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天城山・下り八丁池歩道


下り八丁池歩道、精霊ブナ


天城・下り八丁池歩道(2012-06-24歩く)
八丁池にはブナ林があることから、写真撮影も含めて、何回となく登っている。つい最近、写真仲間と八丁池に登ったところ、 池から万三郎岳方面にチョといったところに案内板と道標が立っていた。この付近から岩尾林道に余り歩かれていないルートがあることは知っていたが、 それが正式にオープンされたようであった。昨年、4/末の新緑の頃来た時はなかったので、昨年5月以降整備された模様である。これは早く歩いてみなきゃと気になっていた。 そのうち、新ハイ(2012/7号)にも掲載された。ますます気になり、梅雨の晴れ間を見て歩いてみた。

水生地下バス停9;05発のバスに乗り、 9;30頃八丁池口に着く。先日来たときはコルリ歩道付近は霧が出て、素晴らしい幻想の森であったが、今回は霧がない。早々にコルリ歩道を登って林道に上がり八丁池へ右に行く。 先日の6/上旬は一か所ヤマツツジが咲いていたが、今回は花はなく、しかも、台風4号の暴風雨の影響でブナなどの枝が結構散乱している。 そんなことから、苔やきのこ、武骨な馬酔木の木を写したりしながら行く。八丁池は台風で増水し、しかも、ガスが降りてきてくれ、いつもと違った風景を見せてくれた。
池で写真を写したのち、いよいよ初めての下り八丁池歩道に入ってゆく。ブナの大木のところから尾根の上に向かって斜面をトラバース気味に登った行く。 いきなり、倒れてなお立ち上がった生命力あふれる樹、苔むした倒木、苔や蔓をまとったブナの大木、天井を覆うばかりの高木のブナの林立等が現れ、初めてのこともあり 圧倒される。やがて、尾根に到達して、左に沢の源流の窪地を見ながら、左にほぼ直角に緩やかに下ってゆく。
この斜面もまたブナ林が広がる。根元近くから枝分かれした箒のようなブナ が点在し素晴らしい。緩やかにしばらくブナを眺めながら下って行くと、この度の台風4号で枝が大きく裂かれたブナが山道を塞ぐ。このあたりから倒木や折れた樹が見かけられ、ヒメシャラや 檜など混じる少し荒れた感じのところを行く。 やがて、開けて明るいブナ林帯となると、ロープで囲まれたブナの巨木が左手に現れる。名前はついていないが、 新ハイの記事によると「横枝ブナ」のようである。苔と蔓をまとい、横に大きく枝を延ばし、ガスが降りてきて 山の主の風格を漂わせている。
この先はだだ広い緩やかなブナ林の斜面を下ってゆく。踏み跡も薄く交錯して、地形的に余り特徴が ないので迷いそうなところである。ここはやや左側を行く。下り八丁池歩道と書かれた赤い布がたまにぶら下がっているので、それを確認しながら行く。
道がはっきりすると、平坦となり、黄褐色の木肌のヒメシャラとブナの混交林となる。ガスが森を包みこんだところに光が差し、 美しい光景を見せてくれる。やがて初めての道標「岩尾林道分岐点0.3km」に至り、斜め左にはっきりした山道を行く。右は檜や杉の植林帯であるが、左側はブナの混じる雑木林の自然林が続く。 もう、大したことはないだろうと思いながら、左の林を見ながら行くと、どうしてどうして、結構な巨木が木々と枯れた笹の間から見える。 とうとう、誘惑に負けて、山道より一段上がっている雑木林によじ登って写真を写す。
岩尾林道分岐点に至り、先に林道が見えるが、山道は林道に降りないで左に入ってゆく。 左側の雑木林は高木のヒメシャラとブナの混交林にかわる。ブナの大木がいたるところにあり、新ハイでいう「太郎ブナ」 はどれかわからないが、人が入った踏み跡の濃い巨木を太郎ブナと推定して、その傍の山道で昼食とした。写真を写した後、先に行くが、檜などが多くなり、 倒木が道を塞ぎ、左上に登って迂回して山道に降りる。もう、終わりかと思ったら、今度は苔むした根っこのブナの大木が が次々と現れ、そして、数本の倒木が山道を塞いでいる。ここは山道が右に直角に曲がっているが塞がってわかりずらい。 迂回して右に行くと、前方にブナ等数本が高々と林立して神々しくまるで参道の杉並木のようである。その右に山道が見え、降りて山道に戻る。
左側はヒメシャラとブナが混じり、林床には枯れた笹が広がる陰鬱な森で、苔むし蔦の絡んだブナの大木がところどころに立っている。 もうそろそろ終わりかと思ったら、左手が開けてきて、4本のブナが束になって立つ森となる。そしてその傍に 天に大きく枝を広げた巨木が立っている。これには囲いもなく、名札もない。もしかしてこれが「太郎ブナ」かとも思う。 開けているので風当たりが強いのか、近くにブナの大木の倒木がみられる。ここを過ぎると檜が多くなり、もうブナ林は終わりのように感じる。精霊ブナは? もしかしたら、先ほどの巨木だろうかと思いながら行くと、檜林の中にロープで囲われ、天井で枝を広げたブナの巨木が現れる。これが「精霊ブナ」のようである。 この後も左側は雑然としたブナとヒメシャラの森が続く。右の植林帯が間伐されて明るくなると、間もなく、下り御幸歩道と合わさる。
道標が立ち、下り八丁池歩道を案内している。この後は今までの素晴らしいブナ林がうそのように思えるような荒れた植林帯の石のごろごろした山道を足元に気を付けて延々と下ってゆく。 左に深い沢が見えてきて、小キレットのようなところを階段で通過し、沢の音が聞こえてくると、間もなく舗装した林道に降り立つ。 ここから、沢の流れを眺めたり、瀬音を聞きながら水生地、水生地下へと下ってゆく。台風の影響で水量が多く、瀬音が心地よく、流れが美しい。


(地図・ガイド)
・昭文社山と高原地図「伊豆」(2012年版)
現地案内略図(表示後、再度クリックすると拡大します)

(特記事項)
・横枝ブナからの下り、100m〜150m位山道不明瞭、要注意。

(コースタイム)
八丁池口バス停9;35--コルリ歩道入口9;50--林道(オオルリ歩道入口)10;00--(林道で苔・馬酔木など撮影)--展望台入口(トイレ)10;39--八丁池10;52〜11;11-- 横枝ブナ11;46〜50--岩尾林道分岐まで0.3km道標12;03--岩尾林道分岐12;11--太郎ブナ(?){昼食}12;20〜32--精霊ブナ13;09〜15--下り御幸歩道との 合流地点13;27--林道東屋13;31〜36--林道14;15--水生地14;46--水生地下駐車場15;00

八丁池への寒天林道にて


アセビのトンネル



八丁池にて


静寂の八丁池



下り八丁池歩道入口尾根付近


天を覆うブナ



下り八丁池歩道尾根を下る


箒のようなブナが多い





横枝ブナ



横枝ブナの先


ヒメシャラが増えてきた



岩尾林道分岐を過ぎてすぐ


太郎ブナと推定したが・・





4本束になったブナ





4本束ブナの傍にこんな巨木が・・


Canon EOS 60D / EFS-10〜22mm / TAMRON 18〜270mm VC にて撮影