A.山歩き/2.山紀行/・・御正体山

御正体山



ーブナの見事な繊細な枝ぶりー

写 真 集

山伏峠から登る(04-11-06歩く)>
昨年の晩秋、道坂峠から今倉山に登った時富士山の方向に尾根が長く連なり大きく見えた 御正体山、いつかは登ってみたいと思っていた。調べているうちに、夏はブヨとか虫が多いことを知り、秋に登ってみょ うと思い、今回、道坂峠からより幾分楽な山伏峠から登ってみた。
東名御殿場ICで降りて、篭坂峠経由、山中湖の旭日丘を経て平野・山伏峠へと向う。篭坂峠を下りて行くと早朝の山中湖旭日丘の風景が見えてくる。 静かなたたずまいをみせている山中湖、逆光に光っている湖畔のもみじの木立と落ち葉の絨毯、なんともすばらしい。ちょっと道草して湖畔で写真撮影 してみようかという気持ちになるが、秋の日は短かい、早く山に登らなくてはと思い、振り切って山伏峠へと向かう。
山伏峠トンネルの手前の右側にチェンで閉じられている旧道が入りこんでいる。その入口が少し広くなっていて車3台くらい置く スペースがある(この他、路肩に乗り上げるスペース、2台ぶんくらいあり)。すでに2台ほど駐車していて、かろうじて残り一台分のスペースに 滑り込む。
身支度してまずトンネルの上の尾根に登って行く。尾根には10分余登るとたどり着く。それから左折して緩やかにコナラなどの 自然林の道を登ってゆく。木々の葉っぱはすでに落葉して見通しが良く、左側には梢越しに富士山が見える。しかし、空は薄曇であるため、 冠雪の富士山は今にも溶け込みそうである。また、コナラなどの木々は落葉しているが、もみじはしっかりと残っていて 、冬枯れのモノトーンの樹間に浮かぶように彩りを添えている。
そのような風景を楽しみながら、一つピークを越え、さらに二回ほど急坂を登ると前面に尾根が見えてきて石割山・御正体山分岐に 達する。ここまで一時間弱である。ここより右折してメインの尾根を登って行く。
モミの木の斜面をひと登りすると奥ノ岳の見事なブナの木が現われだす。 御正体山には見事なブナがあるということを知って今回登るきっかけにもなったが、こんなに早く現われるとは驚きであった。 奥ノ岳から緩やかに下って登り返す山道には葉っぱを落としたブナの大木が立ち、時々鮮やかなもみじが ブナの大木の前面を覆う。まるでブナは錦の衣をまとったように神々しく見える。
やがて樹林帯が大きく開け送電線の鉄塔の立つ見晴らしのよいところにでる。ここから杓子山方面に富士山が浮かんでいる。幸いまだ 雲と同化せずに雄大な姿をみせてくれている。すばらしい広々とした眺めである。年取って余り歩けなくなったらここまで登って帰るのも いいような気がする。見事なブナも見れるし、富士山もバッチリである。
折角登ったが山道はブナの樹林帯を下り、鞍部に達し 中の岳へと登り返す。この間はなかなか見ごたえがある。鞍部までの下りはブナの黄葉ともみじの紅葉が交錯し、登り返しだすと 冬枯れのコナラなどの木立の中に見事な色のもみじが見られる。さらに勾配がゆるくなると林床が白く縁取られた小笹の絨毯となり、 それと黄色、赤などのもみじとのコントラストがすばらしい。
鉄塔から35分も歩くと樹林の中にベンチと標柱が出てきて中の岳に達する。 そこからは落ち葉で踏み跡も薄い道をかさこそと下ってゆく。そして冬枯れの樹林にもみじの残る道をまた緩やかに登り返して行く。 やがて、平坦となってカラマツが多くなると前の岳の標柱が現われる。左側を見るとカラマツが散った梢越しに富士山がまだ雲と同化せず頑張っ て姿をみせてくれている。正面にはカラマツの黄葉に黒木が点在している御正体山が大きく立ちふさがっている。
少し下っていよいよ御正体山への登りに差し掛かる。ここからの登りが一番きつい。それにカラマツの若木に潅木が茂る変哲もない 斜面で見どころもないのもつらい。一本太いブナがあるのがせめてもの慰めである。25分も登ると今度はモミだろうか黒木の荒れた薄暗い斜面を登る ようになる。
さらに5,6分ほど登るとブナの倒木が見られるようになり、そろそろブナ林の出現かと思う。やがて傾斜も緩み、期待通り ブナの巨木やツガの大木があちこちに見られるようになる。天にのびる巨木を仰ぎ仰ぎ写真を写しながら行く。そのうち大木の根元に祠が見えてくる。 山頂かと思ったが標識はない。さらに花のころは壮観だっろうと想像されるトリカブトのドライフラワーの群生の中の道を進むと樹林の先に祠と御正体山 自然保全の案内板が見えてきて山頂となった。
山頂は何も見晴らしはきかない。見るべきものもないので適当に休んでもときた道を下る。 途中、ちょうど中ノ岳で昼になったので昼食とする。下りは、富士山はもうすっかり雲の中で見えない、もみじも登りのときと光具合が違って 余りさえない、ただただ下るのみと思ったが、偶然にもクリタケの株を発見、急遽キノコ狩りアワーとなり、山の神に感謝し幸せな気分なり、 無事山歩きを終えた。


  • (コースタイム)
    自宅4:50==東名厚木IC5:15==御殿場IC6:05==山伏峠(P)6:40〜46 --石割山分岐(尾根)7:36〜45--奥の岳7:55--鉄塔8:00〜05--中の岳8:40--前の岳9:18〜25-- 御正体山10:15〜30--中の岳12:00〜20--石割山分岐13:20〜30--山伏峠(P)14:05
     ----- 合計: 休みや写真撮影も入れて7時間20分 ------

  • (地図)
        ・昭文社 山と高原地図 富士
        ・1/25000地形図 御正体山