A.山歩き/2.山紀行/・・鈴庫山


鈴庫山から三窪高原


鈴庫山からの富士山


鈴庫山から三窪高原(2011-09-07歩く)
レンゲツツジの名所の三窪高原は若い頃子供をつれたりして何回となく歩いた。しかし、定年後の山歩き再開後は他の山に足が向き、行くことはなかったが、近年、レンゲツツジがめっきり少なくなり、 つつじ祭りも中止という情報も聞いていて、どうなったか気になっていた。それに、檜の原生林のある鈴庫山へのルートも山と高原地図に載って気になり、今回合わせて歩いてみた。
レンゲツツジはほぼ全滅である。レンゲツツジは牛が食べないので鹿も食べないのではないかと思ったが原因はなんであろうか。それに、野山の秋の花、ワレモコウ、タムラソウ、アキノキリンソウ、フウロウ、アザミなどは、 鹿の食害にあって、ネットで囲んだ以外のところは全滅であった。咲いているのは鹿の食べないマルバダケブキだけであった。

柳沢峠の駐車場の左奥から、林道を二回ほど横断してカラマツ林の山道を林道に沿ってしばらく緩やかに登ってゆく。やがて林道と離れ、自然林の多くなったところを緩やかに登ってゆくと、柳沢の頭の肩に乗り、水森林道への分岐となる。 それを見送って右に折り返すように少し登ると富士山方向が開けた柳沢の頭に至る。あいにく富士山は左側の裾だけ見えて雲に覆われている。三窪高原は富士山撮影スポットでもある。そのうち見えるかもしれないと待たずに先に進む。
ミズナラやモミジ、白樺などの自然林の豊かな道を下ってゆくと、下に屋根が見えてきて東屋のある鞍部の十字路に至る。ススキが風にたなびき、秋の装いである。よーくみると、ネットで囲われたところがある。 そこにはアキノキリンソウ、タムラソウ、ワレモコウなどが咲いている。そのネットで囲われていないところとの自然の差に愕然とする。 奥日光も、櫛形山も、入笠山も・・・・・。そのうち、野山の草花はネットで囲んだところでしか見られなくなるのだろうか。
小笹の道を道標に従って鈴庫山方面へ少し下って行くとダケカンバや黒木の森へと入ってゆく。やがて鈴庫山方面とアンテナ棟への 巻き道分岐となる。まっすぐの鈴庫山方面には「この先行き止まり」とかのプレートや道を塞ぐようにに枝を置いたりしている。いかにも行かせたくないようである。観光客が迷い込むからであろうと無視して進む。
進むのはいいが、その土止め丸太階段の下りようは半端でない。80mくらい下っている。戻りはつらいだろうなぁ〜、などと思いながら下ると、 階段の登り返しがあり、そして少し下ると、ピークが見えてきて、 「やまなしの森林100選 鈴庫山の天然ヒノキ林」というプレートが転がっている。そこにザックを 置いて鈴庫山を往復した。地図には山頂直下道不明瞭となっていたが、道標が立ち迷うことはない。山頂からの富士山や甲府盆地、南アルプスの眺めが 実に素晴らしい。しかし、ヒノキは大木が林立しているのかと思っていたが山道周りは大したことはなく、裏側にでも原生林があるのだろうかと思う。
あえぎあえぎ分岐点に戻り、左のアンテナ棟の方へ行く。その方向は道標では笠取林道となっていて、初めての人はどこへ行くのだろうと驚きそうである。自然林の道を巻いてゆくと、 下に草原が見えてきて、黄色い花が群生している。近づいてたみるとマルタダケブキで、秋の野草の花は食害にあって何もない。 こういうときマルタダケブキを悪者にしがちであるが、そうでない、悪いのは鹿であると、言い聞かせながら黄色の絨毯を写す。その後、さらに高木の茂る山道を行くともう一ケ所マルタダケブキの群生地があった。そこを過ぎると富士山の見えるところを 経て階段の登りが延々と続く。三窪高原というと草原と防火帯と林道というのが今までの印象であったが、このように豊かな自然林の巻き道があるとは・・・と再認識させられた。
ピークに達し、少し下って登り返すとメインの尾根道に合流した。右が展望台、左が無線局(アンテナ棟)となっている。 今日は切りのいいところで、1673.1m三角点のところまで様子を見に行くことにして、左に行く。すぐ眼の前が見覚えのある無線局(アンテナ棟)であった。 さらにアップダウンを繰り返してゆくと開けて、三窪高原らしい富士山の見えるベンチのあるピークに達し、そのあと小さいアップダウンを繰り返して1673.1m三角点まで行く。そして、また富士山の見えるピークまでの戻ってきて昼食とする。 いろいろ見ながら往復したが、レンゲツツジは全滅、秋の草花も食害にやられて全滅であった。ところどころマルバタケブキの花が咲いているのがせめてもの慰めであった。
昼食後、アンテナ棟のところまで戻り、さらに三窪高原の最も代表的なトイレと東屋のある草原広場に行く。森を抜けるて右手を見ると、黄色いマルバダケブキの花園とススキの原が広がり、その向こうに富士山が見える。 そして、点在する木立も風景を引き立てている。一方、前方、左側は広範囲にネットで覆われている。とうとうここまで来たかと思う。展望台への途中でもところどころ木立の周りがネットで囲われている。やがて、ひと登りすると三窪高原の看板の立つハンゼの頭(展望台)に到着する。 富士山が昔と変わらぬ美しい姿をススキの向こうに見せてくれている。しかし、「群生するレンゲツツジは天然記念物である」という看板の記事がむなしい。
この後、今朝ほど柳沢の頭から下ってきた鞍部の十字路に降りる。ここから左に灌木の小さな沢沿いの道を降りてゆく。 だんだん、自然林が多くなり、大きく稲妻型に下ると、天にも届くような高木の森となる。カエデ、ミズナラにダケカンバ、ブナが混じる美しい森である。柳沢峠の向かいのブナの道に雰囲気が似ている。写真を写しながら惜しみながら下ると、斉木林道に降り立ち、 そこを右に下ると間もなく車道にでて柳沢峠であった。


(地図・ガイド)
・昭文社 山と高原地図「大菩薩嶺」


(コースタイム)
柳沢峠(P)8;32--水森林道分岐9:15--柳沢の頭9;17〜19--鞍部十字路9;32〜39--鈴庫山分岐9;50--鈴庫山10;11〜17--鈴庫山分岐10;46--尾根道に合流11;23 --アンテナ棟11;24〜30--1675mピーク(富士山展望ベンチ)11;44〜47--1673.1m三角点11;56--1675mピーク(富士山展望ベンチ)12;04〜15-- アンテナ棟12;26--三窪高原東屋・トイレ広場12;30〜39--ハンゼの頭(展望台)12;50〜58--鞍部十字路13;02-- 斉木林道13;37--柳沢峠(P)13;53



鈴庫山の天然ヒノキ





巻き道のマルバダケブキの群生





下山路の高木の林立


Canon EOS 60D / EF-S18〜135mm IS にて撮影