A.山歩き/2.山紀行/・・小影山


小 影 山


小影山のブナの巨木


小影山(2011-11-10歩く)
小影山は秋田県の抱き返り渓谷の対岸の山で、日本第二位のブナの巨木があったところである。 今回、実家に行ったついでに、暇があったので、日本第二位のブナの巨木を写してみょうと思って小影山に登ってみた。実は、登ってみたところ日本第二位のブナの巨木に相当する木が見つからなかった。 帰ってから気になってインターネットで調べたところ、2009年台風で根こそぎ倒れてしまったとのことである。

抱き返り渓谷の駐車場に車を置く。別件で実家に来たので、地形図の用意もなく、下記の簡単な記事のガイドブックと 山勘が頼りの山行である。トイレのある駐車場から少し戻って、発電所の後ろの林道を入って緩やかに登ってゆく。送電線が 前方の山に登って行っている。その下が、防火帯のように広く狩り払われ、見えているピークまで続いている。 ガイブックによると防火帯の一番上の鉄塔に向かって登るようである。
少し行くと、チエンの掛かるゲートが現れ、林道は左にカーブして登ってゆく。ゲートのすぐ右には草の多い林道が分かれている。 メインの林道を少し登ってみたが道標はないし、防火帯からも離れてしまうので、ゲートの傍の草が多い林道の方に戻って入ってみた。そうすると、左に杉林に入って行っている山道がある。方向からして防火帯沿い、 これに違いないと登ってゆく。山道は防火帯の右脇を急登してゆく。後は一本道で小影山山頂への踏み跡まで迷うことはない。
あえぎ喘ぎ登ると防火帯の中の一本目の鉄塔脇に達する。振り向くと、眼下に 発電所あたりの景色が良く見渡せ、大分上がってきたことを実感する。ここより左上の杉林に入りスイチバックして、また防火帯に出て斜め上に横断してゆく。そうすると、思いがけなく紅葉の燃えるような雑木林に 入る。ブナ林しか頭になかったので、得した気分になる。さすが紅葉の名所の抱き返りの対岸の山、と思う。ところどころモミジという具合でない。 下草なども含め、あらゆるものがすべて色づいている錦秋である。これぞ東北の紅葉である。
ここでまたスイチバックして防火帯に出ると二本目の鉄塔脇に至る。そして防火帯の左側を緩やかに登ってゆく。 正面には防火帯の急斜面が迫ってくる。これを登るのはきついな、と思っていると、山道は左の紅葉の雑木林へと稲妻型に登ってゆく。 先ほどの紅葉で驚いたが、同様の紅葉の斜面をジグザクと登ってゆく。淡い緑から黄色、黄色から真っ赤など、多彩なグラデーションのような紅葉、それを真っ青な空が引き立てる。
写真を写したり紅葉浴をしながら20分ほど楽しみながらジグザクと登ると、また、防火帯に飛び出す。相当標高を稼いだようで眼下に広々とした風景が広がっている。向かいの防火帯林縁の紅葉やその上の山並みの紅葉が美しい。 そのまま防火帯を上に登ると思ったところ一旦横断して、またスイチバックして来て、同じ紅葉の斜面をジグザクと登る。
標高が高くなったので、林間の紅葉がまばらになるが、それはそれで晩秋の趣があっていい。 そして、また、防火帯に出て、稲妻型に登り、下から見えた最上部の鉄塔に至る。さらにまっすぐ防火帯を登ると、傾斜も緩み、 先に鉄塔(12号鉄塔)が立ち、両側はブナが林立し、防火帯はススキの穂並みで輝き、はるか向こうには秋田駒ケ岳が見えるヒューポイントとなる。
防火帯の右手林縁にブナの巨木が立っている。 山道はその脇からいよいよ小影山のブナ林に入ってゆく。左下に谷を見ながら、笹に覆われたブナ林帯を行く。高木がそびえ立ち、天井を見上げるとブナの褐色の残り葉が日に透けて輝き美しい。また、ブナの大木に絡みついた 蔦の黄緑の葉っぱが晩秋一色の色彩に彩りを添えている。
倒木を越えたり迂回しながら5分も行くと、道は下りだし、はるか下の鞍部につながっている。 ガイドブックによると、この下るあたりから右に入るとある。注意深く見ると踏み跡がある。これに違いないとブナの犬木の立つ踏み跡を分けて入ってゆく。窪地を超えて右に回り込んでゆくとすんなり三角点のある小影山山頂に 至った。しかし、山頂には標識はないし。見晴らしも効かない。
さて、日本第二のブナの巨木はどこだろうとあたりを見回す。 今までの経験からすると、巨木があると、圧倒するような天にも広がるブナの枝が見えるはずである。藪を分けて進んで探すが、そういう枝は遠目にない。今回は地形図も持参していないので、これまでとして、 三角点の近くの朽ちかけた昔の巨木の写真(上の写真)を記念に写して終わりとする。登山道に戻って、先の鞍部にいたる斜面のブナの林立の雰囲気がいいので、写真を写しながら、鞍部まで行って戻ってくることにする。
下山時はすっかり日が陰って、あの紅葉の斜面も登りの時の華やぎはない。しかし、写真写りは結構いい、また、飽きもせず撮影しながら下る。余裕もでて、おまけに、山の幸クリタケも 見つけた。


(地図・ガイド)
・無明舎出版「秋田の山登り50」奥村清明著
地形図--カシミール3Dにてコピー

(特記事項)
・道標は一つもないです。しかし、結構歩かれているようで山道ははっきりしています。
・小影山三角点への踏み跡入口は鞍部に下りだす地点の右にあります。
・この年は紅葉が一週間ほど遅れました。抱き返りが紅葉真っ盛りの頃登るといいです。

(コースタイム)
抱返り駐車場(P)9;36--林道ゲート9;47--12号鉄塔11;20--小影山入口11;37-- 小影山11;44〜12;12--小影山入口12;17--鞍部鉄塔12;31--12号鉄塔12;44〜53--林道ゲート13;56--抱返り駐車場(P)14;02



最初の紅葉の雑木林





防火帯より紅葉の斜面を望む





紅葉の雑木林1





紅葉の雑木林2





紅葉の雑木林3





鞍部斜面のブナの古木


Canon EOS 60D / EF-S18〜135mm IS にて撮影