A.山歩き/2.山紀行/・・北八ッ・茶臼山


北八ッ・茶臼山


幻想の縞枯 中小場にて


麦草峠から茶臼山往復('06-09-01歩く)
この日は山梨県塩山の白谷ケ丸に秋の草花でも見に行こうと家をでた。 中央高速相模湖ICへ向う途中パラパラと雨が落ちてくる。天気予報では神奈川県は朝から雨が降るが、山梨県は午後3:00頃からとあった。 それを信じてゆく。笹子トンネルを抜けるとそこは青空だった、というケースが多い。今回もそのように期待していたが、トンネル抜けても 相変らず雨が降っている。右の景徳院の方角をみると雨雲が垂れ込めている。これはいかん、では、長野県なら降っていないだろうと、 茅野諏訪ICへ向うことにする。
そういう期待に係わりなく雨は茅野に近づくに従って強くなる。姫木平を考えたが、それも駄目 そうだ。仕方がない、麦草峠→八千穂高原→清里→小淵沢アウトレットとドライブしながら帰ろうと決める。麦草峠についた。 少し小降りになってきた。この日は変な天気である。雨が降っているのに見通しはよく、山々ははっきり見える。この分だと 雨が上がるかもしれないと思い、折角来たのだから茶臼山往復することにする。

これには二つの期待があった。それは、 '04-09-11に縞枯山に登った時、途中の中小場でガスに煙る縞枯の林立に出会った。もう一度是非出会いたいものだと思っていた。 もう一つは、同じ時、茶臼山の舞台のような断崖の展望台に行ったが、ガスで何も見えなかった。今度は是非晴れてもらって、 そこから縞枯山の縞枯を写したいものだ、という期待である。
雨対策の完全装備して出発する。相変らずポツリポツリ雨が降っている。ゴロゴロ石のシラビソやコメツガの森を抜けて待望の中小場に躍り出る。 雨がぱらついているのに、期待に反してガスは流れてこない。後ろを見ると、手前の樹海と幾重かの山の重なりの彼方に独特の双耳峰の天狗岳がクッキリと 見える。ここでガスって、茶臼山の展望台で晴れる、こんな虫のいい話はないかもしれない。あっさりあきらめて数枚写真を写して展望台に期待を込めて先に進む。
一旦少し下って水溜りの多いシラビソやコメツガのフラット道をゆくと、やがて直線道の急登となる。あえぎあえぎ30分位登ると 開けた縞枯地帯になる。眼下の箱庭のような風景の中に赤い屋根の麦草ヒッテが見え、その上に天狗岳がクッキリと見える。そろそろ茶臼山である。期待できそうだと 最後の登りを頑張る。山頂についても休まずすぐ左へ、シラビソ林の展望台への道に入る。
5分ほど行くと前方が舞台に立ったように開ける。 正面の中央アルプスの前面には雲海が漂い、右の蓼科山の麓まで延びている。左を見ると眼下の樹海のはるか彼方に天狗岳が青く横たわっている。 手前の右手には雨に濡れた岩峰が立ち、その後ろには待望の縞枯れの風景が展開しているのではと気になる。雲海など一通り写した後、岩峰に 立ってみる。縞枯山が正面にあり、山肌に縞枯模様も見られるが、光の加減であろうか、縞枯れがいまひとつ精彩がない。少し、がっかりしたが、これも出会い 、雲海の広がりが見れただけでも幸せと思いなおす。雲海を再度眺めながら軽い昼食を取り、その後下山する。
茶臼山の直下の縞枯地帯に来たところ、眼下の麦草峠の右辺りから白い雲が左へと上昇しながら流れている。今は幸いぽつりぽつりの 雨であるが、あの雲が来たら本格的な雨になるかもしれないと、少し写真を写した後、急いで下る。思ったより早く中小場に着く。
そして標識の立つ岩場に登ったところ、 待望の縞枯れの木立ちにガスが流れてくる。あきらめかけていたので、なんと運がいいんだろうと思う。 流れて来るガスの濃淡で縞枯れの木立ちはいろいろな風景に幻想的に変る。幸せな気分でシャッターをきる。写真の出来なんかどうでもいい。今、この時、この風景に対峙して シャッターをきっていることが最高の幸せだと思う。風景がいろいろと変化するので写していると際限ない。連れの「もういいでしょう」という言葉にようやく我に返っておしまいにする。

この後、八千穂高原に向う。もしかしたら霧の白樺林が写せるかもしれないと期待する。しかし、そんなにいいことは続かない。 すっかり青空が出てきた。花木園の傍に車をとめて園地の様子を見てみる。もうシーズンオフであろうか、管理人は不在である。 しかし、百花繚乱である。綿毛を出してもまだ咲いているヤナギラン、アキノキリンソウ、ワレモコウ、リンドウ、ツリフネソウ、 タムラソウ、ハンゴンソウ、野菊・・・などなどである。見ているだけで幸せな気分になる。雨に降られたがいい一日であった。


(地図)
* 昭文社 山と高原地図 「八ヶ岳--蓼科、霧ヶ峰、美ヶ原」

(コースタイム)
自宅5:32==茅野諏訪IC8:30==麦草峠(P)9:55〜10:10--大石峠10:33--中小場10:56〜11:10--縞枯地帯11:47〜50--茶臼岳12:00--展望台 12:05〜25--茶臼岳12:30--縞枯地帯12:37〜50--中小場13:12〜30--大石峠13:45--麦草峠(P)14:08





中小場からの天狗岳(上り)





縞枯地帯からの麦草ヒッテ(上り)





展望台からの雲海





展望台からの雲海





展望台から縞枯山、横岳、蓼科山




展望台からの天狗岳




茶臼山直下の縞枯地帯(下り)





ガスに煙る茶臼山





中小場の縞枯れ風景





幻想の縞枯1




幻想の縞枯2





幻想の縞枯3





八千穂高原の花、アキノキリンソウ

八千穂高原の花、ツリフネソウ

[CANON EOS Kiss DN /SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]