A.山歩き/2.山紀行/・・日光・高山

日光・高山



ー中禅寺湖千手ケ浜から男体山を望むー

写 真 集

高山〜熊窪〜千手ケ浜〜西ノ湖(06-06-01歩く)
千手ケ浜のクリンソウを一度見てみたいものだと思い、 シロヤシオ・トウゴクミツバツツジの時期の高山登山も兼ねて、少しクリンソウには早いと思ったが出かけてみた。
自宅から3時間半くらいで中禅寺湖畔に上がる。金谷ホテルの庭のヤマツツジが朝の光で華やいで いる。まだ早朝のせいか湖畔は閑散としている。竜頭の滝バス停付近も人は見られない。しかし、竜頭の滝上の駐車場の 乗用車駐車スペースは一台分残っていただけだった。
支度をして橋の方に行くと、橋の上から、下の岸から、カメラマンがミツバツツジ咲く湯川の渓流にカメラを構えている のが見える。駐車場が混んでいたのはこの理由であったようである。写真を写すのは戻ってきて時間に余裕があったら、と割り切り、橋を渡った右側の 林道に入ってゆく。左斜めにあがり、右にカーブして少し行った左側が高山への登り口であった。
広々とした笹の原、みどりまぶしいダケカンバ、高く林立した新緑のカラマツ林、ところどころに立つ大木。 そんな日光らしい風景を眺めながら緩やかに登ると、やがて左の斜面を階段で上って行く。そして勾配もゆるみ、しばらく斜面をトラバース 気味に回り込みながらしてゆく。もう散りかけたトウゴクミツバツツジや新緑のブナの大木も見られるようになる。
登り口から20分も歩くと 山道はジグザグと尾根に向って上って行く。途中、シロヤシオの木がある。花は少なく、パラパラである。それでも、間に合ったと嬉しくなる。 そして5.6分も登ると大木の立つちょつとした鞍部みたいなところに達する。これからは緩やかな尾根歩きである。鞍部から5分も歩くとシャクナゲが現われ、 それからさらに行くと広々とした雰囲気の良い尾根に達しブナやミズナラの大木が見られるようになる。そしてシャクナゲが増えてくると 環境省・栃木県の案内板のたっところに至る。ここまで約1時間である。
この辺が1/25000地形図の1565mのピークと思われる。シャクナゲにトウゴクミツ バツツジ、それにパラパラと花を付けたシロヤシオも申し訳程度に現われる。やがて鞍部に達し、高山への登りとなる。最初の比較的勾配の ゆるいところにはトウゴクミツバツツジが花盛りである。それにブナも多くなる。直ぐ大きな明るいブナ、ダケカンバなどの点在する斜面をジグザグと 登っていく。今回の最も急なのぼりである。15分ほど登ると勾配がゆるみ、ダケカンバの道を緩やかに登ると標識 が見えてきて高山山頂に到着した。
そこはダケカンバの木の多い山頂であった。木々の間から 白根山あたりの残雪の山が少し見えるが、見晴らしは効かない。期待してきたシロヤシオもトウゴクミツバツツジもシャクナゲも お付き合い程度のものであった。これではこれからもそれらは期待薄とクリンソウに期待して小休止したのち下る。
予想もしなかった。下ると直ぐシロヤシオの花、それにピンクのトウゴクミツバツツジが現われる。もうシロヤシオの木、木、木、木、木・・である。太い古木も多い。 これが完全にみんな咲いたら、すごいことになりそうである。今年は花つきが悪い。大雑把にみて、2割位のように思う。 それでも数で稼いでところどころにシロヤシオとトウゴクミツバツツジの花が現われる。下から上を見ると時々光が差してきてはグリーンと白の中にピンクが光る。
山道はシロヤシオの木の中をジグザクに下っていく。シロヤシオの木は延々と続くというのに、緑が濃くなってくる辺りからは花は皆無で、なんとういう不作の年だろうと思いながら下る。 やがて大きな斜面の緩やかな下りのトラバース道となる。高い高い木立ちのドームのような中を行く。時折、太陽が雲から顔を出して、 ドームの周りは明るく黄緑に光る美しい新緑のスクリーンに変わり、シロヤシオの不作も忘れさしてくれる。やがて広々とした鞍部の熊窪・小田代ケ原分岐となり、ここを左に下る。
この熊窪までの沢沿いの道の新緑もまたすばらしい。明るい大きな斜面の大木の疎林、カラマツの新緑の林立、天にも届くようなさわぐるみの大木、どっしりと存在 感のあるミズナラの大木、葉っぱの美しいカエデ。湖畔に近くなると、明るく見通しの良い広場に、ハルニレであろうか、大木が点在し、まるで園地のようである。 この後は湖畔沿いの新緑の道を木の間からブルーの湖を眺めながら行く。20分ほど歩くと湖が大きく開けて千手ケ浜に着く。 砂浜は白く、空と湖はブルー、正面の男体山は青色こく、その上に白い雲が浮かび、もう初夏の雰囲気が漂っている。
ここより、さらに湖畔を進む。右側の樹林帯の林床はおびただしいマルバタケブキの群生である。二つ目の橋を渡ると、ネットで囲まれたクリンソウの群生地に着く。 やはり鹿の食害防止か、仕方の無いことであるが、残念な風景である。順路に従ってサクラソウやクリンソウを見ながら進む。 全体的には、一週間後くらいが花盛りのようであるが、川底の藻が透き通って見える清冽な流れの岸辺のクリンソウは色とりどりの 花を咲かせている。このような原始の流れを見るのは久しぶりである。
この後、千手ケ浜の方に戻ると左に「西ノ湖2.7km」という道標がある。 そろそろ昼である。この付近の湖畔で昼食とする。昼食の後、この道標にしたがって西ノ湖目指して左に入ってゆく。 私の持っている地図は昭文社山と高原地図「日光 1997年度版」である。古いせいかこの道は載っていない。
この道は実にすばらしい。どこまでもどこまでも続く見通しのよい明るい森、はるか天まで届きそうな大木の林立した森である。 これぞ日光の森である。何の木であろうと案内板をみるとドロノキ、ハルニレ、やちだも、とあり、「人手を加えず自然の推移にゆだねることを原則としています・・・」 とある。そして15分ほど歩くと、木々はハルニレや白樺の混じる新緑のミズナラの整然とした林立に変わり、 樹間には日差しを受けて輝く若葉がちりばめたように浮かんでいる。
この道は意外に長い、40分弱歩いて吊橋に着いた。吊橋を渡って「やちだも」の自然林の道を西ノ湖へ向う。 直ぐ「西ノ湖・西ノ浜 分岐」となる。左の西ノ湖の方は木々の間からもう湖面が見えていて近いのでそちらに向う。西ノ湖は四方森に囲まれたこじんまりした 静かなブルーの湖であった。この山歩きの主なポイントはこれで終わりである。後は小田代ケ原を経て竜頭の滝上の駐車場に戻るだけである。 とりあえず、バス停西ノ湖入口まで行くことにする。歩くかバスにするかバス時間や体調をみて決めることにする。
地図を見るとバス停は書いていない。バス道まで吊橋から左側は15分、真っ直ぐは10分、さてどちらであろう、近いほうに 決まっている、と思い真っ直ぐいく。すぐ舗装されたバス道に着いたが、バス停が無い。では左側だろうと舗装道路路を左に 行く。今までの木蔭の柔らかい土の道と違い、照り返しがあり暑く、道は固く、うんざりしながら行く。 バスという便利なものが目の前にちらついてくる。もう歩く気は無くなる。バス時間まで30分ほどあるが、木蔭のベンチに座って 待つことにする。
このバス停では我々を含めて7名ほど乗った。それでほとんど満席となった。ウイークデイであり、しかもクリンソウはまだ見ごろを迎えていないのに、 なかなかの人気である。15分ほどで石楠花橋に到着し、下車する。これより湯川の流れに沿って竜頭の滝上(P)へ緩やかに下る。湯川の流れには竜頭の滝へ至る 序曲のように滝がところどころにあり、次第にそのスケールが大きなる。竜頭の滝上ではトウゴクミツバツツジが岸辺を彩り、湯川の流れは白いさざ波をたてながら 華やかに竜頭の滝へと落ちこんでいっている。これを見てはたまらない、早速、駐車場に行って、三脚と望遠レンズを車から持ち出し、橋の上から湯川の渓流を写す。
高山のシロヤシオとトウゴクミツバツツジは不作であったが、新緑、森、クリンソウ、湖、渓流の撮影と最後の最後まで楽しめた山歩きであった。 今回、日光の森を歩いてみて、他の森で感じられる閉塞感というものがなかった。開放的で明るく伸びやかで、清々した気持ちになった。また秋にでも歩きたいものである。


(コースタイム)
自宅3:52==東名厚木IC・首都高速径由==東北道浦和IC5:19==佐野SA5:50〜6:20==宇都宮IC6:53==清滝IC7:16==竜頭の滝上(P)7:42〜55− 小さな鞍部8:20−環境省・栃木県案内板8:52−高山9:23〜30−熊窪・小田代ケ原分岐10:20−熊窪11:00 −千手ケ浜11:20−千手ケ浜クリンソウ園地11:28〜38−西ノ湖分岐(昼食)11:41〜58−柳沢吊橋12:34 −西ノ湖12:43〜51−柳沢吊橋12:57−西ノ湖入口バス停13:15〜44==(無公害バス)==石楠花橋バス停14:00−竜頭の滝上(P)14:17〜40

(地図)
・昭文社 山と高原地図 「日光」
2006年度版をみたところ、千手ケ浜から柳沢吊橋至る森の遊歩道は「千手の森歩道」という名で載っています。
又、バス停の西ノ湖入口も記載されています。
・略図

クリックすると拡大します




Canon EOS kiss DN / SIGMA APO 70-300mm MACRO