A.山歩き/2.山紀行/・・雲取山


三条の湯から雲取山


雲取山山頂から望む


三条の湯から雲取山 ('06-06-30歩く)
梅雨時の天気予報はころころ変わるので、山歩きも、「あっ、明日お天気 になりそうだ、どこか山へ登ってみよう」という具合で急なものになり、どうしても近場になる。しかし、もうほとんど登ってし まっている。唯一残っているのは奥多摩あたりである。これは湘南からのマイカー登山だと丹沢、道志、高尾・陣場の山々がその前に立ちはだ かって、アクセスしにくいことが理由であった。
友人から、「三条の湯から三条ダルミまでの広葉樹林の道がなかなかいい。 それに後山林道は三条の湯の近くまで車で入れる」ということを聞いていて雲取山が気になっていた。今回、思い切って行ってみた。 一番悩んだのは後山林道入口のお祭までどう行くかである。一之瀬高原なら文句なしに中央高速勝沼塩山、柳沢峠径由であるが・・・。 早朝発なので八王子を抜けるのも混まないと思い、距離的に短い八王子径由青梅街道で行くことにした。帰りは八王子は混むので 小菅径由で鶴峠を越え相模湖にでて、戻ってくることで計画した。
比較的近場であるが、八王子を抜けるまで混むので、いつもの 遠出のように自宅を4:00にでる。関越に乗るのに圏央道のあきる野ICを利用していたので、 あきる野までは勝手知った道である。この後、青梅、奥多摩を目印に道なりに進んでゆく。コンビニで昼飯を調達しなければならないが、 段々、バイパス道を行くせいかコンビニがなくなり、心細くなる。ようやく、青梅あたりで見つけて、昼飯を調達して持参した朝食を食 べながら15分ほど休憩する。大体5:30〜45頃だったと思う。
奥多摩に近づいて、今度は塩山方面を目印に進んでゆくと、奥多摩湖の 北側の道に入る。梅雨の時期というのに奥多摩湖は水少なくだいぶ赤い地肌をさらけ出している。そろそろ後山林道入口である。 地図を見るとお祭バス停から柳沢峠寄り200m先くらいに入口があるので目印のバス停をチエックしながら行く。やっと見つけて林道に 入ってゆく。全面舗装と思ったら、直ぐにダート道になる。何も利用されていない林道は完全舗装し、奥に三条の湯があり、利用者も 多いと思うこの後山林道は舗装していない、なんということだろう、と思いながら進んでゆく。
深い渓谷沿いの道となり、 渓流の音を友連れに行く。時々葉っぱが白く変色したマタタビが見受けられる。約30分強走ると、林道終点となる。終点は広くなっているが 、車をUターンさせるスペースに付き駐車禁止とある。少し戻って道幅の広い路肩に駐車する。

車は一台も駐車していない。山へ登るのは我々だけだろうか。身支度をして出発する。左下に渓流を見ながら遊歩道のような トラバース道を緩やかに登って行く。しばらく行くと、「やまなしの森林100選 三条谷の広葉樹林」という看板が出てくる。渓谷の両側 の斜面は豊かな広葉樹の森である。遥か下から立ち上がった木々は山道レベルを超えて遥か三条谷の天井まで 伸びている。サワグルミ、ミズナラ、ブナ、カエデ、カツラなど、その林立感がすばらしい。そして、渓流のところどころに小滝があり、歩いてゆくと 心地よい瀬音が次第に大きくなり、それから遠ざかってゆく。約30分ほど歩くと、渓流が近づいてきて、正面上に三条の湯の建物が見えてくる。 橋を渡ってジグザクと登ると、建物の左側に上がる。そこは北天ノタル、サオラ峠への分岐にもなっていた。雲取へは建物の前を通って沢の方に下ってゆく。
沢にかかる橋を渡って、Uターンするように右下に沢を見ながら緩やかに巻きながら登って行く。 だんだん上に上がってきて、沢とは遠ざかり、左上の尾根に沿ったトラバース道を緩やかに上って行く。兎に角、懐が深い。広大なサワグルミ、 ミズナラ、ブナ、カエデ、カツラ、ホウノキなどの広葉樹林帯である。広葉樹にすっぽりと包み込 まれて空の見えない緩やかな道を、延々と上って行く。今、どこをどう歩いているのかさっぱり分からない。広葉樹の森に迷い込んだような錯覚に襲われる。
そんな道を三条の湯より50分ほど歩いて自然と尾根に近づいて、突然、10m長さ位の開けたところにでる。 自然に開けたところでなく、人工的に伐採して開放したところのようである。 ここで一息つく。そしてまた、広葉樹の森に入ってゆく。いくらか岩場みたいなところが出てきたりして変化があるが、 基本的には豊潤な広葉樹の森を行く。そして、三条の湯から約2時間位して、右側から沢が上がってきて自然に開けたところに出る。正面には鴨沢から 上がってきた尾根であろうか青く霞んで見える。
また、樹林帯に入ってしばらく行くと、自然林が若いカラマツ林に変わってくる。そして左に廻りこむと、風景は一変し、 太いカラマツの林立する広々とした見通しの良い明るい斜面の好ましい道となる。右手の木々の間から雲取山が見える。そしてやがて、開けた鞍部の三条ダルミに到着する。 晴れた日は富士山が見えるらしいが生憎雲って見えない。ここから雲取山頂まで急登が控えているので、ベンチに腰を下ろして小休止する。
このコースの最大の急登である。地図には40分とあるので、あせらず一歩一歩上って行く。適当に登っては一息つくが、周りはシラビソであろうか、黒木に囲まれ、 見晴らしは効かない。足元を見るが、小さな小笹が茂っているだけで花は一つも咲いていない。これまで歩いてきた広葉樹の森にも野草の花はなにもなかった。 これはどういうことであろうか。ニホンシカの捕獲の実施について、というチラシが木にくくりつけてあった。もしかしたらシカの食害であろうか。 ようやく40分弱登ると避難小屋側の山頂に着いた。
山頂には鴨沢から上ってきたという男性が一人休んでいた。 本当の山頂はもう少し先とのこと。先に行って見る。確かに一等三角点があり、大きな雲取山の看板がある。しかし、展望は手前の方が よさそうだ。避難小屋の方に戻って、昼も近いので昼食にすることにする。眼下の小雲取山とそれから派生して向ってくる牛の背のような 尾根。本来ならその右上あたりに富士山が浮かんでいるはずである。生憎の曇り空で見えないが、その見晴らしはすばらしく百名山の風格を感じる。
この後、元来た道を引き返す。黙々とひたすら下る。今はもう広葉樹の森は深緑である。芽吹きのころ、紅葉のころ、すばらしいだろう、是非、そのころまた来たいものである、 と思ったりしながら歩き、鳥がさえずり木漏れ日が優しいフィトンチッド一杯の長い長い広葉樹の道を、無事、下り終えた。帰りは予定通り、奥多摩湖の深山橋を渡り、小菅にでて、鶴峠、長作、上野原、相模湖、愛川、厚木と通って戻ってきた。


(地図)
* 昭文社 山と高原地図 「奥多摩」

(コースタイム)
自宅4:00==あきる野IC付近5:13==後山林道入口6:32==林道終点(P)7:06〜16--三条の湯7:48〜51--青岩鍾乳洞入口分岐8:17--見晴し尾根8:46〜52--水場9:30 --開けた場所9:56--カラマツ林10:28--三条ダルミ10:34〜42--雲取山山頂11:18〜54--三条ダルミ12:16--見晴し尾根13:40--三条の湯14:18〜26--林道終点(P)14:55〜15:10==自宅18:50


豊 潤 の 森























































[Canon EOS kiss DN / SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]