A.山歩き/2.山紀行/・・物語山


物 語 山


西峰からの浅間山


物語山 ('06-11-21歩く)
なんともロマンを懐かせる名前である。そのため気になってはいたが、名前だけでは 登る気にならなかった。しかし、山の秋も深まり、手ごろな1500m級の山も紅葉が終わり、どこへ登ろうかと思案している時、友人から 物語山に登った、紅葉も綺麗、という情報を聞いて、急遽登ってみることにした。
自宅を4:30ころ出発する。 物語山は昨年の秋に登った荒船山の近くで、勝手知った道、関越・上信越道下仁田ICで降り、佐久方面に行く。インターネットで調べると サンスポーツランドの駐車場に車を置くとよいとのこと。地図には軽井沢への交差点の先の深山温泉が登山口になっている。従って、 サンスポーツランドと深山温泉を目印に走る。だいぶ内山峠付近の山も迫ってきて、こんなところにスポーツランドがあるだろうか、と 思って走っていると、左手に大きなスポーツランドの看板が現われる。
左折して橋を渡るとすぐ右手がスポーツランドになっていて、まだ閉まっている 正門の前に駐車場があり、物語山登山道案内図の案内板が立っている。ここに違いないと駐車する。周りを見渡すと、なんという山であろうか、 岩山の紅葉が朝の斜光を浴びて輝いている。紅葉真盛りである。これからどういう景色が現われるか楽しみにして出発する。
薄暗い 杉の植林帯の林道を緩やかに上がってゆく。いまや紅葉真盛りだというのに、このような薄暗い杉林の林道を行くとは、全くもったいないと 思いながら行く。林道と平行して流れている沢(丹沢)がサラサラと瀬音をたてているのが、せめてものなぐさめである。ようやく15分ほど歩いて自然林 となり、ホッとする。サワグルミ、イタヤカエデ、カツラなど黄色い葉っぱの黄葉の自然林がつづく。
そして、30分ほど行くと、瀬音は 一段と爽やかな響きとなる。よく見ると一枚板のような岩盤の斜面をサラサラと清流が流れている。右手の斜面の森は朝日が登るに従って、日陰を 徐々に下に下げ、黄色く華やいでくる。やがて、林道は沢を横断しながら大きくジグザクと登って行く。
沢を横切ると小滝が現われ、 紅葉も彩りを添える。少し上ると東の尾根の上にはとんがった伝説の岩、メンベ岩が現われ、朝日がメンベ岩と日陰の斜面の一部の 紅葉の樹木をスポットライトのように照らしている。さらにUターンしながら上がると、西側の上に、松が生え赤いもみじが彩 りを添える盆栽のような朝日に照らされた岩峰が現われる。そして、さらに登ってゆくと物語山の全容、メンベ岩・岩峰の西峰・なだらかな南峰が連なって現われる。 錦秋の物語山は朝日に照らされ黄金色に輝やいている。その姿は神々しく、これがこれから登る山かと胸が躍る。

やがて林道の左側に道標が立ち、物語山への山道が 左の沢へ下っている。 昔は沢沿いの道であったのだろうか、手製の道標に沢筋はXと記されており、杉の植林の急斜面をジグザグと 上って行く。15分も登るとモミジの綺麗な自然林の小さな尾根にたどり着く。
そこからトラバース気味に薄べったい石の多い大きな涸沢に至り、 稲妻型に付けられた山道をコル目指して登って行く。ここが最もきついのぼりである。あえぎあえぎ、ジグザグと高度を稼いでゆくと 、背後の荒船山が競りあがってきて、冬枯れの枝の間からクッキリと見える。やがてV字のシルエットが大きくなり、コルに到着する。道標には左、西峰、右、物語山と ある。最初に物語山に行くことにして右に登って行く。
薄い板状に重なった岩が露出している潅木の斜面を10分余ほど急登すると傾斜も緩んでくる。一息ついて周りを見ると、左端はすっぱりと切れている 断崖のようである。潅木の木々にはサルスベリの木肌のような木が沢山混じっている。アカヤシオのようである。そのほかミツバツツジであろうか ツツジの木が多い。先に小ピークが見える。そこが頂上かと思ったら違うようで、山道は一旦下りコナラ林のトンネルを行く。 そして左に導く道標に従って左に行くと、新しい標識の立つ左側が開けた山頂に達した。
すばらしい眺めである。丁度、荒船山の艫岩からの眺めと似ている。正面には妙義山、左には浅間山が、眼下には紅葉の国道245号沿線風景が見える。 浅間山は山頂付近が雪に覆われ、まるで富士山のようである。写真を写し、小休止した後、西峰に向う。コルから5分ほどで、山頂に達する。 ここは浅間山方面が大きく開けているが、眺めは大体南峰と同じである。メンベ岩が見えるかと下の方を見てみるが見えない。 左の潅木の中に赤テープがあり、見晴らしのいいところにでも出るのかと少し行って見るが、開けている様子もない。 写真も写したし、小休止しもしたので下山することにする。
コルに着くと、高崎から来たという男性三人と出会った。それはこの日初めて出会った人達ちで、実に静かな山であった。 林道に降り立つと、日が高くなったので周りの山の日当たりも多くなり、日陰に潜んでいた紅葉も輝きだし華やいでいる。
のんびりと小滝や、岩峰、紅葉の写真を写しながら下る。昼も近くなったので、滑沢の近くで昼食をとることにする。サラサラ流れる爽やかな瀬音を聞きながら、 弁当を食べ、それに今日の山歩きの余韻を楽しむ。滑沢、小滝、松の生えた格好いい紅葉の岩峰、岩峰の立つ錦秋の物語山、それから山頂からの大展望 と、低い山であるがなかなかいい山であった。

帰りはお土産に野菜の直売所で下仁田ネギとコンニャクを買って、内山トンネルを通って佐久に出て、清里、中央高速須玉ICを経て帰ってきた。 荒船山・内山峠・清里付近は既にすっかり冬枯れになっていた。物語山は紅葉がなんとか残っていてラッキーであった。

(地図)
・昭文社 山と高原地図 「西上州・妙義」

(コースタイム)
自宅4:25==東名厚木IC==用賀IC==環八==関越練馬IC5:40==上里SA6:32〜58==下仁田IC7:20==サンスポーツランド(P)7:44〜55--林道登山口8:56--コル9:44--物語山10:04〜10--コル10:27--西峰10:32〜42--コル10:45〜50 --林道11:29--滑沢11:53〜12:17--サンスポーツランド(P)12:48






物語山全貌 下山時写す





メンベ岩 登る時写す





西峰 下山時写す





南峰(物語山) 下山時写す




林道の西に見えた岩峰  登る時写す





西峰からの妙義山





西峰から浅間山




[CANON EOS Kiss DN /SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]