A.山歩き/2.山紀行/・・三方分山

三方分山・パノラマ台



< 写 真 集 >

精進湖を起点に周回する(04-11-23歩く)
大体1000m以上の山は紅葉も終わり、これから登る山というと富士山展望の山である。 手始めに富士五湖周辺なら間違いないだろうと、マイカー登山でも周回出来る三方分山へ天気予報の快晴を信じて登ってみた。
いつもの癖で遠い近いに関係なく、4時頃に自宅を出る。今回は東名厚木ICから御殿場IC、富士五湖有料道路をへて 139号線にでて精進湖県営駐車場へ、のルートで行く。足柄SAで小休止したがまだ夜は明けず真っ暗である。富士五湖有料道路では、 富士山の冠雪の白が暗闇の中に青白くボーと浮かび、右手の山中湖方面は、東の空が少し白ばみはじめ、山並みのシルエットが雲海に浮 かんでいる。やがて車は霧の中に突入して139号に入る。道路の電光掲示板がマイナス1℃と表示している。 もう、そういうシーズンなのかと気の引き締まる思いをする。
霧の中を道路標識を頼りに進む。甲府方面へ右折して 途中から精進湖周回道路に入り、さらに登り口である精進湖バス停を確認して県営駐車場に入る。もうすでに10台くらいは 駐車している。隣の車では三脚を立てたり写真の段取りをしている。ほとんどはカメラマンのようである。だが、精進湖は 霧の中で何も見えない。ようやく見通せる程度に明るくなり、身支度をして先ほど確認した登山口の精進湖バス停の方へと向かう。
地図によると精進の大杉というのがあるようだ。バス停付近から左折して女坂峠の方へ少し行くと神社があって数本の大杉が霧の中 に立っている。すぐ沢沿いの山道となる。 堰堤が二箇所ほどあり、越えるまで結構の急登である。これを越えると道はコナラの自然林の中をジグザクと登って行き、右の 尾根にたどり着く。富士山は見えないが精進湖の上を雲海が覆っている。尾根をさらに先に進むと道標の立つ女坂峠に至る。
ここから富士山がバッチリと見えるものと思って楽しみにして登ってきたが見えない。方向からいって五湖山の方に行くと見えそうで ある。その方向に行ってみる。20mも行ったところが切り開かれて展望台になっている。雲海は見事であるが、富士山は左の尾根に邪魔されて 顔と右すそを見せているだけである。もう少し行った先にピークが見える。そこまで行くとバッチリかも知れないと思うが、大分ありそうだ。 右すそだけで我慢して先に進むことにする。
道標にしたがって左の方に一旦下って登って行く。コナラの自然林がすばらしい。木立の間より富士山が垣間見える。だんだんと左側のすそも 見えてくる。そろそろ木に邪魔されないで見たいものだと思った頃、ブナの大木が現われ、左側が開け、雲海の上に富士山が浮かんでいる。 ダイヤモンド富士にはまだ早いが、朝日が富士山の左側で輝いている。少し枝が邪魔であるがダイヤのように太陽も入れて写すことが出来て、 女坂峠での欲求不満も解消される。
あえぎあえぎ急登してゆくと太いブナの立つ八方分山の肩に到着する。そこを左にブナの大木の多い 小笹の道を緩やかに登って行く。富士山の左肩からでてきたばかりの朝の斜光が、小笹の朝露をキラキラと輝かせ、ブナやコナラの幹の影を 長くのばしている。
山頂は見晴らしがいいとは聞いていなかったので期待していなかったが、先に行った連れが喚声を上げている。 何かいいことありそうだと急ぎ登ってみると、山頂の富士山方向が見事に開けて大パノラマが広がっている。富士山の左上の太陽、 冠雪のきれいな富士山、裾野に広がる雲海、雲海から顔を出している幾重にも入り組んだ入り江のような山並み、手前の大木のシルエット、 本当にすばらしい。写真を写しながら至福の時をすごす。もう今日はこれで満足と思う。後は尾根歩きである。ゆったりした気持ちで出発する。
右側がカラマツ林の尾根を緩やかに下ってゆく。カラマツの間から雪を頂いた南アルプスの山並みが垣間見られる。そして わずかに登り返すと祠があるピークに達する。何も標識がないが精進山のようである。ここより急下降となる。約20分余下ると見事なブナの 木の立つところになって傾斜がゆるむ。それからしばら小さなアップダウンを繰り返して後、大きく登り返すと、 富士山と精進湖方向が開けたところとなる。もうすっかり精進湖にかかった雲海はきえて、上の写真のように湖面が輝き、太陽が富士山の山頂 の上に輝いているすばらしい風景である。ここから少し登るとピークに達し、そして少し下ると精進湖峠に降り立つ。
パノラマ台まで行くことにして峠よりコナラの自然林を登って行く。ここでも5,6分登ると富士山と精進湖方向が開けたところに出る。 先ほどと景色は変わらないがここでも写真を写す。このあたりからアセビの古木の多い道となる。もう春を待つつぼみを一杯つけ、太陽に照らされて きらきらと輝いている。アセビのつぼみや古木の林立する山道の写真を写しながら、さらに12,3分も歩くとまた富士山方向が開け、性懲りもなく写真 を写す。
そんなこんなで峠から25分も歩くと本格的な登りとなる。アセビの混じるコナラの道を延々と登って行く。20分も登ると 見事な枝振りの太く幹のくねたアセビの古木が右手に見えてきてまもなく傾斜がゆるむ。そして大きな岩の左側を巻いて一旦下り登り返すと三角点の立つピークに達する。 ここは1305mのピークのようである。そこにはパノラマ台方向から来た単独行の男性が休んでいる。そのうち4,5人の男性の団体さんが登ってくる。 今日初めて出会った登山者である。パノラマ台近くになって急に賑わってきたのには驚いた。
もう手の届きそうなところにパノラマ台 のピークが見える。10分も下るとパノラマ台往復の後下ってゆく予定の精進湖分岐の鞍部に降り立つ。真っ直ぐパノラマ台に向かう。 下ってくる人が結構いる。さながらパノラマ銀座である。どういう展望が見られるか楽しみである。 広く傾斜も適度なコナラの道を登って行くとやがて傾斜もゆるみ、パノラマ台かと思ったらさらに先のようである。
太いブナの木の下に トイレが設置されているところを少し下るとパッと開け正面に富士山が雄大な姿を見せている。広場はまるで舞台のようである。 左には先ほど歩いてきた三方分山とその稜線、はるか左斜め方向には鬼ケ岳の稜線、眼下には精進湖と青木ケ原樹海、正面には少し左に大室山を 抱いた子抱き富士。少し霞んできたのが残念であるが見事な展望である。まだ早かったが富士山を眺めながら昼食とする。
富士山を十分堪能した後、精進湖分岐に戻り右に精進湖に下る。パノラマ台から一時間で精進湖に着いた。まだ12時で時間は早い。 もう一度富士山を見たくて、朝霧高原、富士山スカイラインを経て東名御殿場ICに行くことにする。
霞んでいた富士山はクッキリとしてきた。朝霧高原の邪魔物のない草原に裾野を広げた富士山は見事である。スカイラインでは、登坂する車から見る 富士山は大きく覆いかぶさって迫ってくる。そして、ひだをクッキリと見せた冠雪の白が空のブルーに映えてまぶしい。 今シーズン最初の富士山展望の山歩き、天気にも恵まれ、車での富士山展望のおまけまでつき、富士山を十分に堪能できた至福の一日であった。

  • (コースタイム)
    自宅3:55==東名足柄SA4:50〜5:10==御殿場IC5:15==精進湖県営駐車場(P)6:05〜11 --精進湖バス停6:21--女坂峠7:20〜25--三方分山8:15〜30--精進山8:40--鞍部9:00頃-- 精進峠9:15--大岩10:00--1305mピーク10:05〜10--精進湖分岐10:20 --パノラマ台10:35〜11:00--精進湖分岐11:10--精進湖県営駐車場(P)12:00
     ----- 合計: 休みや写真撮影も入れて5時間50分 ------

  • (地図)
        ・昭文社 山と高原地図 富士・富士五湖
        ・1/25000地形図 精進



    朝霧高原にて