A.山歩き/2.山紀行/・・御岳山から鳩の巣


御岳山から鳩の巣


鳩の巣渓谷雲仙橋からの展望


ケーブルみたけさん駅〜御岳神社〜大楢峠〜鳩の巣 ('07-04-13歩く)
同級生と桜咲く野山をハイキングでもしょうと計画する。近所の桜が散った今、 奥多摩あたりの桜が満開ではなかろうかと行ってみることにする。奥多摩の御岳山のケーブルで上がって歩いて鳩の巣へ下るコースが楽で良さそうだと想像して決める。 いつも車であるが電車で八王子に集まって八高線で御嶽へ行く。
御嶽で降りると駅の近くの桜は今や満開である。そして周囲の山を見渡す。 山桜が点在する山を想像してきたが、杉や桧の植林の青々とした山肌である。そういえばここは東京都である。植林に利用出来るところ放って置くはずがない。 御岳山山頂を期待しょう、と思いながら、バスを乗り継いでケーブルに乗り込む。

ケーブルの車窓をピンクのミツバツツジが次々と通過してゆく。山も早春の花が咲き出したようだ。 急勾配を6分ほど一気に上ると山頂駅に着いた。桜を期待したが、まだ早かったようで桜は見当たらない。もう、鳩の巣あたりを期待するしかないかなと思いながら周りを見渡すと、お土産店の奥の方に「カタクリ群生地」という 看板が立っている。お土産店の主人が出てきて、結構咲いているよ、と言いながら、パンフレットをくれた。
ようやく桜でないが春の花にありつけそうだ。 花見でもしょうと折角誘って花が見られなかったらどうしょうかと思っていたので内心ホッとする。擬木の階段を上がってゆくと、上に展望食堂があり、その前をさらに登ると平坦になり、安産杉、二本杉という大木の先に、 森の春の妖精カタクリを見つける。
一個見つけると目がなれたせいかアチコチに見られる。手軽にケーブルでこられるのに、囲いもしている訳でもない、良くぞ 今まで絶滅することなく残っていたものだと感心する。日差しが当たっていないためにうつむいているのが多いが、花びらを跳ね上げた可愛らしい姿のものもある。冬枯れの淋しい森にポッとピンクの灯火をともしたようなカタクリは愛らしく、何度見ても 感動ものである。カタクリの咲く道を御岳神社の標識に従って進んでゆく。分岐に来ると、いま歩いてきた方向を指して富士峰園地とある。そういえば途中、御岳山名物の「レンゲショウマ群生地」という看板もあった。この園地には夏にはレンゲショウマも咲くらしい。

カタクリの咲くところはあっという間に過ぎ、道は車道に出てビジターセンターの前を行く。この辺から、狭い急坂の道の両側に旅館、民宿、お土産店、休憩所が立ち並び、チョとした街となり、少しオーバーであるが空中の楼閣を思わせる。 それにしてもよくもこういうところに家を建て住んでいると感心する。それだけ御岳神社参りの人が多いということだろうか。斜面にへばりつくような街並を過ぎると、長い石段ののぼりが始まり、 やがて御岳神社に到着する。
朱色の立派な参殿に参拝した後、北西側の車道を降り、ビジターセンター手前の茅葺屋根の家のところから左に裏参道を鳩の巣へと向う。この分岐付近にはカタクリ、アズマイチゲ、エンレイソウなどが咲いていた。ここから大楢峠まで地形図の等高線 を辿るように枝尾根や枝沢を廻りこみながらほぼ平坦な山道を行く。約4kmほどあり、結構長いが、 あの御嶽駅で見た周囲の山々から想像しがたい自然林の残るいい道であった。
まだ木々はほとんど芽吹いておらず山桜には早かった。 しかし、足元を見ると、落ち葉の陰で冬篭りしていたスミレが顔を出し、沢筋にはネコノメソウが咲き、青々としたハシリドコロの若葉と褐色の花が見られた。カタクリも日当たりのよい斜面で群生しているのが数箇所見られた。 約1時間ほど分岐から歩くと杉の植林帯がところどころ現れ、花は見られなくなる。そして左に明るいコナラの自然林が開けてくると、大楢峠であった。

大楢峠には林道が上って来ていて、車が3台ほど駐車していた。丁度昼となったので昼食をとることにするが、風の通り道となっており、休んでいると寒くなりだしたので、早々に昼食を済ませ下る。ここまで御岳山の分岐から1時間45分ほど歩いたが 等高線を辿ってきたのでほとんど下っていない。これから鳩の巣まで約4kmの本格的下りとなる。桧の薄暗い植林帯を黙々と下っていく。
本来は山桜の咲く標高のように思うが、ずっと薄暗い植林帯である。30分余ほど下ると道祖神の石碑が立ち、勾配も緩んできて、小さな谷筋をトラバース気味に行く。思いがけなく、 ニリンソウの群生に出会うが、杉林で場違いな感じがする。それより15分ほど行くと越沢バットレスキャンプ場入口の道が右下に下っている。これを見送ってゆくと、大きな岩沿いの山道となる。 その大岩は苔がむし"庭石にどう"などと冗談をいいながら、ふと上の方を見あげると、ピンクの花が5,6個固まって咲いている。
それは初めて出会ったイワウチワであった。 そのピンクの色合いと花ビラのひらひらが可愛く清楚な花であった。大岩が続く、上を見ながら行くと、もう二箇所ほど塊が見つかった。それに、黄色のヒカゲツツジも咲いていた。また、小さな水の流れる沢にはハナネコノメが咲いていた。 友は私の喜びぶりをどう思ったか知らないが、思いがけない花との出会いで私は大満足であった。すっかり桜のことも忘れてしまったくらいである。
鳩の巣に着きそうでなかなかつかない。やっと古里駅への分岐の大展望台に来て、眼下に 鳩の巣らしき町並みが見える。そして8分ほど下ると桜、ハナモモ、モクレン、レンギョウ、ハナ大根、ハナニラ、菜の花、チューリップなどの咲く春爛漫の石垣のある坂下という集落にでる。写真を写しながら下ると、やがて鳩の巣渓谷にかかる雲仙橋につく。 橋の上からの渓流と芽吹いたばかりの新緑の木々、桜がすばらしい。ここで、今までのフラストレーションを晴らすかのように夢中になって写真を写す。そして夏の照り返しを思わせるような暑いコンクリート坂を駅へと登る。程なく駅についてベンチに座り、桜を見ながら缶ビールで祝杯をあげ、今日のハイキングを終えた。


(地図)
・ 昭文社 「奥多摩」

(コースタイム)
みたけさん駅8:50--カタクリ自生地(富士峰園地)9:07--ビジターセンター前9:20--神代欅9:41--御岳神社9:55〜10:12--裏参道分岐(茅葺屋根民家)10:35 --大楢峠12:12〜32--道祖神13:08--越沢バットレスキャンプ場入口13:32--古里駅分岐(展望台)14:12--雲仙橋14:38〜47--鳩の巣駅14:53











ネコノメ











イワウチワ





ハナネコノメ






坂下集落にて





雲仙橋にて




[OLYMPUS SP-550UZ にて撮影]