滝 子 山
米背負沢から大谷ケ丸を経て富士山展望の山滝子山に登る


滝子山から、手前の山は三つ峠山


米背負沢より大谷ケ丸・滝子山(03-12-04歩く)
なぜ、滝子山は米背負沢からなのか。最近までこのルートは想像さえもしていなかった。
11月に米背負沢から南大菩薩のハマイバ丸に登って、南大菩薩の山で残るは大谷ケ丸だけとなった。 大谷ケ丸は米背負沢から1.5時間で行ける。それだけではもったいないので、 富士山展望の山、滝子山まで足を伸ばすことにしたのが今回の米背負沢からの理由である。










< 初冬の米背負沢 >

7:30に米背負沢出合の駐車場を出発した。冬の低い朝日は米背負峠の尾根に さえぎられて、沢は寒々としている。しばらく登って行くと沢を取り巻く周りの山々の上の木々が朝日で ピンクに染まってくる。そして米背負峠に近くなってサァーと木々に日が差し込んできた。 帰りは大谷ケ丸方面から斜光が差し込み、やがて陰っていった。
ルートの紹介は「米背負峠からハマイバ丸」で紹介しているので省略する。ただし、沢の水に濡れた 石が薄く凍り付き滑るのでステッキを使い慎重に徒渉する必要がある。


















朝日が差し込んで輝く米背負峠近くの木々





大谷ケ丸北峰と夕日に輝く米背負峠近くの木々





夕日で長い影を落とす米背負峠



< 樹林の道 米背負峠〜大谷ケ丸 >

米背負沢出合いから約一時間ほど歩くと米背負峠に着く。周りの木々の枝は低い朝日を浴びてちかちかと光り輝いている。 その中を大谷ケ丸へ右に登って行く。大谷ケ丸はハマイバ丸方面から見ると双耳峰に見え、右の方の北峰が 高く見える。主峰の南峰が奥まっているので北峰が高く見えるようである。
5分も登ると雰囲気の良い 平らな樹林の広場となり、冬枯れの木立越しに北峰が望まれる。すぐかなりの急斜面の登りが続く。 あえぎながら登りきると双耳峰の鞍部に到達する。大きなサルノコシカケを付けたブナやダケカンバの大木が立っている。 道は鞍部から左に緩やかに登っていっていく。美しい樹林の道である。やがて滝子山方面の標識のあるところに 到達するが、ひとまずすぐ先の大谷ケ丸山頂に向かう。山頂は樹林の中で見晴しはほとんど効かないが、 南面が少し開けて雪の被った南アルプスが望まれる。富士山は見えないか見まわしてみるが、周りの樹木の 間に白くそれと分かる程度で、葉っぱのある時期ならほとんど見えないようである。小休止してすぐ滝子山へと向かう。



苔むす倒木





冬木立より望まれる大谷ケ丸北峰





大谷ケ丸鞍部のサルノコシカケ生えるブナの枯木立





大谷ケ丸鞍部のブナ





滝子山分岐の道標、戻り登ってくる時写す










大谷ケ丸からの南アルプスの山並み



< アップダウンの道 大谷ケ丸〜滝子山 >

大谷ケ丸から滝子山へは20m位戻って道標のところから右に急降下する。今まで登ったのがもったいないし、帰りの登りを 思うとうんざりする。だいぶ下ったように思えたが時間にしては5分程度である。 下る向こうにピークが見えまた登り返すことになる。こういうことを何回繰り返したであろうか。ノートにメモっておい たが同じような繰り返しなので良くわからなくなった。1/25000の地形図を見ると大谷ケ丸と滝子山間には 5箇所もピークがあり、それを登り下りしたことになる。それほどきついピークでないが、本当に登れども登れどもまた下るであった。
南大菩薩の風景からして、このコースに期待をもっていた。しかし、山道の右側は植林したのであろうかカラマツ林で、左側はミズナラ 、コナラ、ダケカンバ、時にはブナの混じる自然林であり、ピークは決まってモミなどの黒木の混じる ところとなったが、ほとんど目をみはる樹木はなく、さらに見晴しは効かず、期待はずれであった。その中で1ヶ所だけアモウ沢乗越のあたりはブナの大木があり 雰囲気の良いところであった。カラマツの若木とカヤトの道になってようやく笹子からの道と合わさった。 大谷が丸から一時間である。
ここからはゆるやかに5分ほど登ると小さな鳥居と祠のある鎮西ケ池 に着き、さらに少し急なところを登ると尾根に出る。ここには道標があり、左初狩、右山頂とある。 この道標にしたがって右に急登すると滝子山の標識の立つ山頂に達した。南アルプス方面が木々でさえぎら れ若千見通しが効かないが、期待はずれのアップダウンの道を帳消して余りある大展望であった。 富士山も写真のようにバッチリであった。後を振り返ると、大谷ケ丸を発した南大菩薩の尾根が白谷が丸、黒岳に達し、 右に雁が腹摺山がすぐ前に手に取るように見渡せられる。




大谷ケ丸から下った鞍部の樹林





第一ピークの尾根からかいま見えた富士山





アモウ沢乗越手前の山道脇に立つブナ





笹子分岐の草地で見つけた霜柱




















滝子山山頂から黒岳方面を望む。左から大谷ケ丸、ハマイバ丸、白谷が丸、黒岳
手前は大谷ケ丸から登ってきた尾根


心残りなく写真を写し一休みした時点で10:45であった。昼食にはまだ早いので、大谷が丸で 昼食とすることにして下ることにした。
帰りも約1時間半程度で大谷ケ丸につき、白樺の大木の下で昼食を取った。昼食の後、寝転んで上を見上げ ると澄み通る青い空に白樺の繊細な枝が冬の低い日差しに白くキラキラと輝いていた。だが、日差しは心なし弱々しい。 冬の日は短かい。そろそろ沢筋あたりは暗くなるかもしれないと思い、先を急ぐことにした。今日1日の山歩きの余韻 を確かめるように写真を写しながら下った。さすがに陰った午後の沢は冷え込み、今朝の霜がまだ溶けずに残っていた。



斜光に輝く冬枯れの山肌 大蔵沢林道にて