真鶴半島・灯明山

鬱蒼とした常緑樹の原生林と豊穣の海を巡る




真鶴半島・灯明山(04-12-28歩く)
真鶴半島の灯明山はたったの96mの山である。しかも車で上がったので(P)からの実質の登りは40m位である。 ここには「魚つき保安林」というクロマツ、クスの木、シイの大木の混じる鬱蒼とした原生林があるというので行ってみた。 帰ってきてこの森の成り立ちを真鶴町観光協会のHPで調べてみた。すると下記のような記事であった。もともとは植林であるが 300年余も経つと原生林になってしまうのかもしれない。実際に見てそのように感じた。
真鶴半島は、その昔は木々がほとんど無い萱原であったそうです。その萱原に木々が姿を現したのは、 江戸時代になってからのことです。  明暦3(1657)年に起きた振袖火事(=明暦の大火)により、江戸の大部分が焼失しました。そこで幕府は木材確保を目的に各地 に植林を命じました。そして小田原藩が選んだのが真鶴半島だったのです。寛文年間に15万本の植林を行なったと今に伝えられています。  小田原藩の「御留山(おとどめやま)」として人の立ち入りが禁止され、明治時代には「御料林」として、戦後は「国有林」として、 常に保護されてきました。


この地図 はクリックすると拡大して見れます。

この原生林の森には地図のような森林浴遊歩道があり、それが海岸の磯の潮騒遊歩道とつながっています。 原生林を散策して後、磯の方に向かうことにし、車は森の遊歩道に近い駐車場(P)に置きました。 そして車道を戻り、地図にはありませんが来る時確認してきた遊歩道入り口のAから遊歩道に入りました。 すぐ分岐になりますが、左の番場浦の方に向かいます。常緑樹の大木があちこちに見られる欝蒼とした薄暗いくらいの森を緩やかに登り ます。途中の斜面にはクスの木でしょうか、この森の主とでも云えそうな巨木が立っています。すぐ山頂です。
そこからは平坦な森林浴遊歩道です。 天を常緑樹の枝が覆っていますが、木々はうまい具合に住み分けており、お互いの葉っぱが接触しないように間隔をあけています。 その美しいシルエット模様はいつまで見ていても飽きませんでした。またたくさんの野鳥のさえずりが森のあちらこちらから聞こえ心地よいです。 さえずりからして方々を飛び交っているように思えますが、あまりにも高い樹なので姿を見ることができないのは残念でした。
やがて十字路Bに出ます。道標に野鳥観察小屋2分とありましたので行ってみました。四角い覗き窓のついた小屋がありました。何か野鳥が いるかと覗いたんですが、シダとか草地で、さえずりは聞こえますが、野鳥の姿は見当たりません。そこは窪地になっていて雨の多い時期は水が たまり、水飲みにくるのかなぁ、と思いました。
十字路に戻って番場浦方面へ向かいます。小鳥のさえずりや天を覆う枝を観察しながら 緩やかに下ると、車道に出ます。車道を左に少し行くと潮騒遊歩道入り口Cとなります。そこを右前方方向に下ってゆきます。 木々の間からは美しい海が垣間みられるようになります。林床には赤い実をつけたアオキが多くなります。
やがて前方右下に駐車場が 見えてきて道が右下に分岐Dしています。これを駐車場方向に下に下ってゆくと駐車場に降り立ち、少し分かりづらいですが駐車場の 海側に海岸に降りる階段 があります。これを下ると番場浦に出ます。すぐ目の前に伊豆半島と新島が、左手にはしめ縄の渡された三ッ岩が見えます。ここで遅い昼 食を取った後、磯沿いの道を三ッ岩方向に向かいました。いろいろな草花や実が見られましたが、磯の植物は不勉強でさっぱりです。 光る海、潮騒、山もいいですが海もいいです。特に、潮騒は人間の遠い記憶にあるのでしょうか心地よいものでした。のんびり15分も歩くと 引き潮の時に三ッ岩に渡る袂につきました。そこには立派なWCの建物が建っていました。
そこからはケープ真鶴まで石段を登ります。上に上るにしたがって浅瀬の白波の道が三ッ岩へつながっているのが見えてきます。 もう花が終わったいましたがハマユウが多いです。また、石段の脇には水仙の花が咲き、いい香りとを漂わせていました。 石段を登りきると広場になっていて、食堂とお土産の店があるケープ真鶴があります。土産店には中川一政の絵が飾ってありました。 絵を見た後、車道をわずかに下って登り返すと車を置いた(P)に戻りました。
海と森のよき関係、森の茂るところは魚が取れるとのことで、漁民が植林をおこなっていることを良く聞きます。森から海に流れ込む清流が植物プランクトンを育み、 そこに魚が寄ってくるようです。しかし、この真鶴半島の場合は川はないです。どうして魚つき保安林というのであろうか、森により土砂が磯に 流れ込まず、岩礁がきれいに保たれているからであろうか、それとも、魚も木陰を好むのであろうか。不思議です。 しかし、魚も人間と同じ生き物、魚が森を好むというのはなんとなく分かるようなきがした森から海へと巡るハイキングでした。

  • (コースタイム)
    (P)12:05--遊歩道入口12:11--灯明山12:20--分岐12:34(野鳥観察小屋往復含む)--番場浦入口-12:52--番場浦13:07〜20--三ッ石入口(WC)13:35-- ケープ真鶴13:46--(P)13:55
    合計 写真撮影、休憩も入れて2時間弱



    アオキの実とクスの木