A.山歩き/2.山紀行/・・尾瀬沼


尾 瀬 沼


大江湿原から尾瀬沼


沼山峠から尾瀬沼('06-07-15歩く)
前日の7/14、那須の流石山に会津側から登った。 折角、会津にきたので、翌日、沼山峠の方から尾瀬に入って、尾瀬沼を一周することにする。 7/14 14:00頃、流石山に登り終わって桧枝岐温泉に向う。会津田島あたりから雨になり、翌日、尾瀬沼に行けるか不安になるが、明朝雨なら 中止することで宿に予約の電話を入れる。幸い、宿に着いた頃にはすっかり雨も上がった。明朝は、御池始発バス4:30に間に合うように、 弁当を作ってもらって4:00頃出発することにする。

朝3:00頃起き、フロントに行って弁当二個を受け取る。弁当には大きなおにぎり各2個がはいっている。 朝に一個づつ食べ、残りは昼用とする。だいぶ明るくなってきた。窓から外の様子を見ると、思いがけず月がでている。今日はいいハイキングになりそうだと 気持ちがハイになってくる。そして御池に向う。我々は始発バスの最後の乗客のようで、補助椅子に座ると直ぐバスは出発した。
沼山峠まで来るとあわてる必要はない。念のためスパッツを付けて最後に出発する。誰も追い立てて来ることなくマイペースで シラビソであろうか黒木の道を緩やかに登っていく。直ぐ、道は木道となり、歩きやすい。林床にはマイヅルソウやゴゼンタチバナが多い。 上を見あげると黒木のシルエットの間に残月が浮かんでいる。だいぶ登って今度は下りだす。途中、木々の間から尾瀬沼が見える。そして勾配が 少なくなると、木々の向こうが明るくなって木道が伸びているのが見える。

いよいよ大江湿原にでる。残月も出ていたことだし、天気が良くてくっきりしているのかと思ったところ、湿原の端の山際は靄が立ち込めている。 少し行くと、東の空の雲間から斜光が湿原にサァーと差し込んでくる。そうすると周りの風景が一変する。草花は鮮やかさを増し立体的に輝き、振り返って見ると、光芒が樹林の間から差し込み、 濡れた木道と草花の露が輝き、まばゆいばかりである。あわてて、夢中になり、写真を写す。また、スポットライトが来るだろうと期待して木道を行く。
大江湿原にはワタスゲとレンゲツツジ が最初に現われ、さらに行くとニッコウキスゲが多くなり、アヤメもチラホラ見られる。尾瀬沼に近くなると、よく写真で見る広がりのあるニッコウキスゲ、ワタスゲ、アヤメの群落が見えてくる。 しばらく写真を写すが、期待したスポットライトは来ない。そのうち、沼の周回歩道の分岐に達し、どちらから廻ろうかと思案する。やはり風景は逆光で見るのが良いだろうと、時計回りで行くこ とにする。これは後ほど分かったが別の意味でも正解であった。
ビジターセンターで一休みしたのち、尾瀬沼の南西岸の周回歩道を三平下に向う。尾瀬沼を眺めながら行くのかと思ったら、林床が笹のダケカンバ、ツガ、シラビソ、カエデなどの混じる樹林帯 の道で尾瀬沼は見えない。 夕べ雨が降ったのか木道が濡れている。15分ほど歩くと開けてところにでて、尾瀬沼の向こうに燧ケ岳が静かなたたずまいを見せている。そこからまもなく三平下となった。平坦な道なのでそのまま休まずに行く。
それからは時々右側に尾瀬沼が開け、水面模様などを写しながら行く。木道が沼畔に近いせいか、おびただしい数の蛙が木道に乗っかっている。木道の道は それまで平坦だったが小さなアップダウンが時々現われる。そして、木道が沼よりに傾いたところが結構見られる。雨の降った時は滑って 危険だなぁ、と思いながら足元注意しながら約30分位歩いてゆくと、富士見峠分岐となる。
木道の道はますますアップダウンや傾斜道が多くなる。やがて入江を廻りこむように行く。向こうの岬の水面への映りこみが美しい。富士見峠分岐から30分ほど同じ様に足元注意で行くと、 ようやく開けて湿原の木道となる。大江湿原とは全く植生が違うように見える。ワタスゲがパラパラと点在し、小さなブルーの花が ちりばめられている。タテヤマリンドウにしては小さすぎる、と思ってよく見るとタテヤマリンドウに似ているような気もする。 イワカガミ、ヒメシャクナゲなどが見られる。そしてまた樹林帯に入り、左手に小沼が見えて下ると、先が開け、広々とした湿原の木道の先に沼尻休憩所が見えてくる。 やっと開放され、ゆったりした開放的な爽快な気分になる。右側を見ると沼の手前の湿原の池塘に対岸の山と空が映りこんで美しい。

沼尻休憩所のベンチに腰掛け、ゆったりと休む。左の下田代十字路の方から湧いてくるように次々と人がやってくる。そして、いつの間にか休憩所は満員となる。 そんなに急ぐ必要はないが、後の人に譲ることにして、今度は尾瀬沼の北東岸の周回歩道を通って出発点のビジターセンターの方へと出発する。
右側の尾瀬沼側が大きく開けて、湿原に入江がいくつも入り込んでいる。岸辺の水面のカヤツリグサの林立には静かに波が寄せてくる。 その模様が美しい。静かなたたずまいである。
やがて15分も行くととうとう雨が降りだしてきた。道は樹林帯に入るが、まもなく抜けて、また、右の尾瀬沼の方が開けた ところを行く。開けたところと樹林帯を繰り返して30分ほど行くとレンゲツツジの咲く湿原にいたり、それから本格的な樹林帯に入る。
こちらの北東岸の周回歩道の木道は南西岸の木道に比べ倍くらい広く、しかも沼の方に傾斜したり、アップダウンしたりしたところも少なく 、雨が降っても滑るようなことがなく安心して歩ける。ということで、後半に雨になった今回は、道の良い北東岸を後にしたのは正解であった。
そして樹林帯をしばらく行くと、樹林の間から下に湿原が見えてくる。雨が激しくなっている。雨に煙る湿原を川が蛇行しながら尾瀬沼に注ぎ込んでいる。 湿原の中に降り立つと、ワタスゲが髪の毛をぬらしたような姿で点在している。雨は激しく、どこかで雷の音がする。
また樹林帯にはいり、ホッとする。 すぐ、長英新道分岐となる。これを見送ってしばらく行くと、やがて眼下に今朝ほどの大江湿原が見えてくる。湿原に降りると、雨はますます激しく、雷が頭上近くで鳴り、雷雨となる。 連れは雷が恐いのでさっさと湿原を沼山峠の方向に行くが、私は、これもまたとない出会いと写真を写し写し行く。まだ、9:30である。沼山峠の方から 次々と雨の中をハイカーがやってくる。ツアーで決められた行動といえ、忍耐強いと感心する。
雷が落ちてこないことを願いながら写真を写しつつ沼山峠の方に向う。やがて樹林帯に入る。後はカメラをザックに収め、こんなに長かったかと思いながら、黙々と 木道を登って行く。いつの間にか木道の長蛇の列の一員になっている。帰りのバスは混みそうだなぁと思いながら行くと、やがて下りとなり沼山峠バス停広場にでた。

広場は人でごった返している。バスの乗務員に御池に行くバスはどれかと尋ねると、バスへ案内してくれた。 乗っている人、チラホラである。全く訳が分からない。そのうち団体さんが他のバスに誘導されてゆく。外を見ると相変らず人が多い。 結局、バスにも乗らず休んでいる人たちは、帰りの団体バスを待っている人、雨で尾瀬に行くべきか迷っている人、雨が止むのを待っている人のようで、シャトルバスに乗る人は少なかった ようだ。


(地図)
* 昭文社 山と高原地図 「尾瀬 燧ケ岳・至仏山」

(コースタイム)
7/14林道駐車場(P)13:43〜55==桧枝岐温泉旅館着16:10==7/15桧枝岐温泉旅館発4:00==御池4:20〜30==(シャトルバス)==沼山峠 4:50〜5:00--大江湿原入口5:45--尾瀬沼周回歩道分岐6:16--ビジターセンター6:21〜33--三平下6:52--富士見峠分岐7:22--沼尻休憩所8:11〜30--長英新道分岐9:16--尾瀬沼周回歩道分岐9:31-- 大江湿原出口(樹林帯入口)9:55--沼山峠10:35〜40==(シャトルバス)==御池11:00〜40==桧枝岐中央バス停付近12:00〜10==東北道・那須塩原IC==首都高速・東名==自宅18:00




尾瀬沼を行く



大江湿原に入る




逆光がまぶしい




斜光に輝くシダと川面




レンゲツツジとワタスゲ、それにニッコウキスゲ、豪雪のためか一度に花が咲いている




大江湿原のニッコウキスゲ




静かなたたずまいの燧ケ岳、ビジターセンターと三平下間にて




以下、三平下〜沼尻休憩所間にて














沼尻休憩所付近にて




チングルマ




沼尻休憩所付近にて




沼尻休憩所〜大江湿原間にて




大江湿原に咲くアヤメ




雨の大江湿原




雨の大江湿原




雨の大江湿原




帰途につくハイカー




[Canon EOS kiss DN / SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]