地獄沢左岸尾根から大山
ミツマタの咲く地獄沢橋からブナの尾根を経て大山へ


地獄沢橋のみつまた
(Canon EOS kiss DN / SIGMA 17-70mm DC)



地獄沢橋〜地獄沢左岸尾根〜大山〜北尾根〜地獄沢橋('06-03-24歩く)
マイカーで山歩きしていると、いつも気にして探しているのは周回コースである。近場の山で、山と高原地図とかのコースを見て、自分で 設定する歩きやすいコースには限りがある。後はバリエーションコースである。世の中、結構、殊勝な人がいるもので、 地図に無いコースを歩いている人がいる。これを探すのはインターネットである。たまたま、地獄沢橋からダイレクトに登った記録があった。 記録はあまり詳細でないし、地図も付いていない。しかし、1/25000地形図と照合してみると理解できた。地獄沢橋周辺はミツマタの花が 咲いているだろう、その撮影も兼ねて行ってみた。
先ずの関門は尾根への取付き点である。尾根は地獄沢の左岸側の尾根で、大山の山頂近くから 派生している途中に1021mのピークと送電線の鉄塔のある尾根である。
今回はこの取付き点を発見するのに手間取ってしまった。昭文社の山と高原地図「丹沢」 にあるように、地獄沢橋からミズヒ沢沿いに林道が上がっている。地図ではミズヒ沢で終わっているが、実際はさらに延長されていてミズヒ沢と地獄沢の間の 尾根を巻きながら地獄沢の方に伸びているのを、以前北尾根を歩いた時確認していた。その林道は地獄沢を突っ切り今回の尾根のあたりまで延びていると予想して ミツマタを写しながら林道を登っていった。そしてたどり着いたのは深い地獄沢を目の前にした林道終点であった。なんと、林道は地獄沢左岸尾根まで行っていなったのである。
見つからなかったら仕方がない、今日は大洞橋の上のケヤキの美林でも写しに行こうかと、思いながら取付き点を探しながら林道を下る。 地獄沢にかかる橋を渡って沢に沿って下り、左にカーブしたところにプラスチックのステップのある登り口があった。ここはこの尾根の 途中に立つ送電線鉄塔の巡視路入り口のようである。こんなにはっきりしている登り口、なんで最初見付からなかっただろう。思い込みというのは恐ろしい。
杉の植林地を登っていく。直ぐ、若い杉の植林地の金網のフエンスが現われる。道が荒れ、ところどころにプラスチックのステップが転がっている。 それを目印にフエンス沿いに登って行く。やがて、フエンスは左上に曲がる。ここもフエンス沿いに忠実に登って行くと、フエンスをまたぐオレンジ色の 梯子の立っているところに至る。ここでフエンスとは別れ、右上にプラシチックのステップを目印に尾根を登って行く。 後は尾根を外さないように上って行く。やがて道は勾配がゆるみ少し左へ巻き気味にゆく。そうするとこちらの方角を指している、巡視路 の白い看板が立っている。ここまで、登り口から約45分である。
ここを右にステップがところどころにある尾根を登って行く。 10分も登ると、杉の植林地帯を抜け、雰囲気のいい、自然林の広い尾根に到る。大木がところどころに立っている。ブナかな、と思って よく見るとケヤキとミズナラのようである。尾根に沿って左に緩やかにカーブし、今度は右に少しカーブしながら緩やかに上って行くと、 先に送電線鉄塔が見えてくる。
鉄塔までは何とか道の形跡があったが、この先どうだろう、と心配になる。というのは、見渡してみると、これから向う 方面は潅木で覆われ、道標も無いし、踏み跡もない。兎に角、正面の潅木の薄いところに入ってみた。そうすると、金網の古いフエンスが立ち、コナラの美林の尾根が 左上に続いている。直ぐ先で倒れている金網のフエンスを越えて、尾根に乗る。そして上がってゆく。尾根は右に緩やかに カーブしている。梢越しに、左側には16号鉄塔から地獄沢橋に至る尾根が見える。なかなかコナラの美しい尾根である。
振り返ると鉄塔がコナラの上に見える。迷ったら、鉄塔目指して下ればいいと、気楽な気持ちで写真を写しながら登って行く。 やがて、広くて潅木の疎林の少し見通しの悪いところとなる。ここは尾根を外さないように行く。 そしてまた、尾根が明瞭になり、コナラやミズナラの多い自然林を緩やかに上って行く。そうすると、鉄塔から約30分位して小ピークに達する。ここで小休止する。 この先は少し下っている。尾根は狭くなり明瞭である。登り返すあたりの左側にブナの大木が二本現われ、そしてブナの向こうに 北尾根が手に取るように見える。
好ましい自然林の尾根をさらに緩やかに登って行くと、アセビの木のあるピークに達する。 ここは地形図の1021mのようである。目の前には大山が迫り、足元から続く尾根は一旦左斜め前に下ったのち立ち上がり大山の山頂に向っている。 もうここまできたら行くしかない、と思う。ここからは「水源の森林 神奈川県」という頭の赤い白い角柱がところどころに立ち、道案内してくれる。 鞍部を過ぎると痩せ尾根の登りが続く。丹沢にしては珍しく元気な肌の白いブナが次から次へと現われる。時々緑のアセビが彩りを添え、 好ましい風景が続く。
この好ましい痩せ屋根が延々と続く。ピークから30分位歩くと、痩せ尾根は終わり、北尾根に向って最後の登りとなる。尾根は広く、急勾配で どこが道であるかさっぱり分からないが、兎に角、真っ直ぐ大山山頂のアンテナ塔の方を目指して登る。そうすると小さなガレ場に到達し、 それを越えると、勾配がゆるみ一本の太いブナが立つ草地となる。そして、アセビの古木のある北尾根の山道に着いた。そこには 日本三百名山完登の石のプレートがあった。ここで丁度昼である、コンビニで調達したおにぎりを食べる。このまま北尾根を下ろうと思ったが、大山山頂は直ぐ目の前、 行ってみることにする。
春の日差しを一杯に受けた明るく静かなコナラにブナ、アセビの混じる北尾根を下る。時々開けたところからは、左手後方に、先ほど 登ってきたシルエット状にブナの林立した尾根が見える。一般山道を歩いている限り、大山にはブナはほとんど無いと思っていたが、今日の尾根はブナが多く、新発見であった。 大山から1時間半ほど歩いて、16号鉄塔に到着する。ここを道標の「県道」方向に従って左に下る。やがて右にケヤキの美林が現われ、それを過ぎると 山道は急降下し、プラスチックのステップを下ってゆく。尾根を真っ直ぐ行ってもいいが、鞍部付近で左に下り林道に出ることにする。 あまりはっきりしない山道であるが、左後方下に下る踏み跡を見つけ下ると、林道に降りるステップがあり、今朝ほど間違えて歩いた林道に降りたった。

●コースタイム
地獄沢橋(P)8:50--(この間取付点探し)--尾根取付点9:40--巡視路矢印板10:14--鉄塔10:40--小ピーク11:11〜17-- 1021mピーク11:21--北尾根稜線12:08〜12:17--大山山頂12:26〜12:30--北尾根16号鉄塔14:05〜08--林道(16号鉄塔巡視路入口)14:40--地獄沢橋 (P)14:55

●特記事項
本コースは登山地図に無いコースです。自己責任で歩いてください。
山歩きのための道標は一つもありません。テープもほとんどなしです。 今回は冬枯れの時歩いたので見通しがききましたが、葉っぱの茂った時は見通しがきかないかもしれませんので注意してください。

●地図:
下記いずれも山道の記載はありません。
 ・1/25000地形図 「大山」
 ・昭文社 山と高原地図 「丹沢」


地獄沢橋付近のミツマタ



鉄塔上の自然林



小ピーク



1021mピーク



やせ尾根1



やせ尾根2



やせ尾根3



北尾根より地獄沢左岸尾根を望む



北尾根を行く

Canon EOS kiss DN /SIGMA 17-70mm DCにて撮影