が上がってきたせいだろうか、森は雨が降っているかのように、木々の枝に積もった雪が溶けて雫になって落ちてくる。やがてブナの大木が多くなる。上を見上げると木肌が雪解けの雫に濡れ、 日に照らされ光り、ほとばしるエネルギーを感じる。ブナ達は、天から恵みの雪を受け、長い冬眠から覚め、芽吹きに向けて力強く活動をはじめたようである。
予定外の雪山のハイキングであったが、今年は暖冬で雪も降らず、ズルズルと春になり、今ひとつ区切りのつかない気持ちであったが、これですっきりしたような気分となった。 これからブナの芽吹き、新緑が楽しみである。


(地図)
・ 昭文社 山と高原地図 「大菩薩嶺」
・ 略 図----最外周の遊歩道を反時計廻りに一周しました。

(コースタイム)
柳沢峠(P)10:52--展望台11:46〜11:56--柳沢峠(P)12:50




















[Canon EOS kiss DN/SIGMA 17-70mm DC にて撮影]