A.山歩き/2.山紀行/・・升形山・黒富士・曲岳


升形山・黒富士・曲岳
( ますがたやま 1650m余  )


升形山山頂

観音峠(P)〜黒富士登山口〜八丁峠〜升形山・黒富士〜八丁峠〜曲岳〜観音峠 ('09-06-09 歩く)
楽ちん山歩きを求めてNETを右往左往。1462mの黒富士登山口に車置いて、八丁峠に登ると、一挙に4っの山に登れると言うのを発見。それに引かれて行ってみた。 世の中、なかなかそうはうまくはいかないもので、観音峠に着いたところ、観音峠大野山林道が落石崩壊で観音峠のすぐ先で通行止めになっていた。 仕方ない、黒富士登山口まで観音峠に車を置いて林道を歩いて行くことにする。
普通、林道の周りは杉や檜の植林帯が多いが、さすがに 1400m位の標高になると豊かな自然林。林床にはつぼみを持った青々したヤグルマソウが群生している。新緑の木々を愛でながら、45分 程行くと、「黒富士登山口」の道標が立ち、沢沿いの鬱蒼とした自然林の道を緩やかに登って行く。林床の幾何学的なシダ、紫のラショウモンカズラが美しい。 梅雨のような天気が続いたので、苔類も元気で瑞々しくてきれいである。20分ほどで十字路の八丁峠に着く。
ここより道標に従って、左へ霧で煙る樹林帯を巻き気味に行く。10分も行くと、ガスの流れる明るい防火帯のようなカヤトの原に飛び出す。 思いがけずヤマツツジがアチコチに咲いていて、得したような気分になる。山道は右斜め方向と左にも踏み跡の濃い道が分岐している。しかし、標識はない。 黒富士は方向からすると左のように思うがどうだろうか。左上に樹林のピークが見える。近いようなのでとりあえず行ってみることにする。
少し行くと、また分岐となる。手製の標識があって、左方向「黒富士峠」とある。黒富士峠??? 左は見送って、真っ直ぐカヤトを上って行く。 右のコナラの樹林帯にはヤマツツジが咲き、振り返ると左向こうに烏帽子のような形の山が見える。 変わった形の山があるなぁ〜と思いながら登ると、樹林帯の急登となり、木につかまりながら登って行く。やがて、ヤマツツジと大きな岩場が空を背景に見えてきてピークに達した。
岩場を左側から這い上がり、狭い岩の上に出る。そこには小さな株のヤマツツジが咲き、手製の標識がくくりつけられて「升形山」とあった。断崖絶壁のなかなかの眺めである。 "ここが升形山か、では、あの烏帽子のような山は? 黒富士だったのか"と頭の中で今まで思い込んでいた地形を修正する。
この後、カヤトの分岐点まで戻り、左へヤマツツジ咲く樹林帯に入ってゆく。間もなく、朽ちかけた道標の立つ太刀岡山・黒富士分岐となる。 右後方向が太刀岡山、左前方向が黒富士とある。ここもなんとなくすっきりしない。太刀岡山はなぜ右後方向なのか、そのまま行くと八丁峠の方角のような気がする。 でも、八丁峠方向は今来た道方向となっている。標識があったからいいようなもの、なんともややこしい山道である。
白樺などの混じる自然林の道を一旦下って、緩やかに上って行く。林床にはマイズルソウが咲き出し、ギンランも見受けられる。 烏帽子のような形の黒富士、急登はいつかいつかと行くうちに、とうとう岩の混じる急登が始まる。そして約7,8分も登ると左側が見晴らしのいい岩場となる。ここが山頂かと思ったが、標識はなく 、山頂へは右へドウタンツツジの多い岩尾根をゆく。やがて、ヤマツツジ咲く山梨百名山の「黒富士」に到着する。木に遮られて見晴らしは効かない。傍に展望台へのプレートがあったので行って見る。 なかなかの展望であるが雲が多くて見通しは効かないので、確認だけして戻る。
丁度カヤトの升形山分岐点でお昼になったので、ガスで見え隠れするヤマツツジを見ながら昼食とする。黒富士登山口に駐車する計画が狂ってしまった。 帰りはまた林道戻るのもつまらない、楽チン山行を放棄して曲岳経由で観音峠に戻る事にする。
八丁峠に戻って、真っ直ぐ曲岳へと 樹林帯の道を行く。八丁峠近くは樹林の中にヤマツツジが見えたりしたが、やがてアップダウンを繰り返しながら、緑一色の樹林帯を行くようになる。林床に時々、マイズルソウ、ユキササが咲き、気分転換させてくれる。 峠から30分位歩くとカラマツ林になり曲岳への登りに差し掛かる。ガスの中から武骨なブナがヌ〜と現れ、それを合図に急登が始まる。
岩や木や根に掴りながら登って行く。 升形山といい、黒富士、曲岳といい、山頂近くが尖がった急峻な山である。なぜであろうかと思いながら登る。約10分弱登ると傾斜が緩みプレートが立つ展望台に着くが、見えるのは真っ白なガスのみである。そして、僅かに行くと、 山梨百名山の標識が立ち、ヤマツツジの咲く曲岳に到着した。
木に囲まれて何も見えない。先ほどの展望台が曲岳の展望所のようである。小休止して出発する。今度は穏やかな樹林帯のくだりである、と思っていたところ、展望ブリッチという岩場に差し掛かる。 岩場の右下を巻くように一旦下る。そして登り返す。その登り返すのが一枚岩でロープを頼りに強引に登る。そして、狭い岩の隙間を通って岩の多い山道を下る。
ここから急降下が続く。今度はブナの大木がいく手を塞ぎ、 ブナの露出した根を階段代わりにトラロープ頼りに下る。それからも樹林帯の急降下を繰り返し、ブナから15分ほど下ると、今度は「めまい岩」という岩場となる。 右下へトラロープで降りて巻いて行く。これで終わりかと思ったら大岩が完全に道を塞ぎ、左下へ岩をトラロープで降り、大岩の左下を巻いてゆく。 そろそろ傾斜が緩んでいいと思うが、最後の最後の林道まで結構きついくだりであった。 朝方、観音峠に車を置くことになった時、曲岳から登ってみょうかとも考えたが、下りに採用して正解であった。

( マップ・ガイド )
・昭文社 山と高原地図 「金峰山・甲武信 2006年度版」

( 特記事項 )
 上の地図では八丁峠から、黒富士と升形山へのルートがパラに伸びているが、実際は黒富士方面に行って、途中の防火帯のようなところから 升形山への道が分岐している。この分岐にはNetでみると数年前まで手製の道標があったようであるが、今回は道標がなかった。
八丁峠の北側の林道のヘヤピンカーブの先端が黒富士登山口となっている。駐車スペースがあり、八丁峠への山道も明瞭である。

(コースタイム)
観音峠(P)--(林道歩き45分)--黒富士登山口9:02--(20分)--八丁峠--(10分)--升形山分岐--(10分)--升形山 --(8分)--升形山分岐--(25分)--黒富士--(23分)--升形山分岐--(6分)--八丁峠--(47分)--曲岳--(60分)--観音峠(P)



シダとラショウモンカズラ




升形山への山道から黒富士




ヤマツツジ咲くカヤトの原




曲岳の武骨なブナの大木


LUMIX DMC-LX3 にて撮影

( END )