A.山歩き/2.山紀行/・・篭の登・水の塔

篭の登・水の塔山



東篭の登山から水の塔山、浅間山方面望む

篭の登・水の塔山(05-09-29歩く)
9月はどこの山に登ろうか迷う。華やかな夏の山の花も終わり、紅葉にはまだ早い、山の端境期である。 ようやく9月も下旬になって2000mのところはそろそろ紅葉もはじまるころかと、関東近郊で、車で楽に 上がれて、まだ、登っていない山、篭の登・水の塔山に登ってみた。
池の平と高峰温泉間の林道は、夏場だとシャトルバスが通っているらしいが、この時期は通っていない。歩くことに するが、行きに歩くか帰りに歩くか、それにどちらから歩くか思案のしどころである。
帰りの疲れたときに 延々と退屈な林道を歩くことは好まないので、こういう時はいつも行きに歩くことになしている。 では、どちらに車を置いて周回するかであるが、これも、できるだけ早く登山口から稜線に到達できるほうから歩くことにしている。 地図でコースタイムを調べると池の平登山口からだと45分で東篭の登、高峰温泉側だと1時間で水の塔である。 こんな理由から、高峰温泉に車を置いて、林道を池の平登山口まで歩き、篭の登、水の塔と周回した。
いままで車坂峠あたりを通ったのは初夏のころであったので、花の多いところというイメージがあった。しかし、この時期、池の平への 林道の花はヤマハハコとアザミが少し残っているくらいで、ほとんど終わってきつね色になっている。ヤナギランも結構咲いたよ うである。綿毛は既にどこかへ旅立ったようで、残ったわずかの綿毛が日に光っている。右を見上げると赤ゾレが日差しを浴びて赤茶けた 荒々しい山肌を見せている。これからあそこへ登るのかと思いながら約50分ほど歩くと、池の平登山口に着いた。
最初はカラマツの大木の多い好ましい平坦な道であったが、そのうち黒木の登りの道となり、おおよそ登山口より30分余登ると、 大きい石のゴロゴロする開けた道の急登となり高山らしくなる。周りはクロマメノキとシャクナゲが多い。以前、黒斑山に登った時もシャ クナゲが多く、花も少し残っていた。それからすると花の時期は7月上旬であろうか。そのころまた来たいものだと思いながら登る。
登るにしたがって周囲の山も競りあがってくる。右正面には黒斑山、後ろ斜めには池の平と三方ケ峰、 さらに真後ろに今年登った思い出の湯ノ丸・角間山などがつらなり、雲が山々から湧き、青空に広がってゆく。やがて前方上の空に道標のシルエット が現われて、東篭の登山に達する。360°の展望である。特にこれから行く、水の塔への荒々しい赤ゾレの山肌を伴う急峻な尾根が圧巻である。 しかし、残念ながら浅間山は黒斑山の尾根から少し頭を覗かせている程度である。
当初計画では、山の帰りに佐久の内山牧場のコスモス畑に寄る時間をとろうと思って、東篭の登山から直接水の塔の方に行こうと考えていた。 しかし、西篭の登山の方から戻って来た人がいて、20分位で行くとのこと、そんなに時間がかからないなら、と寄ってみることにする。 行ってみると相当下り、そして同じくらい登り返す結構なアルバイトであった。展望は、東篭の登とほぼ同じで、三方ケ峰、湯ノ丸、角間山が幾分 近づいて見える程度である。シャクナゲが多いので、シャクナゲの咲くころは寄ってみる価値がありそうである。
休みも入れて約一時間半弱かかって東篭の登に戻ってくると、黒山の人で山頂の輪郭が見えないほどである。にぎやかな中学生 の団体さんであった。早々に水の塔の方に下る。
下りきると、浅間山の外輪山の黒斑山〜仙人岳の稜線を思わせるような尾根を行く。また、静けさが戻ってきてホッとする。切れ落ちた右下からは雲が湧いてくる。足元には残り花のマツムシソウやリンドウ、 イワインチンなどがところどころに咲いている。シャクナゲや黒木の道、開けた道、などを繰り返しながらアップダウンを二回ほど過ぎると 前面にピークが見えてくる。
そこが水の塔山と思って登ったが、道標が立ち、手前東篭の登山、先は水の塔山とある。時間を見ると12:03である。 お昼にしょうかと思ったが、先を見ると真近にピークが見えたので、あれが水の塔だろう、あそこまで行って昼にしょう、と先に進む。 ダイレクトに水の塔に登るのかと思ったら、左に迂回し、シャクナゲの茂る大きな石の転っている歩きにくい道を上って行く。 空腹であえぎあえぎようやくたどり着いたところは、赤ゾレの上の、水の塔山の標識が立つ、南側が大きく開けた、絶景ポイントであった。
昼になって雲も多くなり、遠くの山々の見通しは効かないが、今朝ほど歩いた「湯ノ丸高峰林道」や、「池の平」が眼下に見える。 大石に腰をかけて、そんな景色を眼下に眺めながら昼食とする。
高峰温泉までは地図では40分とあり、しかも下り一方のようであるので、気楽な気分で下る。 大石を飛びわたるように石に書かれた黄色い矢印にしたがって急降下する。5,6分下ると傾斜がゆるみ、道もよくなる。石の多い道の脇にはクロマメノキが多い。 よく見ると実もなっている。また、ヤナギランの咲いた草地や紅葉したドウタンツツジの群落なども見かけられた。
下りながら時々右斜め後ろを振り返ると、ガスの切れ目から、水の塔、東篭の登と荒々しい稜線が望まれる。 苦労して山頂に達した時の達成感もいいものであるが、こうして下りなが今まで歩いてきた山々を振り返るのも感慨無量である。 下り一方かと思った山道は、最後の最後にうぐいす展望台というピークを登る。ある力を出しきるようにひと登りして降りると 高峰温泉が見えてきて、今日の山歩きを無事終えた。

この後、佐久のコスモス街道を通って下仁田ICから上信越自動車道に乗ることで出発する。佐久ICに行く道(清里、韮崎方面141号線)を どこまでも行く。佐久IC入口と新幹線の佐久平を過ぎてしばらく行くと、左に「下仁田・富岡」方面の道がでてくる。 左折して、兎に角「下仁田・富岡」と254号線を目印に行く。やがてこれよりコスモス街道という意味の看板が出てきて、道の両側に延々とコスモスが続き、 コスモスの花街道となる。コスモスは満開である。西に傾いた日差しを浴びて光り輝き実に美しい。
駐車場があったので停車してコスモスを写す。 しかし、道の中央に出て写せばコスモス街道の迫力ある写真がうつせそうであるが、ひっきりなしに車が通るので、そういうわけにも行かない。 少し写して、車窓からコスモスを愛でながら行くことにする。大体初谷温泉入口あたりまで続く。 そして内山トンネルの手前までに来ると右に入る道があり、内山牧場コスモス畑の看板が 立っていた。しかし、今回は西篭の登山に寄って1.5時間ほどよけいにかかり遅くなってしまったので、パスして帰路につくことにする。


(コースタイム)
自宅3:48==圏央道あきる野IC5:10==上里SA5:58〜6:35==佐久IC7:20==高峰温泉(P)8:05〜15−池の平登山口9:03〜9:08−石の多い開けた道 9:42−東篭の登9:58〜10:05−西篭の登10:44〜50−東篭の登11:23−道標の立つピーク12:03−水の塔山12:26〜44−うぐいす展望台 13:50−高峰温泉(P)14:00〜14:15==佐久コスコス街道15:00==下仁田IC==圏央道あきる野IC==自宅

(地図)
・昭文社 山と高原地図2004年版「浅間山・軽井沢」

●写真



東篭の登から西篭の登を望む

水の塔への最後の登り

水の登から下りながら振り返ると

高峰温泉への尾根道から東篭の登を望む

東篭の登のゴゼンタチバナ

高峰温泉へ下る尾根で見かけたクジャクチョウ