A.山歩き/2.山紀行/・・花嫁街道・鳥場山


花嫁街道から鳥場山
( 266.6m )

菜の花畑と花の温室


花嫁街道から鳥場山 ('08-01-19)
昨年の今ごろ、このロマンテックな名前のハイキングコースを知った。行こうと思ってホリデーパスの効く土日の天気の様子を窺がっている うちに、水仙の咲く時期を逸して、結局、行かなかった。昨年末、友人から、歩いてきた、マテバシイの林が見事であった、という便りをもらった。また思い出して、マテバシイの林にも引かれて、 今回歩いてみた。

いつも車であるので、たまに電車もいいかな、とホリデーパスを利用して行く。 山は早いほうがいい。最寄の駅、朝一番の電車に乗る。戸塚で東海道線から千葉へ横須賀・総武線に乗り換える。 それから、内房線に乗り、舘山でまた乗り換えて、やっと和田浦に着く。この時間実に4時間30分。帰りは外房線利用し、安房鴨川、千葉、戸塚、と廻って帰ってきた。 これも約4時間半、実に9時間も電車に乗った。
お蔭で、意外に内房線から富士山が海の向こうに大きく見えること、大型船が 航行していること、スタジイなど照葉樹が多いこと、房総の春は早く水仙や菜の花がもう咲いていること、などなど、房総の実際を確認できた。また、ついていたことに、デコイチの試運転にも出会えた。

和田浦の駅で下に添付したマップをもらって出かける。要所要所に道標があり迷うことはない。ハイキングコース入口を過ぎると、これから向う山並が開けてきて、 田んぼとその畦道や川の土手のには水仙や菜の花が、畑にはポピーが咲き、所々に点在するビニールハウスの窓からはキンセンカ、カーネーション、ストックが咲き出したのが見える。 今日は北風が冷たいが、房総の春はもうそこまで来ているようである。
やがて左に渓谷のような川を見て行くと、左、花嫁街道、右、花婿コース・黒滝、への道の分岐となる。ここでは、どちらから廻っても同じであるが、 もらったマップにしたがって左の花嫁街道の方から行くことにする。 すぐトイレと駐車場のあるところとなり、立派な花嫁街道入口の標識の立つところからいよいよ山道が始まる。
左側が杉林で、右側がマテバシイの斜面を階段で登ってゆくと、すぐマテバシイが覆いかぶさるような急斜面をジグザグと登る。 高度を稼いだので振り向くと眼下に海が見えてくる。それからすらっと林立した杉林を行く。 杉の幹の下の方はルーズソックスでも履いたようにツタが絡み、暖かい房総の独特の風情を漂わせている。入口から15分も登ると勾配も緩み、スタジイの混じる杉林 の山道を緩やかに登ってゆく。そしてさらに約10分余行くと、余り展望の効かないベンチのある第一展望台につく。
この後、マテバシイやスタジイのトンネルを行く。房総の山は丹沢などに比べると植生が違う。アオキ、スダジイ、 マテバシイ、さらに孟宗竹と杉、ツタなど常緑の森で薄暗い。しかし、ジメジメした感じでないのがいい。スタジイとマテバシイ、どちらがどうなのかさっぱり分からなかったが、 所々、大木にスタジイというプレートが掲げられていて、ぶな科と知った。そういわれればブナのような樹形をして、相当な大木になるのには驚いた。
そして15分余行くと海の見える第二展望台にでる。薄暗い常緑の森を歩いてきたので開放感がすばらしい。小休止して出発すると左側が待望のマテバシイの純林となる。細いすべすべしたマテバシイが竹林のように林立している。 初めて見るマテバシイの純林である。ブナの森だけが森でない、暖かい照葉樹の森も捨てたもんじゃないと改めて自然のすばらしさに感心する。それはそれは見事な林が続く 。竹林を写すようでポイントがなく、数打ち当たる主義で、ショットを重ねながら進む。
マテバシイの純林を過ぎると右が開けてきて 鳥場山はあの方向、であるという意味の標識が立っている。ピークの目立たない山並みで鳥場山ははっきりしないが、これからまだまだ廻りこんでゆかねばならないんだと気を引き締められる。
さらに先ほどより葉っぱの多いマテバシイのトンネルを行くと大木の根に抱え込まれた経文石を通過する。また、杉の多い道を行く。 そして珍しく急登すると自害水となる。といっても右側が水もない沢の源流という感じのところである。それからは右側が割合と開けたところを廻りこみながら行く。そしてまたスタジイやマテバシイの森に入って行くと馬返し というところに到着する。経文石から約30分である。少し開けて鳥場山の方が見えるが、変わり映えしないのでパスしてさらに行く。
さらに10分ほど所々開けたところもあるスタジイ・マテバシイの森と杉林を行くと、右側が大きく 開けたベンチの並ぶ見晴台につく。団体さんが休んでいて、休む場所もないので先に行く。5分も行って階段を急登すると左側が開けた ピーク第三展望台につく。北風強く寒く長く休んでいられない。小休止して先を急ぐ。左斜面にマテバシイの大木が並んでいるところを過ぎるとまた階段となり、登りきると小さな花嫁の石像の立つ展望のよい鳥場山に到着した。
富士山と房総の山々の方向標識も立っている。また、新日本百名山ともある。生憎富士山は霞んで見えない。房総の山は見えているが、顕著なピークでないのでどれがどれか分からなかった。北風が冷たい。脱いでいたヤッケを着こんで 昼食とする。誰もいなかった山頂であったが、そのうち休んでいた団体さんや、反対方向からのパーテイが登ってきて、山頂はにぎわった。いずれも富士山が見えないのを残念がっていた。

ここからの下りは花婿コースという名前になっている。 杉林に時々スダジイの混じる山道で、花嫁街道より木々の華やかさはない。一箇所スダジイの大木があったがただただ黙々と下る。20分も行くと旧鳥場山展望台に着いた。 鳥場山の方向標識が立っている。谷を隔てて鳥場山が見えるのでどういうルートでここに来たのだろうと不思議に思うところである。ここからも杉林に時々スダジイの混じる山道である。 また、黙々と20分ほど行くと左手が開けてきて、その先まもなく、大木のシルエットが美しい展望のよい見晴台に着く。ここは光る海がまじかに見えてなかなかのビユーポイントである。
ここから階段を2,3分急降下すると、 また杉の多い山道ではあるが、時々空が見えて明るい感じのところを行く。珍しくスダジイとマテバシイのトンネルが現れ、階段を登ると 左側が開けた金毘羅山に到達する。ここからマテバシイの多い山道を急降下する。10分弱行くと広場に降り立ち、右花園林道、左黒滝の分岐となっている。 ここは左に行く。すると木製の立派な手すりや踊り場のある階段で黒滝の滝つぼへと下る。途中、向西坊入定の窟もある。
見あげる切り立った岩の壁に囲まれた空間の一箇所から落差15mの黒滝が足元に流れ落ち、渓谷を花園広場の方に流れて行く。山道は天井を覆う木々の緑を写し込んでいる流れに沿って行く。やがて渓流から離れ、山茶花の花の咲く花園広場に到着する。
ここには道標にしたがって和田浦駅の方向、右に行く。やがて、花嫁街道と花婿コース・黒滝、分岐に合流する。ここからは朝方通った道を駅へと戻る。駅に着いたところSLが来るというので大勢の人が駅に集まっている。 すぐ乗れる電車もあったが、一電車遅らせてSL見学をすることにする。SLは試運転とのことで、客車には人は乗っていなかった。これから房総は春本番、菜の花の咲く房総の早い春をこのSLが颯爽と走るのであろうか、と想像すると、にわかSLフアンになったのであろうか 、うきうきしてくる。


(地図)
・1/25000地形図「安房和田」
・略図 花嫁街道ハイキングコースマップ

(コースタイム)
和田浦駅9:25--ハイキングコース入口9:45--花嫁街道入口10:02--第一展望台10:31--第二展望台10:47--経文石11:01--自害水11:12--駒返し11:30 --見晴台11:44--第三展望台11:50--鳥場山11:59〜12:20--旧鳥場展望台12:40〜42--見晴台13:07〜13--金毘羅山13:25--花園林道分岐・黒滝上13:33 --黒滝13:37〜40--はなぞの広場13:47〜51--花嫁街道・黒滝分岐13:56--和田浦駅14:34







マテバシイの純林を行く





黒滝











[ CANON EOS kissDN / EF-S17-55 IS USM ]