A.山歩き/2.山紀行/・・新大日

新大日・長尾尾根
〜 札掛を基点に長尾尾根から境沢 〜



長尾尾根のブナ林

長尾尾根〜境沢(06-02-23歩く)
この日のお天気はあまり期待していなかったが、朝ゆっくり起きたところ、そのうち日差しがでてきたので、どこか近場の山でも歩いてみようと思い立つ。以前、友人に教えていただいた長尾尾根のブナ林でも見に行くことにする。 急に思い立ったので、連れは「これからわたしが準備したら遅くなる、一人で行ったら」と言う。そんなことで単独行となる。 まだ、残雪が多いかもしれないと軽アイゼンとスパッをザックに放り込んで出発する。自宅を出たのは8:30ころである。
途中のコンビニで食料を調達して蓑毛からヤビツ峠を経て宮が瀬に通じる県道70号線を上っていく。菜の花台では、富士山が靄で薄っすらと 浮かび、真冬の姿とは違って見える。また、ヤシャブシの花房やフサザクラのつぼみもだいぶ大きくなり、そろそろ山も芽吹きの時期を迎えようとしているようである。 ヤビツ峠、丹沢の名水の傍を通り、札掛の駐車場に向う。
札掛の駐車場に着いたのは10:10である。日は長くなったというものの、17:00時ころには暗くなる。新大日までに行くのを目標とするが、 午後14:00まで登って引き返すか、周回のルートである境沢に降りて戻ってくることにする。駐車場の傍から杉林に上って行く。 ずいぶん昔、長尾尾根に向ったことがあった。その時は植林された杉の薄暗い山道が延々と続き、いやになって戻ってきたことがあった。友人にブナ林があると聞いて 信じられない思いであった。
予想に反して、杉はよく手入れされていて、明るくその林立が美しい。20分もジグザクと杉林を登ると、もう一本の札掛丹沢ホームからの道と合わさり、道は右に廻り込みながら緩やかに 上って行く。途中、時々開け、丹沢三峰山が見える。やがて大洞・考証林入口の道標の立つ分岐に達する。ここを新大日へ左に廻り込みながら行く。右手には昨年歩いた雨量観測所付近から続く 黒木が目立つ尾根が見える。15分ほど行くと見覚えのある道標の立つ塔ノ岳・キュウハ沢分岐となり、塔ノ岳2:40とある。そして正面には上の丸らしきピークが立ちはだかっている。
正面の塔ノ岳方面に上っていく。道は割合若い杉の植林地を右斜めに登りながら入ってゆく。若い植林地を抜けるとモミの大木の混じる 明るい杉林となり、道は左に折り返し登って行く。そして上の丸の主のようなモミの大木の立つミズナラなどの明るい斜面を右に 見ながら回り込んで行き、上の丸の裏側に回り込む。正面には塔ノ岳への二の塔、三の塔あたりの表尾根が見える。そして、また 杉林に入り抜けると、完全に上の丸をかわし、尾根に乗る。
若千下った後に登りとなる。そろそろ芽吹きの時とはいえ右から吹き上げる 風は冷たく、手がかじかんでしまいそうである。梢の間からは丹沢山の三峰が見え、懐かしい。大まかに言って、右側が雑木林で左が杉林の道を登って行く。真正面にピークが見え、それに向って 登るのかと思ったら、右手に鹿除けのフエンスの赤テープのぶら下がった網戸が現われ、それをくぐって右斜めに杉林を登って行く。そして途中から左に折り返し、また網戸をくぐり、 尾根に戻る。先ほどのピークが昭文社地図「丹沢」の1004mのピークと思われる。
雪の残った杉の疎林の道を先ほどの網戸出口から15分ほど登ると、傾斜もゆるみ、左側が杉林で、右側がブナ林か、と思われるような自然林の綺麗な明るい道となる。さらに7分ほど明るい尾根道を登ると 待望のブナが現われ、直ぐ上にピークが見える。大体1100mの地点ではないかと思われる。ここから写真を写し写し行く( そのためブナ林の始まりから道標のある札掛(境沢)分岐までの下記のコースタイムは 全くあてになりません。)
すばらしいブナ林である。 この厳しい環境で、良くぞ残っていてくれたと思う。丹沢山の堂平に比べて平坦な場所のブナ林の面積は少ないが、約1100mの標高のあたりから新大日の直下まで尾根に沿っておおよそ1.0kmにわたって続いている 規模の大きいブナ林であった。
写真を写し写しし、札掛(境沢)分岐に着いたのは13:51である。もうタイムリミットである。新大日の方に10分ほど進み、ブナの様子を 見る。ブナは少なくなったようなので、境沢ルートで下ることにして戻ることにする。境沢までは道が荒れていて、しかも急降下、慎重に下る。 約50分ほど下ると沢の音が聞こえ、小さな滝が見えてきて境沢に降り立つ。すぐ林道かと思ったら、それから沢下りであった。沢を、何回となく横切たり、高く巻いたりする鎖場もあるルートで、 林道終点の境沢出合まで、滝や渓流の写真を写して道草もしたが、実に1時間15分もかかった。
林道終点ではお天気のせいもあり、少し暗くなってきた。さらに林道を50分ほど下ると、丹沢ホームの明かりが見えてきて、ようやく着いたかとホッとする。帰り、丹沢の名水「護摩屋敷の水」をポリタンクに汲み、家へのお土産とする。 ヤビツ峠の先の菜の花台付近に来た時は、もう、薄暗くなり、眼下に眺められる秦野の町並は明かりが輝きだしていた。


(コースタイム)
自宅8:34==札掛(P)10:10〜17−大洞・考証林入口分岐10:50〜57−キュウハ沢分岐11:10−鹿除け網戸(入口)11:58−鹿除け網戸(出口)12:06−ブナ林のはじまり12:30−新大日1.6km、札掛3.9km道標と赤看板13:11 −土嚢の山道13:43−札掛(境沢)分岐13:51〜14:12−境沢15:02−境沢出合(林道終点)16:17−札掛(P)17:05

(地図)
・昭文社 山と高原地図 「丹沢 2003年度版」
・地形図 1/25000 「大山」
















境沢の滝

Canon EOS Kiss DN / SIGMA 17〜70mm DC にて撮影