A.山歩き/2.山紀行/・・小楢山


小楢山と水ケ森林道


水ケ森林道からの富士山


小楢山と水ケ森林道のブナの巨木と富士山撮影 ('06-11-07歩く)
( 焼山峠⇔小楢山 )

ここのところ、カラマツの黄葉越しの富士山の写真、それに、松浦隆康著「静かなる尾根歩き」で紹介されていた水ケ森付近の一見の 価値があるというブナの巨木、が気になっていた。
山に登るなら、11/3に登った菰釣山が山頂付近ではもう紅葉がおわりかけていたので、もっと低い山の方が良さそうだと思う。 そんなことを勘案して水が森林道に近い小楢山に登って水が森林道を経て、カラマツの黄葉越しの富士山やブナの巨木を写して戻ってくることにした。

この日の天気予報は発達した低気圧に伴う前線が日本海から太平洋側に抜け、朝のうちは雨だが午後からは晴れ、山梨はさらに早く回復する予報であった。 家を出るときは雨であったが、天気予報を信じて、中央高速相模湖ICへ向う。期待通り笹子トンネルを抜けると、雲はあるものの青空も 見えるお天気で雨は完全に上がっていた。勝沼・塩山ICで降りて、大弛峠の方に向う。
塩平に来ると期間の書いた交通止めの看板が立っている。しかし、ゲートは開いて通行できる。 そのまま行くと、途中舗装工事中の箇所があった。このためだったのか、と思いながらくねくねと上って行くとやがて焼山峠に到着する。焼山峠、以前は広い砂利の駐車スペースであった。今は随分と 変わってトイレもあり、駐車スペースも完全に舗装されている。 子さずけ地蔵も地蔵さんの数が増えている。
周りを見ると、植えられた もみじはもうほとんど散っている。周囲の山もカラマツの黄葉が残っているだけで紅葉はほとんどない。不思議だと思ったが、すぐ納得できた。小楢山(1712m)、先だって登った丹沢の菰釣山(1379m)より、 ずっと低いと思っていたが全く逆であった。以前登って登りが少ないので、低い山かと思っていたら、焼山峠が高いので標高差が少なかったのである。 これでは紅葉も期待できない。山頂からの富士山の眺望でも期待して登ることにする。
防火帯をアップダウンを繰り返しながら登っていく。黄葉したカラマツの先端のあたりに日差しが差して くる。上を仰ぎみるとカラマツの林立が天に伸びて黄色に光り、上に吸い込まれそうである。日差しがサーと差込み、もみじや黄色い葉っぱの残り葉が灯火のように冬枯れの灰色の空間に輝く。 また、時には地に落ちたもみじが斜光を受けて最後の輝きを放っている。そんな光景を写しながら防火帯を1時間も登ると、小笹の山道となり、左に小楢山を見て巻きながら上って行く。
10分も笹とカラマツ林の山道を行くと、コナラ・ミズナラの自然林の山道となり、同じく巻きながら行く。そして小さな沢の一杯水というところに至り、そこから左上に登る。 少し登ると白樺が増えてきて傾斜も緩み、初夏にはレンゲツツジの咲く錫杖ケ原の小楢山山頂に達した。錫杖ケ原はすっかりさみしい冬枯れのモノトーンの世界であるが、周囲の白樺の白い木肌の林立が 錫杖ケ原に営みのあることを知らせてくれる。
南側の展望箇所から富士山方向を眺めながら小休止する。青空に雲が流れ、今にも富士山が顔を出しそうであるが、富士山付近に限って雲が切れない。 そのうち他の方角も雲が多くなる。あきらめて戻ることにする。帰りは小楢峠を径由して一杯水に至り、防火帯を戻ってきた。
防火帯ではとうとう雨が落ちてきた。予報では前線の後に寒波が南下してきているようで北日本の高山は雪ということであった。焼山峠に着くと雨はとうとうみぞれになった。 そして思いがけないことに塩山に戻る林道のゲートが閉まっていた。よ〜く看板を見ると9:00〜12:00,13:00〜16:00交通止めとある。たまたま今回は 一度通ったことのある水が森林道を帰るので支障はないが、バイパスの林道を知らない人は戸惑ってしまうだろうと思いながら帰り支度をする。

( 水ケ森林道のブナの巨木と富士山撮影 )
みぞれの中の水ケ森林道を行く。松浦隆康著「静かなる尾根歩き」によると、水ケ森林道近くには *三本の巨樹と石祠*一見の価値があるブナの巨木  があるということである。前者は林道脇にあってすぐ見つかった。なかなか格好のよいブナである。この頃になるとみぞれも上がり、写真も支障なく写せた。 次は「一見の価値のあるブナの巨木」である。林道脇でなく、尾根に立っているようである。水ケ森林道はずっと同じ様な風景で今どこを走っているか分からない。巨木の立つ1412mのピーク尾根の目印は一ッ木・水ケ森林道が左に分岐しているあたりと 見当付けてゆく。
林道の分岐を見つけ、Uターンして尾根の起点あたりまで行き、またUターンして右側の尾根を注意深く見てゆく。 そうしたところ、四方八方に広げた大きな枝が尾根の裏側からはみ出ているのが見える。あれに違いないと、車を路肩に置いて尾根に上って行く。 ありました、ありました、水ケ森の主のような巨木でした。丁度昼になったので、巨木の下で昼食を取った。その後1412mのピークに登ってみる。このあたり一帯は冬枯れのコナラ林に 多くの真っ赤なカエデが点在しなかなかいいところであった。
写真もひととおり写して、今度は水ケ森の登り口と富士山を探しなから車を進める。思いがけなく、樹間から雪を頂いた富士山が見える。 すっかり巨木と遊んでいるうちに天気は回復して快晴になったようである。全くラッキーである。少し行くと、左側が大きく開け、黄葉のカラマツ林の上に見事な富士山が浮かんでいる。早速、写真を写す。 この後、水ケ森の北峰が展望良好とのことなので、北峰から富士山を写したいと思って登り口を探してゆく。しかし、それらしきところが見つからず、とうとう弓張峠に着いてしまった。 もうほとんど目的がかなえられたので、水ケ森登山は次回の楽しみに残して、帰路につくことにした。


(地図)
・昭文社 山と高原地図 「金峰山・甲武信 2006年度版」
 これには1412mのピークあたりから分岐している林道は載っていません。地形図を参照ください。
・1/25000地形図 茅ケ岳 川浦

(参考図書)
新ハイキング社 松浦隆康著「静かなる尾根歩き」

(コースタイム)
自宅4:30==相模湖IC5:55==勝沼・塩山IC6:37==焼山峠(P)7:20〜28--防火帯終点8:28--一杯水8:38--小楢山8:53〜9:12--小楢峠9:24--一杯水9:33--焼山峠10:30




小楢山

防火帯の落ち葉の輝き





山頂の風景





カラマツの黄葉




水ケ森林道

三本のブナの巨樹




水ケ森の主、ブナの巨木





1412mピークのモミジ





カラマツの黄葉




[CANON EOS Kiss DN /SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]