A.山歩き/2.山紀行/・・コンキチ山


箱根 コンキチ山
( 1207.3m )

姥子への道から、光る芦ノ湖


駒ケ岳ロープウェイでコンキチ山へ ('07-12-02)
箱根のコンキチ山、???? と思われるとおもう。帰ってきてインターネットで調べたも 出てこなかったし、もちろん、私も知らなかったし、登るつもりもなかった。
今年こそ箱根の紅葉見たいものだと 思っていた。しかし、NHKのパラグライダーによる紅葉の放映の影響であろうか、渋滞のすごさを知って、怖気づいてしまった。で、ほとぼりの冷めた12/2、暇なので散歩気分で 駒ケ岳ロープウエイで登って防ケ沢に下り、樹木園の紅葉でも見ようかと計画を立てた。ついでに、連れが紅葉の真盛りに防ケ沢コースの 途中から姥子に降りたとき、ブナがきれいだったというので、少しそちら方にも入って行ってブナの様子を見ることにした。
こういう計画で歩いて、ひょんなことから神山の西にある1207.3mのピーク、すなわちコンキチ山に登ってしまったのである。 コンキチ山という名も、登って手製の標識を見つけて知った次第である。

駒ケ岳ロープウエイの始発は9:10である。これに あわせてのんびりと自宅を出る。箱根湯本あたりからモミジが色づいている。早川沿いに登る箱根道の紅葉のトンネルはすばらしい。 小湧園の上あたりまで紅葉が見られ、芦の湯入口あたりに来ると遅いモミジが少し点在しているものの周りの山は冬枯れである。
ロープウエイに乗ろうと切符売り場に行くと、今は霧で何も見えないとのこと。あきらめて乗らない人もいたが、我々は関係なし。 むしろガスってブナなど木々の幻想的な風景が見られるかもしれないと、むしろ期待のほうが大きい。山頂駅に行くとその通りガスっていて 約10m先は見えない。
神山方面に霜の溶け出した溝の掘れた悪路を下ってゆく。箱根の駒ケ岳はマユミの古木が多いようだ。 霧に煙る冬枯れの淋しい風景に笹の緑とマユミのピンクが彩りを添える。25分ほど下ると、十字路に着く。いつもは真っ直ぐ神山に登って行くが、今日ははじめてであるが左に防ケ沢方面に 最初から下る楽チンコースである。ガスも大分切れてきて、山肌にはマユミのピンクが点在しているのが見える。
ロープウエイで登ってきたのを下るのであるから、道は急降下と思ったら、意外にも緩やかに下ってゆく。 道もほれていることなくよい道である。アセビの古木が多い山道を約25分ほど下ると、姥子分岐につく。道標は立つが、姥子方面の案内はない。今日は連れが案内人である。ここを右に行き、清水平というところまで行こうと言うので、 それに従って右折する。
右に入るといきなりブナ林である。箱根のブナは神山あたりが多かったが、近年ほとんど立ち枯れを起こし、朽ちてしまい見る影もない。現在、ブナの立つところは三国山、乙女峠から金時山あたりと思っていたので 、ここで健在であるとは意外であった。 小さな尾根を廻りこむようにトラバース気味にフラット道が続く。廻りこむたびにブナが現れる。 そして足元の山道はおびただしいモミジの落ち葉である。ブナの写真を写しながらのんびりと30分弱行くと、眼下に芦ノ湖が見えてくる。 生憎、ガスって写真も写す気にならない。この展望のよいところは刈り払った笹の茎の残る左に傾斜した道で歩きにくい道である。
さらに5分も行くと、前面に左に下っている大きな尾根が見えてくる。ブナであろうか稜線はおびただしい木立ちのシルエットである。 そこに向かうのかと思ったら、道は右の谷の方に廻りこんで行く。そして谷の源流のようなところに至り、そこには消えかけた字の道標が立ち、清水平とあった。分岐から約45分であった。
今日はここまでとするが、小休止した後、私だけ先にどんなブナの巨木があるか偵察に出かける。谷の向い側にに廻りこむと、左の谷や右の斜面にブナの大木が点在している。 そして先ほどの大きな尾根が左のピークから鞍部向けて下り、そして右のピークに登っている。山道はその鞍部に向ってゆく。チョとしたアセビの トンネルをくぐると鞍部となった。山道はさらに右に折れ、尾根の裏側に廻りこんで行っている。行って見るが裏側はブナもないので、戻って鞍部のブナの大木を 写そうと笹を掻き分けて行くと、意外にもそこには防火帯のような道がピーク目指して登っている。地図を見て、このピークは1207.3mの三角点のピークに間違いないと確信する。
連れを清水平に残している。これでおしまいにしようかと思ったが、それでは後悔しそうだ、折角だから戻って一緒に登ることにする。 鞍部から標高差30m位の直登である。振り返ると神山の尾根がこの鞍部に下ってきており、その陰に冠ケ岳が顔を覗かせている。ピークは平らな尾根になっていて、どこに三角点があるだろうと 探しながら行く。と、尾根の端の木の枝に白い札がぶら下がっていて黒いマジックで「コンキチ山」と書かれている。その下に 地理調査所の立派な三角点があった。
鞍部まで戻って、コンキチ山の入口を再度確認してみた。北方向を見て、左手が入口である。 笹がわずかに途切れていて、踏み跡が確認でき、右側の潅木に色の薄くなった黄色いテープが巻かれていた。
誰も知らない山でも発見した気分で、今日はこれで十分という思いで 戻る。あの芦ノ湖の展望のよいところに来ると、眼下の湖面が光り、雲が島のように写りこんでいる。そこに海賊 船が水面に美しい波の模様を描いて進んで来る。また、ガスが適当に湖面や湖岸に流れ込み、さらに雰囲気を高めてくれる。船の位置が変わって風景も変わる。昼食を取りながら、夢中で何十ショットも写す。
姥子分岐から防ケ沢への下りの山道では、先ほどの姥子道のブナ林の一部が下まで続いているようで、一箇所、枝ぶりのよいブナの巨木が見られた。 分岐から1時間弱下るとヒメシャラの多いところとなり、ヒメシャラの木肌、ミヤマシキミの真っ赤な実や鮮やかなモミジの落葉、など が目を楽しませてくれる。ここを過ぎるとまもなく車の音が聞こえてきて、車道にでた。
右斜め向いに山道が湖畔に下っている。 標識には湖尻方面となっているが、箱根園と湖尻を結ぶ湖畔の道路に出るはずであるので降りてゆく。まだ、3時前であるが、初冬の日は低く、もう山の陰になったところは薄暗くなっている。 ただ、ただ、黙々と下ってゆく。20分弱歩くと湖畔道路にでた。
ここを左に行く。当初、この道の右にある樹木園の紅葉を楽しむつもりであった。しかし、園内を見ると、紅葉はあるものの日陰となり、 寒々しい。余り見る気にもならないので、パスして戻ることにする。時々現れる黄葉や、おびただしい路上のモミジなどの落ち葉の色彩、風で舞って落ちてくる葉っぱ、など楽しみながら箱根園に戻り 、ちょうど黄昏どき山歩きを終えた。


(地図)
・昭文社 山と高原地図「箱 根」

(コースタイム)
自宅7:20==箱根園(P)8:40〜9:10==駒ケ岳ケーブル山頂駅9:20--十字路9:45--姥子分岐10:09--清水平10:55〜偵察〜11:21--コンキチ山入口11:26-- コンキチ山11:35〜50--清水平12:05--芦ノ湖展望所12:19〜50--姥子分岐13:15--車道14:20--湖畔道路14:40--樹木園正門前14:45 --箱根園(P)15:16







霧の山道





マユミ





アセビ





姥子への道のブナ林





コンキチ山から冠ケ岳方面を望む





コンキチ山標識





コンキチ山三角点





姥子への道からの富士山





[ CANON EOS kissDN / EF-S17-55 IS USM / EF-S55-250 IS]