A.山歩き/2.山紀行/・・鬼ケ岳・雪頭ケ岳


鬼ケ岳・雪頭ケ岳


雪頭ケ岳のアヤメ


鬼ケ岳・雪頭ケ岳 ('06-06-25(日)歩く)
梅雨時の天気予報はあてにならない。南海上に停滞している梅雨前線の位置で 微妙にお天気は変化する。この日も雨の予報であったが何とか保ちそうな天気に変わった。普通、日曜日は山には登らないことにしているが、 梅雨時の中休みは貴重である。昭文社の地図に「絶景地」の書き込みとお花畑のマークがあってずっと気になっていた 雪頭ケ岳に、急遽、登ってみることにした。ただし、根場から雪頭ケ岳までの地図上のコースタイムは2:40とあり、かなりの急登を強いられるのを 覚悟する。
西湖の湖畔の駐車場に車を置いて出発する。以前、鍵掛峠から王岳へ登る時、 駐車スペースの場所を間違えて、林道を雪頭ケ岳の登山口まで行ったことがある。そういう意味では登山口までは勝手知った道である。この時期は 林道脇には木苺がなり、シモツケ、アヤメ、オカトラノオなどの花も咲いている。木苺をつまみながら20分弱歩くと、新しい堰堤が 現われ、擬似木製の手すり・階段の山道が堰堤の右側を越えるように整備されている。
堰堤を越えると山道は杉の植林帯に入ってゆく。最初は 緩やかな道であるが、直ぐに稲妻形に登って行く。時々自然林も出てくるがほとんど杉林である。杉林の山道に入って20分ほど黙々と登ると 植林が幼木となって明るくなり、植林の山道には不釣合いなアヤメが2,3咲いたりしている。植林前はいいところだったんだろうなぁ〜、と想像しながら 登って行く。
やがて山道は唐松林の斜面を大きく稲妻形に 登って行くようになり、陰鬱な雰囲気から開放され、本来の山歩きの感じがしてくる。カラマツの林床には白い花を咲かせた潅木が多い。図鑑で調べたところコゴメウツギのようである。 アヤメも山道脇に咲いている。さらに登って行くと散りかけたヤマツツジが現われ、これなら上の方では満開かもしれないと 期待をもたせてくれる。
そしてやがてブナなどの大木の混じる自然林を登って行く。時々ガスが上がってきては好ましい幻想的な風景をみせてくれる。高度が上がってきているので、樹間のヤマツツジ も期待道り花盛りである。そして登るにしたがってますますブナが多くなり、「ブナ原生林」という看板が立っている。予想もしていなかっただけに、驚き、これは儲かったと嬉しくなる。
この後もブナの大木とヤマツツジの混じる自然林を登ってゆく。そして看板から20分弱登ると尾根らしきところに 到達する。正面左に木々の間から大きな斜面が立ちはだかっているのが見える。巻いて行くのかと思ったら稲妻形に左斜めに登り、今度は 右に折り返して登って行く。そして、初めて、ヤマツツジ咲く開けたところに出る。
眼下には西湖が見える。しかし、富士山は雲の中で見えない。これより開けたところを登って行くのかと 思ったら、折り返してハンショウズルとヤマツツジ咲く潅木のところからまた樹林帯に入る。
ブナなどの茂る斜面をくの字に折り返し、圧倒するような 大岩の右側をかわすと、また開けたところに出る。これでもう終わりかと思ったら、足元注意の石の多いところを登リきるとまた樹林帯に 入る。そしてブナの大木の茂る斜面を登って行き、勾配もゆるんでくると、満開のドウタンツツジが迎えてくれ、やっと雪頭ケ岳のお花畑と思われるアヤメの咲く草地に出る。
少し登ると山頂らしくないところに道標が立っていて雪頭ケ岳山頂とある。富士山側は舞台のように開け、草地にはアヤメが咲いている。御坂山塊の新道峠や大石峠の 植生とほとんど同じお花畑であるが、時期尚早、これからニッコウキスゲ、オダマキ、マツムシソウ、アザミなどが咲くようである。 残念ながら富士山は雲の中で見えない。アヤメの写真を写しながら小休止した後、鬼ケ岳へと向う。
道標の後ろから樹林帯に入ると、山道はドウタンツツジの落花で真っ白である。登ると思ったら緩やかに下っている。 そしてしばらく行くと、目の前の岩場にアルミ製の梯子がかかっている。それを登りきると、展望のよさそうな小ピークに達する。しかし、ガスって何も見えない。 右下がスパッと切れた道を渡り、向かいの木々で覆われたピークに向って登って行くと、まもなく岩場の鬼ケ岳の山頂に達する。ここもガスって何も見えない。まだ、昼には時間が 早かったが鬼の角のような岩場のところで昼飯とする。
ガスって何も見るべきものがないので、早々に昼飯を済まして下る。 ここから、鍵掛峠への稜線は「稜線展望良好」と地図に書かれているので、ルンルン気分のプロムナードコースかと思っていたら大間違いであった。紅ドウタンツツジの咲く斜面をいきなり 下り、ある程度下るとフラットになるが直ぐ登りなりそしてまた大きく急降下する。しばらく下ると大きな岩が立ちはだかり、左に下りて巻きながら廻りこむ。これが始まりで、ある間隔を置いて、ロープつきの 足場の悪い道を何回となくアップダウンする気が抜けない道が延々と続く。1時間と20分ほど歩くとブナの大木とヤマツツジが多くなって、やっと見覚えのある鍵掛峠に着いた。
鍵掛峠は色鮮やかなヤマツツジと白いコバノガマズミの花が咲き華やいでいる。昨年ここを通ったのは9/10であった。初秋も秋の草花が 多くいいところと思ったが、初夏もまた格別である。そして左に根場の方に下ると、鍵掛峠から「ブナの原生林」看板までの間、次から次へと満開のヤマツツジが現われ、 ブナ林の新緑を彩る朱色が実に美しい。 一度歩いて知っていたつもりでいたが予想外の展開で本当に驚いた。山は四季折々、同じところを4度登らないと知ったことにならないと云われているが、ほんとうにそうだ、と実感した。
この後は新緑から深緑になった自然林をひたすら下る。昨年歩いた時は長いと思ったが、今回はあっという間に、沢の堰堤の見えるところに 下ったような気がした。林道に降り立って根場の方に下って行くと、昨年から建てていた10棟くらいの茅葺の古民家が見えてくる。少し行くと、古民家の方に左手に入る遊歩道ができていた。 これなら駐車場へショートカットになり近くなるので、降りて行ってみた。既に茅葺の古民家は完成していて、花壇や下水道など周辺整備の最中であった。この夏には 「西湖いやしの里・根場」としてオープンするようで、山の帰りの楽しみがまた増えた。


(特記事項)
「西湖いやしの里・根場」の詳細は
「http://www.fujisan.ne.jp/iyashi/」 を参照ください。

(地図)
* 昭文社 山と高原地図 「富士山」

(コースタイム)
自宅4:55==厚木IC==御殿場IC5:55==富士五湖有料道路==西湖根場湖畔(P)6:57〜7:08--雪頭ケ岳登山口7:26--カラマツ林8:22--ブナ原生林看板9:02--雪頭ケ岳10:00〜12 --鬼ケ岳10:31〜48--大岩11:15--鍵掛峠12:11〜13--ブナの原生林看板12:39--林道登山口13:26--西湖根場湖畔(P)13:55



雪頭ケ岳ブナの原生林




雪頭ケ岳のお花畑




鬼ケ岳〜鍵掛峠のウツギ




鍵掛峠




鍵掛峠




ブナの原生林付近にて




ブナの原生林付近にて




木苺 根場への林道にて


[Canon EOS kiss DN / SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]