A.山歩き/2.山紀行/・・鍋倉山

鍋倉山



茶屋池の紅葉 Canon EOS kiss DN/TAMRON XR 28-300mmにて撮影

鍋倉山(05-11-02歩く)
鍋倉山はブナの根開きの写真などで知っていたが、日帰りの山歩きをしている身としては、遠すぎて敬遠していた。 しかし、写真クラブの志賀高原の撮影会があって、その帰り長野道の信州中野ICから乗って中央高速で戻ってきた。 意外に時間がかからない。3時間ほどで八王子ICに着いた。
実業之日本社のガイド「四季の花を楽しむ100山」によると 関田峠まで車で上がると鍋倉山は3時間で往復できそうである。これなら十分日帰りでも可能と、少し紅葉には遅くなった気がしたが 天気予報をみて晴れの日を選んで行ってみた。
豊田・飯山ICにはほぼ予定通り着く。ICで鍋倉に行くにはどう行くのか と聞いたところ、マップをくれた。これが分かりやすく役立った。117号線を飯山市の方に行って有尾北という交差点から左の 95号線に入る。踏み切りを渡ってしばらく道なりに行くと戸狩の交差点となる。ここは左に行く。やがて、みゆき野ライ ンとの分岐となる。右に見送って真っ直ぐ少し行くとまた分岐となる。ここは「光ケ原」の方に右折し、後は道なりに山へ向って登っ て行く。
ヘヤピンカーブを登って行くと民家もなくなり田茂木池が左手に見えてくる。正面には、真っ青な青空の下、紅葉で真っ赤に燃えている 鍋倉山が横たわっている。写真を写すために車を止めてよく見ると、麓から中腹は紅葉真盛りで、山頂から尾根にかけての上の斜面には葉っぱを落したおびただ しい数のブナの白い幹が林立している。さすがブナの山である。見ていると胸がときめいてくる。
どんどん高度を稼ぐと展望が開け、眼下に朝霧が広がっている。千曲川や飯山・野沢の町並みは朝霧の下にかくれ、志賀高原の山々や苗場山、鳥甲山が 遠く朝霧の上から顔を覗かせている。やがて勾配がゆるんでくると池が見えてきて、ブナ林にかこまれた茶屋池ハウスに着く。
山歩きの準備をし ていると、バイクで写真を写しにきた地元の人と出会う。いろいろ話しているうちに、関田峠を越えたあたりから日本海の大パノラマが 見えるという。それなら登る前に見てみようと、車で行ってみる。峠を越えると眼下に光ケ原牧場が広がり、その先に上越の米どころの 平野、それから日本海の大海原、水平線と広大なパノラマが展開していた。
茶屋池に戻り、鍋倉山へ池の東南沿いの山道を行く。 池の水面に写りこむブナの林立と紅葉が美しい。すぐ池畔とも分かれ、池に沿った高台のブナ林の山道に入る。黄葉の葉っぱを残したブナ林は木肌が白く滑らかで、 天にすっくと高く伸び林立し、明るく大らかである。やがて池の西側に達すると、関田峠からの道と合わさるT字路となり、左へ 鍋倉山へと進む。
このあたりから、北面の斜面で風雪が厳しいのか、雪に押しつぶされたような根曲がりのブナの若木などの潅木が多くなる。 分岐から4,5分も行くと小さな沼に達し、そこからわずかな距離であるが急登となり、登りきるとフラット道となる。右の樹間からは上越の平野と日本海が見え隠れする。 そして分岐から12分ほどで一箇所だけであるが樹木が途切れ、日本海方面の展望箇所となる。それからもブナなどの潅木の茂るフラット道が続く。 展望箇所から25分ほど歩くと黒倉山が目の前に見えてきて一登りすると山頂に達する。山頂は北面方向の樹木が切り払われていて 先ほどと同様日本海側の展望が極めてよい。
ここから左に90°方向転換して鍋倉山へ向う。最初なだらかであったが、そのうち急降下して 鞍部に達し、右にヨシハ池方面の道を見送り、左の鍋倉山方面へ行く。するとすぐ、巨木の谷方面への分岐となる。ここも左に巨木の森方面を見送り、 道標にしたがって鍋倉山へは斜め右に行く。これらの分岐付近は、ガイド「四季の花を楽しむ100山」では要注意となっていいるが道標がしっかりしていて迷うことはない。
目の前にはピークが見え、直登するのかと思ったらピークの右の沢伝いに登って行く。周りの斜面のブナの白い木肌の林立が美しい。 沢のためぬかるんで道が極めて悪い。滑らないように慎重に登って行くと ひよこりと小さな祠の立つ鍋倉山山頂となる。右側は伐採されて開け、わずかに雪を頂いた火打、妙高方面の山々が望まれる。 真っ直ぐ行くと志賀高原方面が大きく開け、薄い霞がかかっている。霞の下には千曲川が光り、志賀高原の山であろうか霞の上から 顔を出している山が見える。
帰りに巨木の谷に寄ることも考えたが、県道の反対方向の遊歩道を散策するのでパスして、関田峠に向う。元来た道を下って黒倉山へ 登り返す。黒倉山まで戻るともう緩やかな下り一方の快適な道である。鍋倉山から約50分で茶屋池分岐に着く。そこからは未知の道である。 ブナの大木が多くなり、下にはナナカマドがすずなりになっている。分岐から10分余行くと背の高い太さもそろった雰囲気のよいブナの森になる。 上を見上げ写真を写しながら行くと、また潅木帯となり、やがて関田峠に出る。
県道に出ると向いに信越トレイルが上がっている。 入る込むとすぐ二股に分かれている。右斜めは荒れ気味で、真っ直ぐは信越トレイルの標識も立ち、立派な道である。どう見ても真っ直ぐの ようである。ガイドにはジグザクと登る、とあるがまっ直ぐにピーク目指している。そしてピークに達しても、道は茶屋池の方角、すなわち南には向かないで どんどん北へ県道から遠ざかり、梨平峠の方に向っているようである。峠のあの右斜めに行く荒れた道が正解のようで、戻ることにする。 戻る途中、ピークで昼食とした。
関田峠まで戻り、振り出しとなる。荒れた踏み跡の薄い道の入口には道標も無い。兎に角入ってみる。 ガイドのようにジグザクと登り、それから県道沿いにトラバース気味に行く。笹で覆われ、倒木が道をふさぎ、あまり手入れもされていないし、歩かれても いないようだ。それに見るべき物もない。こんな道は来るんじゃなかったと思いながら12分ほど歩くと、突然、右の沢を隔てた向こうの小高いピーク にブナの森が見えてきた。山道は沢に敷かれた木道を経て小高いブナの森に上って行く。すばらしいブナの林立である。今までブナの森をいろいろ見てきているが No1と言ってもいいくらいである。帰りに茶屋池ハウスでもらったパンフレットによると樹齢200年のブナ林とのことである。すっかり、苦労した廃道歩きの ことも飛んでしまうほどであった。
美しいブナの森を5分ほど行くと初めて道標が立つところにいたった。そこは「県道へ86m」とシェルター形東屋を経て茶屋池へ至る 分岐であった。この分岐を左に行くとまもなくシェルター形の東屋が現われる。東屋の右側の潅木を抜けると、またまたすばらしい ブナの森となる。先ほどの沢の辺りとこの辺が鍋倉山のブナ林がもっとも美しいところではないかと思われる。
山道はへヤーピンカーブを 描きながらブナ林の中を茶屋池へと向う。一度ブナが少なくなるが、再度ブナの林立が多くなると、樹間から池が見えてきてやがて 県道に降り立つ。まん向かいに池めぐりの遊歩道が伸びているが、それだと茶屋池ハウスには池を一周しないと戻れないので、県道を左に下ってゆく。 2,3分も行くと茶屋池ハウスが見えてきて無事山歩きを終えることになった。
まだ13:47で時間的に余裕がある。茶屋池のブナの写りこみを望遠レンズに換えて 写すことにする。例年だと紅葉はとっくに過ぎている時期と思うが今年は遅れて池畔の紅葉も残っており、写り込みが 美しい。上の写真はこの時写した写真である。


(コースタイム)
自宅4:00==相模湖IC5:11==中央高速・長野道==豊田・飯山IC8:13==茶屋池ハウス(P)9:07〜30−小さな沼9:58−日本海展望箇所10:06− 黒倉山10:32〜35−巨木の谷分岐10:43−鍋倉山10:59〜11:18−黒倉山11:40−小さな沼12:05−茶屋池分岐12:09−関田峠(山道探索と昼食) 12:33〜13:05−沢13:17−県道分岐13:23−東屋13:26−県道13:43−茶屋池ハウス(P)13:47〜14:10==自宅20:00頃着

(ガイドブック)
・実業之日本社 「四季の花を楽しむ100山」

(地図)
・1/25000地形図 野沢温泉
・茶屋池ハウスでいただいた略図です。

●特記事項
本文及び上記略図に記載しておきましたが、関田峠から県道の向かいのピークをたどってシュレター形の東屋に行く山道は荒れていて 一般向きでないです。関田峠にでましたら県道を右にくだり、略図の「ブナ林コース」の通り県道の途中からブナ林の遊歩道に 入るといいです。


沢付近のブナの美林 Canon EOS kiss DN/EF-S10-20mmにて撮影