A.山歩き/2.山紀行/・・大柳川渓谷

大柳川渓谷を歩く


涼みの滝

大柳川渓谷('09-11-26 歩く)
大柳川渓谷の紅葉は11/中旬とのことであったが、葉っぱが散りかけた頃の余り人の行かない時期をみて出かけてみた。 今年は一週間ほど紅葉が早く、少し遅かったきらいがあったが、静かな渓谷を堪能した。
鰍沢には中央道を経て中部横断道の増穂ICで降りるのが早いが、 今年の9月に夜叉神峠に行った時偶然発見した山梨環状道路を利用することにして甲府南ICで降りた。高速道路のような道を走って甲府南ICから30分ほどで大柳沢渓谷の十谷(じゅっこく)集落に着いた。
観光休憩所の駐車場に車を置いたが、もう紅葉の時期が過ぎたせいか一台も駐車していない。予想通り静かな滝めぐりが出来そうだと思う。 道標に従って集落を通り、これから遊歩道というところに「竜仙橋より先、崩壊のため通行できません」というプレートが下がっている。 これはどういうことであろうか、それで人が少ないのか、折角きたのにがっくりだな、などと思う。通れなかったら引き返すまでと行ってみることにする。
行ってみて分かったことであるが、 崩壊箇所は復旧はしているが、遊歩道でなく、危険防止のためにトラロープの付いている山道という感じであった。一般観光客が通るには危ないと考えて、そういう警告プレートを下げたのではないかと思う。

自然林の遊歩道を渓谷に向って下ってゆく。渓谷に降りて最初に出会ったのは「竜神橋」であった。 対岸に木製の階段を下りながら渡る吊橋であった。大体吊橋というと水平であるが、これは傾斜のある吊橋で初体験であった。眼下の渓谷の流れも急峻である。渓流は落ち葉の張り付いた岩に当たっては白浪をたて、轟音を発し、流れゆく。 上流を見ると、渓谷にはこれから行くやませみ橋という吊橋が高くかかり、岩壁には晩秋の残り葉が彩り、渓流は白い二条の滝から落ち、そして岩に砕け流れて来る。
チョと寄り道になるが、写真を写しながら、竜門橋まで往復する。この後、竜仙橋の方に向う。途中、「やませみ橋」というのがある。これは中央まで行って周りの景色を見たり、眼下の渓流を写す。これを過ぎると山門のように 覆いかぶさった「夫婦岩」くぐる。次に「天淵の滝、滝つぼへ」という標識が立っている。滝があってその傍まで降りて、写真を写す。これが天淵の滝つぼと思ったが、どうも名も無い滝のようである。
これを過ぎると長い橋の「竜仙橋」になる。これで対岸に渡る。眼下の激流や岩壁の残り葉の黄葉が朝日に輝き美しい。対岸に渡ると眼下に旧道の梯子があったり、道標が落ちていたりしている。ここらへんが崩落した箇所のようである。 新しく斜面にトラロープの張られた山道がジグザクと登っている。高度感があり、慎重に登る。手すりのある遊歩道に到達すと 観音滝方面と五段の滝の分岐点であった。
ここはまず五段の滝・涼みの滝方面へ行くことにして左に杉林を登って行く。少し行くと杉林を抜け、左に沢を見ながら上って行く。堰堤を越えると、「天狗橋」で対岸に渡る。この辺も 流れが岩の溝を急流となってくねりながら白濁しながら流れていて美しい。このあと開けた沢の河原にでた後、一旦左斜面に上って迂回して沢の河原に降りる。そして沢沿いに石のゴロゴロした道を行く。山の斜面の黄葉に朝日が当たリ出してきれいである。 やがて、涼みの滝分岐となる。後で寄ることにして、まずは五段の滝に向う。小滝の美しい沢にかかる丸太橋を二箇所も渡って、右側の杉の斜面に取り付く。ここからが、本コースで一番の登りである。
沢とも離れ、杉林を上って行くと、 五段の滝・幻の滝分岐となる。幻の滝をまず行って見る。2,3分ほど行くと、半島のような尾根の先端に出て、左側の谷の向こうに、美しい二条の滝が見られた。手前が「幻の滝」で奥が「穴観音滝」であった。絶景である。 手前の邪魔な木の葉っぱは落ちて見通しが効き、しかも黄葉の木が少し残って彩りを添え、いい時これたと、至福の時を過ごす。
この後、五段の滝へ行く。分岐に戻り真っ直ぐトラバース気味にゆくと、突如開けて、五段の滝の二段目の滝つぼの広い棚にでる。 上部は見えるが下の段は三段目しか見えない。一、二段の滝、特に二段は扇形に玉簾状に落ちる美しい滝であった。それをまじかに仰ぎ見て写真をぞんぶんに撮影した。 そして、満ち足りた気持で、「涼みの滝」に向う。この滝は五段の滝と打って変わって、豪快にほとばしる滝で、周りはマイナスイオンにみちみちているようだった。
竜仙橋の上の分岐に戻って観音滝の方に向う。ここからが大柳川渓谷のクライマックスで はないかと思う。下に水をほとばしりながら垂直に落下する滝が見える。すごい滝であるが木々が邪魔してうまく写せない。いいポジションないかと進むと天淵橋になる。今の下の滝は「天淵の滝」のようである。さらに進むと下に広い滝つぼを持ったゆったりした滝が現れる。 次に「かわせみ橋」に至る。流れは左側に移り、岩の溝を激流となって落下する滝が見える。そして岩壁に囲まれた流れの「竜馬淵」となり、ようやく穏やかな流れとなる。 遊歩道は一旦高く巻いて下って観音橋へと至る。そして右に岩壁を糸布のように流れ落ちる高い落差の「観音滝」が現れる。ここには東屋があって、丁度昼時となったので昼食とする。東屋のすぐ先が「もみじ橋」である。その下の曲がりくねりながら流れる渓流も美しい。 モミジが多いようだが既に散ってしまい、晩秋のわびさびの風情である。
ここを過ぎると遊歩道は林道の方に上って行く。途中天狗の大岩風呂という建屋があった。対岸には一筋の滝が流れ、それを見ながらの温泉は格別のように思われた。 滝巡りはここで終わりである。十谷山荘入口から林道に上がってをのんびりと十谷集落へと下る。集落へ大分あるのかな、と思ったら、程なく「つくたべかん」入口に着き、その裏から 「竜仙橋より先、崩壊のため通行できません」というプレートの下がる遊歩道入口に下って車を置いた観光休憩所へと戻った。車での帰り、来る時目にして気になっていた不動滝にもよってみた。

( マップ・ガイド )
鰍沢町発行、大柳川渓谷遊歩道散策マップ

( 特記事項 )
・大柳川渓谷への近道
山梨環状道路南区間が甲府南IC近くから中部横断道の南アルプスIC入口まで開通しました。 甲府南IC近くの入口から南アルプスIC入口まで高速道路のような立派な道路で、無料です。 南アルプスICからは中部横断道の下を増穂ICまで行き、さらに真っ直ぐ鰍沢を目指して道なりに行くと52号線に出ます。 左折すると5分程で十谷入口です。なお、この山梨環状道路は櫛形山へも便利です。

(コースタイム)---写真写しながらののんびり歩きです。
自宅5:15==相模湖IC6:35==甲府南7:45==大柳川渓谷観光休憩所(P)8:15〜28--竜神橋8:51--竜門橋9:02--竜神橋9:10--やませみ橋9:12〜15--無名滝9:17〜20-- 竜仙橋9:22--五段の滝方面分岐9:31--天狗橋9:37--涼みの滝分岐9:53--滝見台分岐10:10--滝見台10:13〜24--滝見台分岐10:27--五段の滝10:29〜45--涼みの滝分岐11:01--涼みの滝11:04〜14--涼みの滝分岐11:16 --天狗橋11:28〜31--五段の滝方面分岐11:36--天淵橋11:37--かわせみ橋11:43--竜馬淵11:47--観音橋11:55--観音滝東屋・もみじ橋11:57〜12:16--十谷荘12:24--(林道)--つくたべかん12:41--観光休憩所(P)12:51〜13:00 ==不動滝13:08〜15



十谷は歴史を感じさせる集落であった




竜神橋〜竜門橋、見える橋は「やませみ橋」




竜神橋〜竜門橋




竜仙橋下の渓流




てんぐ橋下の滝




涼みの滝分岐付近の滝




幻の滝、穴観音滝




五段の滝




天淵橋付近での滝




かわせみ橋付近での滝




観音滝




もみじ橋下の渓流


Canon EOSkissX / SIGMA DC 18-125 OS HSM にて撮影

( END )