A.山歩き/2.山紀行/・・毛無山


天子山塊・毛無山


毛無山山頂のお花畑


天子山塊・毛無山('06-08-17歩く)
お盆は高速道路が込むのでジッとしていた。お盆も明けて、そろそろ込まなくなる頃だろうと、 どこか近場の山に登ってみることにした。お盆の頃は1500〜2000m位の山、たとえば櫛形山、飯盛山など夏の花が結構咲く。近場でそういうところがないかと 調べていて、毛無山から大見岳にかけて夏の花が多く咲くことを知った。
何回となく朝霧高原を歩いて、屏風のように迫ってくるように感じた毛無山から雨ケ岳の連なり。 地図を調べると、標高差が約1000mあり、本格的登りが稜線まで2:15とある。年も年だし大丈夫かなと思ったが、先だって同じ富士山周辺の山、登り2:40とある雪頭ケ岳 に登ったので大丈夫だろうとでかけてみた。

東名を裾野ICで降りる。富士サファリを目印に469号線に入り、十里木を過ぎて今度は白糸の滝を目印に走る。 富士山五合目への道を横断し、白糸の滝の手前、上井出ICから139号線に入る。そしてようやく顔を出し始めた富士山 を右斜め前に見ながら走ると富士グリーンパーク入口になり、そこを東京農大農場の方へ左折する。
東京農大農場は富士山の撮影スポットである。台風10号の影響で雲が多く富士山が顔を 出すかどうか分からないこのような日でも、4,5台車がとまっている。停めて写したいと思うが、上に登ったらもっといい富士山が写せるだろうと先を急ぐ。突き当たり、左に行くと一日500円の無人有料駐車場に 到着する。

標高差1000mの日帰り登山は八ヶ岳の編笠岳、西岳以来である。いずれも苦戦しているので、あせらずマイペースで 覚悟して登ることにする。林道を行き、沢を渡り、地蔵峠方面との分岐を過ぎると杉の植林帯の本格的な登りとなる。 分岐から12,3分登ると毛無山一合目の標識が現われ、コナラなどの自然林を登って行く。やがて「はさみ岩」という看板が出てきて 狭い岩の間を登って行く。この後も石の多い道を登って行く。やがて二合目の標識が過ぎると不動の滝展望台に達する。
谷を挟んだ向こうの尾根の緑の斜面に一筋の白い流れが見える。中間にも滝壷があり二段となっている。滝は絶え間なく瀑音を谷間にひびかせて水しぶきを上げて落下し、 砂時計のように今の時を刻んでいる。不思議である、瀑音がするのに静寂を感じる。
小休止後出発する。農場付近で見えた富士山が見えないものかと気になるが、樹林は切れることなく続く。 たまに樹間に富士山のかすかな輪郭が見え、まだ顔を出していると安心する。やがてロープのある岩場(以下ロープであるが鎖場とした)に差し掛かる。岩場というと開けた所が多いが、 毛無山のそれは樹林帯の中である。そして山道は勾配を増し、角ばった大石の多い道が続き、時々鎖場が現われる。
地形図の等高線が乱れることなく稜線まで刻み込まれていることから予想したが、フラット道はほとんどない。それに、角ばった大石の道に時々鎖場が混じる道がほとんどであるので、 マイペースのステップが取れない。岩や木やロープにつかまったりして強引に登らなければならない。最初のうちはよかったが、だんだんと疲れてくる。
六合目くらいから山道脇にシモツケソウ、アキノキリンソウ、マルバタケブキ、コウヤボウキなどの花が時々現われて慰めてくれる。 兎に角、登らないといつまでも着かないと思い、のろりのろりであるがあえぎあえぎ登って行く。八合目が過ぎ、大きな鎖場を越えると 富士山展望台に達する。登っている時の樹間の霧の様子から期待はしていなかったが、予想道り目の前は霧であった。
ここから10分余登るとやっと九合目に達した。 大体一合約20分位かかる。それからすると、稜線も山頂も間もなくであると思い、元気が出てくる。5分ほどで、稜線にでて、地蔵峠からの道と合わさった。そこは マルバタケブキの黄色い花が咲き、アサギマダラが舞う、樹林帯にポッカリとあいた小空間であった。
写真を写し、樹林帯を右に進む。フラット道でようやく生き返った気分となる。 すぐ、岩場の北アルプス・南アルプス展望台となるがガスっているのでパスしてそのまま進む。やがて10分余行くと樹林の先が 明るくなり、黄色い花が咲き、蝶が舞っている風景が飛び込んでくる。そこはマルバタケブキ、シモツケソウ、チダケサシ、シシウド、などが咲き乱れて、アサギマダラが乱舞している毛無山山頂であった。 晴れていれば富士山が見えるらしいが、生憎、ガスが流れてきて見えない。

まだ早かったが山頂で昼食を取り、その後、ザックを置いて、大見岳の方に偵察に行ってみる。薄暗い樹林の道に入り5分も下ると、富士山側が開けたお花畑に突然でる。 そのような風景があるとは予想だにしなかったので感動ものである。下からガスが絶え間なく上がってきて、マルバタケブキ、シモツケソウ、シシウド、コウリンカ、ヨツバヒヨドリ、 アキノキリンソウ、ハンゴンソウ、テンニンソウなどの咲くお花畑を幻想的に演出する。それに、アサギマダラが乱舞している。
50mも行くと樹林となり、それを抜けると、またお花畑である。 そういう繰り返しを4回ほど繰り返しただろうか、大体、毛無山の最高地点付近まで来たと思えたし、同じ様な繰り返しなので引き返すことにした。本当に原始のお花畑という雰囲気である。 いつまでも残っていて欲しいものだと思いながら引き返す。
山頂に戻ると若いカップルが登って来ていて休んでいた。先ほどのお花畑のことなど話ししながら小休止する。そうこうしているうちに疲れも取れてきたので、 元来た道を下山することにする。長い長い角ばった大石の多い道が続き、時々鎖場が現われる。若いときは石があってもトントントンと飛び渡る感じで下山できたが、今は年も年、一歩一歩、確実に足を地に 付けないと下れない。スリップや転倒ということでは登りより下りのほうが危険性が高い、なおさら慎重になる。
気が抜けない下山、時々休みを兼ねて立ち止まって振り返る。結構急な勾配、よく登ったものだと感心する。 こんなことを繰り返し下り、ようやく不動の滝に到着し、ベンチに座って一息つく。ここから一気に下り、無事駐車場に着いて山歩きを終えた。タオルやシャツは汗でぐっしょりである。 持参したTシャツに着替える。いい汗を流した、もう汗も出尽くしたのか爽快である。


(地図)
* 昭文社 山と高原地図 「富士山 2006年度版」

(コースタイム)
自宅4:12==東名厚木IC==裾野IC5:25==麓(P)6:25〜6:37--地蔵峠分岐6:49--不動の滝展望台7:20〜28--五合目8:39--八合目10:06〜15 --稜線地蔵峠分岐10:50--毛無山山頂およびお花畑散策11:01〜12:01--地蔵峠分岐12:11--五合目13:37--不動の滝14:40〜46 --麓(P)15:30






不動の滝




山頂のお花畑




以下、毛無山山頂〜最高地点間の花風景



















[オリンパス E-20 にて撮影]