A.山歩き/2.山紀行/・・鹿留山


鹿 留 山
( ししどめやま・1632m )


鹿留山山頂のミズナラの巨木


立塚峠から鹿留山 ('07-08-28)
8月の上旬より孫が来ていて、そのお相手で山にはいけなかった。8/27、豆台風去って 早速山へ行こうと思う。一ヶ月弱のブランク、余り遠くにも行く気がしない、また、きつい山もしんどそうだ。どこへ行こうかと 思案する。孫の昼寝の間、暇つぶしに読んだ松浦隆康著「静かなる尾根歩き」によると鹿留山山頂北尾根付近にはブナ・ミズナラの巨樹 がどっしりと根を下ろしているという。立塚峠からだと富士山を友連れに1.5時間ほどで登れそうであるので巨樹の写真撮影がてら行ってみることにする。 実は立塚峠は富士山の撮影スポットとして知られているので、車で立塚峠まで簡単に行けると思っての計画である。

色とりどりの百日草咲く花の都公園で一時停車し、 百日草の絨毯を前景に富士山や杓子山・鹿留山の山並みの写真を写す。その後、忍野の内野に向う。突き当たって右折し、直ぐ左折して真っ直ぐ行く。 また、突き当たる。そして右折し、少し行くと「たまご牧場」の看板が左にあり、そこを左折して林道に入ってゆく。養鶏場を過ぎ、左側に2,3軒ある別荘を過ぎると その先で林道は舗装が切れ林の中に入ってゆく。さらに3〜400m行くと、林道がYの字に二股に分かれている。左の方が方角からして峠の方と思うが荒れている。 道の良い右に行ってみる。すぐ橋があり、渡るとその先で行き止まりになる。念のため別荘地まで引き返して畑仕事をしている住人に立塚峠への道を聞く。 左方向の林道とのことである。
荒れているがいけるところまで行くことでUターンして進んでゆく。4WDであるが、車高の低いワゴン車である。 腹をこすらないように慎重に進む。所々大石や枯れ木が転がっている。連れが降りて取り除いたりしながら進む。神経遣いながら、ようやく、山と高原地図「富士山」にある 林道分岐までたどり着く。ここで一旦車を置いて歩き出す。歩いてゆくと何とか車も通れそうだと思い引き返して、再度、車で進む。しかし、少し走って、もう、神経使うより歩いた ほうが楽と、結局、峠まで歩いて20分位のところに車を置いて歩き出す。

皮肉なものである。上がるにしたがって林道の道はよくなる。これなら車でこれたなぁと思いながら 上って行く。林道は杉の植林地からやがて自然林となり、道端にはフシグロセンノウやツリフネソウ・ハギが咲いている。 約20分で 峠に着く。峠には花壇のようにミヤマヨメナが一面咲いており、萩、ツリフネソウ、ワレモコウも彩りを添えている。もう、山は秋の風情である。
地図には展望抜群のマークがあるが、木々でほとんど見えない。 写真集にある富士山はどこから写したんだろうと気になるが、先を急がねばならないので、探索は帰りとして左に杓子山の方に進む。しばらくミヤマヨメナやタムラソウ、ハンゴンソウの咲 く草地を分けてゆく。左に木々の少し開けたところから富士山が見える。まだ、雲が掛かっていない。 やがて視界の効かない赤松、カラマツの混じる自然林を緩やかに登って行く。峠から20分位行くと急登が始まり、7,8分我慢して登ると 道標の立つ樹林のピークに着く。ここから方向が左に変わり、5分ほど行くと今度は右に下る。
すぐ開けた鞍部の草地となり、イタドリ、シシウド、テンニンソウなどが咲いていて、 アサギマダラも舞っている。富士山も少し覗いて見える。正面には鹿留山だろうか尾根が高く見える。 この先にいよいよ急登であろうかと覚悟する。やがて、トラロープが固定された岩場が行く手を遮ぎる。トラロープを頼ったりしながら登りきると、この先も岩場の連続かと思っていた ところ自然林の中のややきつい登りが続く。岩場から15分ほど登ると展望台にでた。ここまで、峠から約1時間であった。
真正面に、富士山が、左肩と真上に雲を伴っているが、夕方から雨という天気予報にしてはよく見える。眼下には忍野の町が見渡せられ、足元には一輪珍しくマツムシソウが咲いている。 右にはこれから登る鹿留山の尾根が高く迫って見える。一旦少し下り、岩の小さな起伏を越えて行くと、また、トラロープのある岩場となる。 これを越え、樹林帯の道を登って行くと思いがけずレンゲショウマが咲いている。今年初めての出会である、記念に 写真を写す。さらに登るとブナが現れ、ブナの鹿留山の山頂もまじかかと思わせる。やがて、岩の混じる少し開けたところを左に富士山と山中湖を見ながら登るが、またすぐ樹林帯に入り、最後の 急斜面を登ると、大木の林立する杓子山と鹿留山の分岐の尾根に到達した。
ここを右に進む。ここよりブナの尾根道となる。武骨なブナ、すらりとしたブナ、枝を四方八方に伸ばした ブナなどさまざまなブナと出会い、写真を写しながら行く。見晴らしは全然効かないが、ブナの優しく包み込むような森を歩いているだけで幸せな気分となる。 やがて、行く先が明るくなり、ブナの巨木がどっしりと立ち、周りにはマルバタケブキが咲き、アサギマダラが舞っている。 そして、その先、左の枝に小さな「鹿留山」のプレートを掛けたミズナラの巨木が目に飛び込んできて、鹿留山山頂となった。
まだ昼には早いが簡単に昼食を済ませて、北尾根の探索に出かけてみる。山頂付近は、明るくブナの巨木が点在し 、マルバタケブキやテンニンソウが咲き、アサギマダラも舞っているが、その先はブナの大木の点在する薄暗い森となる。大体、地形図の1610m等高線の北端まで行った見た。北端は小さな広場となっており、 主のようなブナの巨木が一本立っていた。その右側斜面の下にも大きな張り出した枝の上の部分が見え、巨木がありそうだった。なかなか雰囲気の良いところであり、今度は是非明るい新緑や 紅葉の時期に来てみたいものだと思った。

なお、立塚峠に戻って、富士山の撮影スポットを探してみた。葉っぱの落ちた冬の時期なら写せるかも知れないが、ヤブが深く、葉っぱが邪魔して 撮影に適当な所は見つからなかった。

(追記) 二十曲峠から立塚峠( 8/31歩く)
立塚峠に富士山の撮影スポットが見つからなかったのと、さらに二十曲峠から立塚峠までどういう風景が展開するのか気になり、霧雨の 中8/31に二十曲峠から立塚峠往復してみた。二十曲峠から加瀬山までは雑木林の道で富士山も見えないし、木々も見るべきものがない。約1時間である。 加瀬山から同じ様な雑木林を10分ほど行くと草原に出る。さらに草原を15分ほど歩くと立塚峠である。
草原にはハンゴンソウ、タムラソウ、ユウスゲ、コオニユリ、 ホトトギス、ヨメナ、ツリフネソウ、萩、ススキなど秋の花が咲き、なかなかいいところである。生憎の霧雨で雲が垂れ込め富士山は見えなかった。 しかし、立塚峠から二十曲峠の方へ5,6分登ると小ピークがある、その手前あたりからススキ越しに右に高座山あたりが見えたので、その左に 富士山が見えそうであった。


(地図)
・ 昭文社 山と高原地図 「富士山」

(コースタイム)
林道駐車地点(P)8:30--立塚峠8:48〜56--道標の立つピーク9:30〜32--展望台10:00〜08 --杓子山・鹿留山分岐10:50--鹿留山11:09〜11:42--杓子山・鹿留山分岐11:50--展望台12:12〜15--立塚峠13:00〜11--林道駐車地点(P)13:31

(特記事項)
・立塚峠への林道は荒れており、車高の低い車の場合は林道が最初にY字に分岐しているところあたりに置
  いて歩いた方がいいです。
・今年は猛暑だったので例年とは違うかもしれませんが、この時期花の都公園は百日草、アサガオが花盛り
  でした。





花の都公園





ブナの巨木とアサギマダラ





[Canon EOS kiss DN/SIGMA 17-70mm DC ]