A.山歩き/2.山紀行/・・姥ケ平・南月山・白笹山

沼原湿原から姥ケ平・南月山・白笹山



日の出平への稜線から茶臼岳を望む

沼原湿原から姥ケ平・南月山・白笹山(05-10-12歩く)
若い頃、茶臼岳に登った印象から、茶臼岳というとロープウエイと火山礫の山道それに強風というくらいしかなかった。 しかし、山歩きを再開して写真を写すようになってから、風景写真集などに見られる茶臼岳の裏の 紅葉の姥ケ平が気になっていた。また、沼原湿原もコバイケソウとかが綺麗だ、ということから一度行って見たいと 思っていた。
近場の低山の紅葉にはまだ早い、どこへ行こうかと思案しているうち、姥ケ平を思い出して行ってみることにした。 ついでに沼原湿原を見てみようと沼原湿原駐車場に車を置くことにして、周回ルートを検討する。一つは、姥ケ平を経て日の出平から降り て来るコース、もう一つは姥ケ平を経て南月山と白笹山を径由して降りてくるコースである。 いずれにするかは日の出平に着いた時点で時間を見て決めることにする。

那須ICを降りて右折して那須温泉卿の方へ向い、しばらく行って、一軒茶屋という交差点で板室の方へ左折する。 問題は沼原湿原へ右折する道がわかるかである。二度ほど車を路肩に寄せては地図を見て確認したが、心配無用で、沼原という大きな 看板がでてきて右折する。一部舗装工事中のところもあるがほとんど舗装されたコナラ林の道を緩やかに上って行く。 最後に舗装が切れて少し行くとトイレのある広々とした無料駐車場に到着する。約那須ICから40分であった。
姥ケ平に行くにはどう行くか道標を見た限りではわかりづらい。今来た車道の先、すなわちトイレの右側にも山道があり、茶臼山 方面とある。地図からすると白笹山からの道のようだ。駐車場の広場を見回すとトイレの左側の隅の方にも道標がある。 それには沼原湿原、三斗小屋温泉(麦飯坂径由)、深山ダムとある。
山と高原地図「那須・塩原2005年版」によると湿原のあたりから姥ケ平への道が分かれている。兎に角湿原に行ってみることにする。 コナラ林の石の多い道を下ってゆくと、丁字路になる。道標には右「三斗小屋宿」左「沼原湿原」とある。そして右手の林の奥に 東屋も見える。姥ケ平は右の「三斗小屋宿」方面くさいが、湿原を一目見るために左の湿原方向に行く。
すぐ右折し木道となる。木道は西ボッチという山の方向に枯木の立つ湿原に伸びて行っている。周囲の山は少し色付きだしたくらいであるが、湿原はもうすっ かり花は終わり、草紅葉である。沼原湿原は一目で境界が分かるこじんまりしたもので、尾瀬のようにはるか彼方までという感じでない。木道は右にカーブしなが ら西ボッチ山に平行に進んでゆき、 やがて二又に分かれる。地図にある湿原の真ん中付近を横断している道のようである。花の時期に又来ることにして、感じが分かったので先を急ぐために右折する。
潅木の疎林の湿原を行くと、やがて丁字路になる。右手すぐそこには先ほど見えた東屋がある。左には「日光国立公園 沼原湿原」の標識が 立っている。そして左折するとすぐ、Yの字の二股になる。真っ直ぐは三斗小屋温泉(麦飯坂径由)、右斜めも三斗小屋温泉とある。 ややこしいが、麦飯坂径由でない右斜めの道に入る。
ここからは下草が笹のダケカンバなどが混じるコナラの道を緩やかに登って行く。だんだん標高が上がってきたのであろうか、コナラ林に黄色や朱色がまじり、 日が差すとパッと森全体が明るくなる。30分弱緩やかに登ると駐車場近道の分岐となり、駐車場のどの辺にでるのであろうかと思いをめぐらす。 そしてさらに登ると大木が増えてきて真っ赤なもみじもところどころで見られるようになる。やがて三叉路の日の出平分岐となる。 ここは要注意である。右は日の出平とでなく茶臼岳とあり、真っ直ぐは三斗小屋温泉とある。先に行ったご夫婦は姥ケ平へ行くのに右の茶臼岳の方に行き、 途中、姥ケ平のだいぶ上で、反対方向から来るご夫婦と出会った。ここは真っ直ぐの三斗小屋温泉方面に行く。
ここから本格的な急登となる。太いダケカンバが多く黄葉 して実に美しいが、写真を写す余裕すらないくらいあえぎあえぎ登る。振り返ると、沼原池が紅葉の点在する樹海の向こうに望まれる。約15分も登ると急登はおわり、緩やかに 登ってゆく。ここから、紅葉(黄葉)したダケカンバ、ミズナラ、カエデ、ブナの大木がところどころに立つ好ましい道が続く。分岐より40分ほど 歩くと、木々はもみじやカエデ、ドウタンツツジなどが増え、ますます紅葉は色濃くなる。赤、朱色、黄色など華やかな明るい葉っぱのトンネルをくぐり、 紅葉の落ち葉が絨毯のように敷き詰められている山道を身も心も秋色に染まりながら幸せな気持ちで行く。
やがて左側が少し開け、大峠山・流石山の紅葉した山肌が見え隠れするのを眺めながら行くと、突然、目の前が開け、真っ赤な燃えるような紅葉の山裾の上に噴煙を上げている荒々し い茶臼岳が現われる。空のブルーとのコントラストが美しい。その左側の隠居倉、大峠山、流石山の峰々も、眼下の三斗小屋温泉の方も、燃えるがごとくである。しばし、ため息をつきながら写真を写す。 連れは「カナダのローレ ンシャン」より素敵だと云った。確かに紅葉の色ばかりでなく、噴煙をあげている茶臼岳の風景がすばらしい。
ここより道は下り、まもなく三斗小屋分岐となる。左下に三斗小屋方面を見送って真っ直ぐ行く。このあたりから、ロープウエイで上がってきて、姥ケ平、峰の茶屋と 周回する人であろうか、人が多くなる。やがて左にとんがった岩が見えてくると茶臼岳が広々と大きく見えるひょうたん池分岐となるとなる。 折角なので池に行ってみることにする。すれ違うのがやっとの木道を5分も行くと池畔に到着する。ここは池の水面に青空と噴煙を上げている 茶臼岳、紅葉の山肌、などが写リ込むので写真の絶好のポイントになっている。そのためカメラマンが多い。少しの隙間に入らせていただいて 水面を見るが、風が出てきて水面が波立ち、水面への写りこみはよくない。4,5枚写させてもらって早々に退散する。
このあとひょうたん池分岐に戻って小休止した後、牛の首方向に行く。 緩やかに下っていくと、大勢の観光客、カメラマンが居る土肌の露出した広場にでた。そして、そこに姥ケ平の標識の立っているのを発見し、実は池分岐あたりが 姥ケ平と思っていたので、大いに驚いた。そして得をした気分になって夢中に写真を写した。
一通り写した後、牛の首へと登って行く。 結構きつい登りである。カメラマンも姥ケ平への下りはいいが、登りの帰りは大変だろうなぁ〜と人ごとながら心配になる。 紅葉の斜面は下ってくる人、登る人、斜面で三脚を立てている人、休んでいる人、人人人・・、である。ようやく牛の首手前の分岐に立つと風が強い。寒いくらいである。 ここを右に上って行くとすぐロープウエイ山頂駅・日の出平への分岐の牛の首である。ジッとしていると寒くなるので日の出平へ尾根を上って行く。そうすると、嘘のよう に人ごみから開放されて静かになる。
この尾根からの眺めはなかなかの絶景である。右後下には紅葉の姥ケ平が箱庭のようにみえ、後ろを振り返ると紅葉の尾根の向こうに 荒々しい茶臼岳が競りあがってきて大きい。また、左下を見ると紅葉の斜面の先から下が雲海で覆われていている。雲海は海のようで、 その上に淡いブルーの空が広がっている。分岐から15分ほど登ると傾斜もゆるみ絶好の休憩広場となっている。 そこで茶臼岳を眺めながら昼食とする。
ここは日の出平のすぐ近くである。そして丁度12時である。どのコースを通って沼原湿原に戻るか決める地点である。 ここからダイレクトに下ると沼原湿原まで1時間40分、南月山・白笹山経由だと2時間30分かかる。 15:00まで戻りたいと思っていたが、後者でも何とかそれまで戻れそうである。南月山・白笹山経由で戻ることにして出発する。
日の出平から南月山(みなみがっさん)までの稜線歩きはきわめて快適である。なんといっても道がいい。根や石が出突ったりしていな平坦ないい道である。 それに左右の周りの風景も変わってくる。足元は黒い火山礫の地肌となり、右に見える日出平から派生している尾根の斜面は、針葉樹の濃い緑の中にダケカンバの白い幹の 林立やナナカマドやドウタンツツジの紅葉が 点在するものになってくる。それに遠く青く霞んだ山々、光る沼原池など。左は眼下の雲海と淡いブルーの空。もちろん振り返ると稜線をトレースしている山道の 向こうに茶臼岳が見える。
南月山の山頂付近になって少し傾斜がきつくなるが、一登りして20分ほどで南月山に着いた。 お地蔵さんのある山頂には昼時のせいもあり、結構な人が休んでいる。ロープウエイで登ってここまで来る人もいるようだ。先ほど 昼食で休んだばかりなので写真を写してすぐ出発する。
潅木を抜けると白笹山までの稜線が見える。名前の通り大部分は笹の原である。そこに黒木の疎林があり、ナナカマドとかドウタンツツジの 紅葉らしいものがチラホラ散在している。黒木はなんだろう、コメツガであろうか、太くてオブジエのように曲がりくねっている。その黒木の間を ぬうようにしばらく下っていくと鞍部となる。振り返ると南月山から右に伸びて黒尾谷岳に至るあたりの尾根の斜面には、 ダケカンバの幹の白が林立し、紅葉が点在して美しい。いよいよ 最後の登りと思って頑張って登り返すと、さらに先にピークがある。少しがっかりするが、気を取り直して 登ると山道脇右手に標識の立つ潅木に囲まれた白笹山山頂となる。
見通しは効かず休む気にもならない山頂である。そのまま急降下する。 下る途中、右手に茶臼山が見える。そして谷を挟んだ向こうの尾根の山肌はダケカンバの幹の白の林立と紅葉の点在が美しい。 道はドウタンツツジ、シャクナゲ、コメツガ、笹の道である。大きく稲妻型に下ってゆく。下るにしたがって眼下には沼原湿原と沼原池が見えてくる。 時々現われる鮮やかなカエデや真っ赤なナナカマドの実に慰められながら延々と下る。1時間弱下ると、分岐となり沼原湿原方向の道標にしたがって真っ直ぐ下る。
やがて涸れ沢にかかる橋に来た時、初めて登ってくる人と出会った。そして、さつき熊が出たことを教えてくれた。熊よけの鈴はぶら下げていたが、 景気よくならないので、手で持って鳴らしながら下る。やがて傾斜がゆるみ、林道に降り立った時は、もう終わりも近いこと、熊に出会わないことでホッとする。


(コースタイム)
自宅3:50==東名厚木IC==首都高速==東北道浦和IC5:12==上河内SA6:15〜42==那須IC7:07==沼原湿原駐車場(P)7:45〜55 −湿原入口8:08−湿原半周出口8:20−駐車場近道分岐8:45−日の出平分岐9:00−茶臼岳展望箇所10:00〜05−三斗小屋分岐 10:10−ひょうたん池分岐(池往復と休憩含む)10:29〜45−姥ケ平10:53〜11:03−牛の首手前分岐11:29−牛の首11:30−日の出 平手前展望広場(昼食)11:47〜12:02−日の出平12:05−南月山12:26−白笹山13:06−沼原湿原駐車場(P)14:38==自宅20:00頃着

(地図)
・昭文社 山と高原地図2005年版「那須・塩原」


姥ケ原紅葉