A.山歩き/2.山紀行/・・丹沢・熊笹の峰 home


丹沢・熊笹の峰


熊笹の峰のブナの巨木


神ノ川ヒュッテから熊笹の峰・神ノ川渓谷(2011-05-17歩く)
丹沢に新緑でも見に行こうかと思って、昭文社の山と高原地図「丹沢」を眺める。東丹沢はヒルが出るので対象外として、 道志の方に目を向ける。そういえば、神ノ川流域に入ったことがない。地図には神ノ川は「新緑・紅葉美しい」とある。 神ノ川ヒュッテからヤタ尾根を登って、犬越路への林道に出て、広河原廻って戻ってくる計画をたてる。しかし、実際は、 ヤタ尾根の登り口の案内板にあった"丹沢を代表するブナ林"という文言に引かれて熊笹の峰往復をしてしまった。 新緑で時期が良かったせいもあると思うが、そのブナ林の美しさに魅了された。

地図を見て、道志の神ノ川入口から神ノ川ヒュッテへは狭い悪路の林道をしばらく走らねばならないかなと思っていたが、 広く舗装されていて、すんなりと林道の一般車通行の終点神ノ川ヒュッテに着いた。
林道を10分余行くと、ヤタ尾根の登り 口につく。そこに案内板が立ち、"丹沢を代表するブナ林"という思いがけない文言をみつけ、引かれる。またとないブナの新緑の時期、急遽予定を変更して熊笹の峰まで往復することにする。 案内板にあるように、上の林道まで1時間ほど杉の植林地帯を急登する。何も見るべきものはない。枝打ちされて明るいのが救いである。
林道にでて、コンクリート壁面に作られた階段を 上がってゆく。左側は杉林で右側は雑木林の山道を登ってゆく。時々ブナやミズナラも見られるが、 薄暗くてさえない道である。そのうち掘れた山道を急登すようになり、それが終わるとフラットな杉並木の道となって一息つく。しかし、又、杉林の急登がはじまる。やがて、正面山道先の杉の木立の間に ブナの大木のシルエットが見えてくる。また、杉林に残ったブナかな、と思いながら登って行くと、ブナ林に飛び出した。
おぉ〜、と喚声が自然とでる。今までの閉塞感からの開放、ブナ林の広がりと、 新緑の瑞々しさ・・・・、本当にすばらしい。丹沢のブナ林というと堂平であるが、大木は少ないがそれに匹敵する。 むしろ、丹沢の裏で酸性雨とかの被害が少ないのか、若く元気なブナが多く、密度も濃いような気がした。そして地図上での平面計測であるが、標高1100mあたりから熊笹の峰の尾根まで延々とブナ林が1kmも続く。1200mあたりではシロヤシオも咲いていた。 尾根に近づくにしたがって、酸性雨で荒れた感じのブナ林となり、また、芽吹きも今始まったばかりで、見栄えはしなくなる。尾根に達すると、無骨な老木・巨木が増えてきて、マメザクラが咲き、ガスが流れ、独特の風情ある風景を見せてくれた。
熊笹の峰到達後、元来た道を下り、上の林道に降りて右に広河原経由で神ノ川ヒュッテへと向かう。何か見るべきものがあるかな、と思いながら 林道を下る。しばらくさっぱりであったが、広河原の手前、桧皮沢に掛かる橋から、樋のような細い岩の溝を暗い奈落の底に落ちる滝が望まれた。これが広河原までの唯一の見所であった。 広河原は以前台風で甚大な被害があったようで、堰堤と広大な河原風景が広がっていた。
天気予報通り遠くで雷が鳴り雨がポツリポツリと落ちてきた。 神ノ川ヒュッテまで大降りにならないといいのだが、と思いながら急ぎ足で林道を下る。しかし、とうとう雷が鳴る土砂降りとなり、林道は川のようである。トンネルで雨具を着たが役に立たないくらいの土砂降りであった。 そういう中、見るべきものがないかとチェックしながら行く。数箇所、神ノ川に流れ込む沢は滝となって落ちていた。また、右の神ノ川渓谷も 神ノ川がV字に蛇行しているところが二箇所ほど見られ、眼下のV字の出島は紫の藤の花で彩られていた。また、林道は広葉樹の木々のトンネルのところもあった。今回は新緑で緑一色であったが、紅葉の頃は彩りが豊かになり、渓谷・林道ともよさそうに思えた。


(地図・ガイド)
・昭文社 山と高原地図「丹 沢」

(コースタイム)
・神ノ川ヒュッテ(P)8;01--ヤタ尾根登り口8;13--上の林道9;10〜23--ブナ林入り口10;16〜20--尾根分岐ベンチ11;53--熊笹の峰12;01〜05--尾根分岐ベンチ12;10〜17--上の林道13;31〜46--広河原14;39--神ノ川ヒュッテ15;30(P)





ヤタ尾根のブナ林





ヤタ尾根のブナ林





ヤタ尾根から熊笹の峰を望む





桧皮沢の滝


< Canon EOS 60D / EF-S18〜135mm IS にて撮影