角取山(04-01-05歩く) 角取山(つのとりやま)とは、昭文社の山と高原地図の「富士・富士五湖」でいうと、山中湖の上の籠坂峠近くの 立山(たちやま)という山である。角取山ともいうとある。山渓のガイドブックは角取山である。 また現地の分岐点のあざみ平の道標は立山となっていた。 どの山名を採用しょうか迷ったが 富山県の立山と紛らわしいので角取山とした。 しかし、これでもまだ紛らわしい。近くにある大洞山は別名角取山と昭文社の地図にあり、さらに、 あざみ平の道標は大洞山が角取山となっている。道標、地図を見るときは十分注意が必要である。 あざみ平から右に分岐する山があることは以前から現地を通って知っていたが、何山であるかも 関心がなかったし、ましてや登ってみようという気持もおこらなかった。しかし、昨年末に「ブナの森探訪」というテーマで今年はブナ の山を意識して登ってみようと思い立ち、本などを調べているうちに、予想外な身近なところ角取山にブナの大木があることを知り 、今回登ることを思いたった。 籠坂峠の山中湖村の公園墓地の駐車スペースに車を置いて出発する。振り返ると 真っ白な富士山が顔半分くらい山から顔を出している。冬枯れのブナを前景に富士山を写したいものだと 思いながら歩いて行くと、ゲートがあり、山道入り口になる。 そこには物騒な張り紙があった。「熊出没注意」の張り紙である。こんなところまでと驚いた。 昨年の秋はよほど山の幸が不作だったのだろうか、今まで出たことがないところで出没している。 私も2回昨年の秋は出くわした。今は冬眠しているだろうからと思い、安心して火山灰の山道を進む。 この道はあざみ平まで変哲もない雑木林の道であると思っていた。今回ブナの大木を見ようと思って 来たせいかいやにブナが目につく。予想外に、雑木林らしき林にはブナの若木が多い。 丹沢とかでは酸性雨で立ち枯れが問題になっているが、ここではそういう心配をよそにすくすくと育ってい るようである。もう50年もすると立派なブナ林になるような気がした。緩やかに登るにしたがって北側の斜面とか 山道の溝は雪が残っていて、その純白が新鮮で、美しい。真っ白な富士山は木立の間に後になったり右 になったりついてくる。 やがて山道はピークに達し緩やかに下り始める。正面には大洞山が冬木立の間に望まれ、右斜めのからは朝日が 低くまぶしく樹間からさし込んでくる。 そして左側がガレ場となり開けてくると、あざみ平となり、色鮮やかに 書き込んだ道標が立っている。 ![]() ![]() ![]() < ブナの道 > 下りだすとすぐ左手に逆光に黒々と立つブナの巨木が3本ほど現れた。早速、銀塩カメラを取り出して 写すことにする。ブナは根元付近から枝分かれしたずんぐりしたブナである。東北のブナはスラリとして 葉っぱが大きいらしいが、関東のブナはずんぐりむっくりで葉っぱが小さいとのことである。そのような 様相である。 一通り写し終えて、富士山方向を見ると出発の時より雲が多い。ブナの冬木立にかいま見える富士山を 写すのが今日の目標であったことを思い出し、富士山方向にカメラを向けるが、木が邪魔してブナを 前景というわけにはゆかない。富士山がやっと雲から顔を出したので、あわてて何の木か分からないがとり あえず念願の冬木立の間から富士山を写す。すると間もなく富士山はすっかり雲の中に入ってしま った。今日はブナ一本で行くしかないようだ、と覚悟決めて広々と見とおしの効く樹林の道を下って行く。 ダケカンバだろうか、荒々しい木肌の大木が目立つ。鞍部に達すると字の消えかかった手製の道標が 立ち、右斜めに踏み跡が樹林の中に消えていっている。これを見送って緩やかに登ると、左手に ブナ、ダケカンバの大木の立つところとなる。大木の幹の苔が朝日に照らされ黄金色に輝き、ベージュ一色 の冬景色に彩りを添えている。ここでも写真を写す。 苦労するまでもなく頂上らしい平らなところに達する。だが、ここにも道標は無い。 あれだけあざみ平の道標にはっきり立山とかかれているのだから、標識くらいあるだろう、と左に直角 に曲がり、緩やかに下って行ってみる。するとまた左手奥に2本のブナの巨木が立っている。 ここの山の主のようである。 山の主の写真を写し終えたので、余裕も出てきて考えてみるに、どうもさっきのピークが立山、すなわち 角取山に思えた。道は先に緩やかに下っている。もっと巨木があるかも知れないし、標識も気がかりだ、 下って見ることにする。 少し下ると周りの木々は潅木に変わり、先にモミの木の林も見えてくる。もうブナは期待できないような雰囲気であるが 先々どういうところなのか下ってみることにした。モミの木の林に入ると林を抜けたあたりに標識が見える。 その標識は標石の標柱で、そこは1/50000地形図「山中湖」の1308.6mの標高点であった。 これですべてクリアーになった。直角に曲がった山頂は立山すなわち角取山であることが断定できた。 標高点とはいいとこにあるものだ、とつくづくと今回思った。標高点の南側は潅木の林が切れ、カヤトの 原となり、何も遮るものは無く目の前に富士山が大きく横たわっている。余りもの絶景に息を飲み込んだ。 ここは富士山を見るために出来た自然の舞台のようである。山頂は雲で覆われている。雲はゆっくりと右の 方に流れて行く。三脚を立てて待ち構える。 まるで舞台の幕が開くように雲はゆったりと流れて行く。 かたずを呑みながら見つめる。しばらくすると、とうとう雲が切れてきた。本当に絶景であった。 しばし、この上ない至福の時を過ごさせてもらった。新春から富士山に感動させてもらい、幸先良い初山行であった。 ![]() 畑尾山のブナの巨木 ![]() ![]() ![]() 立山(角取山)のブナの巨木(ソフトでカラーを削除) ![]() 立山(角取山)のブナの巨木(ソフトでカラーを削除) ![]() 立山(角取山)のブナの巨木 ![]() 1308.6m標高点の標石と標柱 ![]() 1308.6m標高点からの富士山 ![]() 1308.6m標高点からの富士山 ![]() 帰り見かけたブナの木肌模様 ![]() 帰り拾ったブナの実
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