A.山歩き/2.山紀行/・・霧降高原・大山


霧降高原・大山
( 1158m )


霧降牧場から赤薙山


霧降の滝入口から大山・霧降高原('08-05-22)
日光から霧降高原・大笹牧場への有料道路(現在は無料)は何回となく通っている。その途中のつつじケ丘の ヤマツツジの群生が気になっていた。インターネットでヤマツツジの咲き具合を調べると、つつじケ丘は少し過ぎているような気がしたが、霧降高原から下ってくればどこかで ツツジと出会うだろうと、車を霧降の滝に置いて、バスで霧降高原まで上がり、大山を経て下ってみることにする。 しかし、それではあまりにも楽過ぎるので、丸山往復も加える、と言うのが当初の計画であった。

霧降の滝入口へ行く車道の両側はヤマツツジが続く。日当たりのいいところはもう終わりかけている。しかし、よく見ると、森の中や木蔭のヤマツツジは 今が満開である。今日はヤマツツジを満喫できそうだとはやる気持で霧降の滝入口駐車場に着いてみると、計画より早く家を出たこと、高速が順調だったことから、霧降高原行き始発バスまで二時間もある。 待っていようかとも思ったが、時間がもったいない、大山を経て霧降高原まで登り、バスで戻ってくる逆コースに急遽変更した。ずっと登りなので丸山はパスすることにした。

霧降の滝入口の店は閉まり、その前の駐車場は軽トラ一台で閑散としている。朝の柔らかな光に輝く新緑と点在する真っ赤なヤマツツジのコントラストがすばらしい。 それに小鳥がさえずり、バスはないが朝早く来れたことの幸せを感じる。そんな中、身支度して出発する。 ツツジの潅木の原の広い道を行く。すぐハイキングコースの案内板の立つ「つつじケ丘」になる。この辺は日当たりがいいのでほとんどのヤマツツジは 終わりかけている。
ここより雑木林にヤマツツジの点在する山道を行く。木蔭のヤマツツジの花は健在で、愛でながら進んでゆく。しばらく行くと登って行くのかと 思ったところ左にUターンしながら段差の大きい丸太の土止めの階段を下ってゆく。やがて霧降川に降りたつ。
手前に支流があり、それを石伝いにわたり中洲に行く。そこからのヤマツツジ咲く渓流の風景がすばらしい。何枚か写真を写し対岸に向おうとしたところ、丸太橋が流され、 渡ることが出来ない。そういえば前々日台風並の低気圧が通過した。それで増水したらしい。流れが弱くしかも浅く適当な飛び石のあるところがないかと、探しながら上流に進んでゆく。登山靴を履いたまま渡れるところは無い。意を決して裸足になって徒渉 することにする。
一部深いところで25cm位はあっただろうか、それに結構強い流れでもあったが、それよりも堪えたのはその水の切れるような冷たさであった。何とか渡りきり、対岸の丸太橋のあったところに看板が立っていたのが見えるので、 何が書いているか行って見る。そうすると「増水で渡れない場合はマツクラ滝の方に行って橋を渡りつつじケ丘に向かうこと」というようなことが略図で示されている。大山から下ってきた人向けの案内である。我々のように登る人向けにはそういうものは無い。
滝の写真を写してから登ることにして霧降川の上流の方へ杉の植林地の山道を川に沿って緩やかに登って行く。 渓流の瀬音が心地よい。途中、丁字の滝への霧降川にかかる丸太橋も流されていおり、丁字の滝の見物をパスして先に行く。やがて東屋が見えてきて、眼下に玉簾の滝が見える。 案内板には水が少ないと簾のような滝になるとあるが、今日はヤマツツジが彩りを添える水量の多い豪快な滝である。
この後、ヤマツツジ咲く自然林の道を急登するとマックラ滝、猫の平分岐となる。ザックを置いてマックラ滝を見に行くことにする。僅かに下ると、思いがけず林道に出る。 そして左に霧降川に掛かる橋がある。さっきの丸太橋流失時の案内はここのことを言っているらしいことが分かった。マックラ滝の道標に従って林道を突っ切って霧降川の河原に行くと、やはりマックラ滝への丸太橋があって、かろうじて曲がった形で掛かっている。 それを渡り、枝沢に沿って行くと、落差が30m位あるだろうかすごい水量の豪快な滝が見えてくる。滝の飛沫を浴びながら滝つぼ近くまで行って写真を写す。
マックラ滝、猫の平分岐からいよいよ大山への登りとなる。金属製階段で牧柵を越える。と言っても越えたところは牧場らしくないヤマツツジ咲く雑木林の斜面である。これは以前の牧場の境界の牧柵ではないかと思う。この雑木林の登りは燃えるようなヤマツツジのトンネルである。雑木林の潅木として ヤマツツジが咲いているので開放感はないが、その群落のすばらしさには感動した。あらためてヤマツツジは日陰に強い木なんだと思う。結構、急斜面であえぎあえぎ登る。 燃えるような真っ赤なヤマツツジから元気をもらいながら30分ほど登ると、今度は牧草地の開放的な牧場、すなわち霧降牧場に金属製階段で牧柵を越えて入る。
ここから右の牧柵沿いに登って行く。左後方の眼下はるか向こうには男体山が見え、左斜め前方には女峰山、赤薙山の連なりが迫る。牧柵沿いに 登って行くとピークに達し、松やカラマツの林の山道を左に行く。そして東屋のある猫の平に達した。ここは本当は丁字路になって霧降川に下りるもう一本の尾根道が右に行っているはずであるが 左斜めに行く踏み跡に導かれ、正規の分岐点の猫の平は見過ごしてしまった。これより牧柵沿いに平坦な道を行く。やがて、また登りとなる。
登るにつれて、 眼下に牧場の全体がみえ、伸びやかな牧場に一本の木が立っていたり、牛がのんびりと草を食んでいたり、牧柵沿いには真っ赤なヤマツツジと白いズミの花が咲いていたり、それに赤薙山が大きく迫るなど、すばらしい風景が展開する。 そして、左手斜め前方に大山らしき山も見えてくる。やがて道は緩やかに下り牧場の林道に合わさる。
大山への道標は林道方向をさしている。牧場出口のゲートをくぐり、林道を道なりに登って行く。 標高が上がってきたせいか、道の右斜面は、つぼみのヤマツツジが多くなり、 シロヤシオやミツバツツジが混じるようになる。左に右に大きくカーブして上がってゆくと、右に大山への道標が立ち、体がようやく通れる門形のゲートをくぐってまた山道を登る。 やがて同じ様な門形のゲートをくぐり牧場に入って見ると、すぐ右上が大山山頂であった。
山頂で初めて10人位のパーテイと会う。小休止しながら、霧降川に掛かる丸太橋が流され渡れないことと迂回路などを話す。 そのあと霧降高原へと牧柵のクランク状の隙間から牧場の中に入り、真っ直ぐ下ってゆく。15分弱下ると牧場から自然林の森に入ってゆく。 この鞍部のあたりの明るく開けた原には、燃えるようなヤマツツジやピンクのつぼみを持ったズミの花が咲き、なかなかいいところであった。やがてヤマツツジも少ない緩やかな 自然林の登りとなる。いつの間にか登りきると、シロヤシオ、ミツバツツジが現れ、愛でながらゆくと、すぐ沢を渡る。そして巻きながら緩やかに登りさらに下るとまた沢を渡る。ここが合柄橋というところであった。
霧降高原道路までずっとシロヤシオとミツバツツジが所々に見られる。ただし、雑木林に混じっている状態で、丹沢の桧洞丸のように一杯花をつけたシロヤシオが見通しいいところに立つ、というわけでないので写真を撮るのに苦労する。 やがて、つつじケ丘分岐を過ぎると最後の急登となる。ずっと登ってきて疲れた体には堪える。シロヤシオやミツバツツジを写しながら休み休み登るとようやく丸太の土止めの階段が終わり一息つく。まだ相当霧降高原道路まで 登るのかと思ったら、少し廻りこんでゆくと霧降高原道路下のトンネルが見えてきて登りのアルバイトはおしまいとなった。
バス時間まで1時間10分ほどあるので霧降高原道路を霧降高原バス停までのんびりと下る。広いバス停には人っ子一人もいない。木蔭で遅い昼食とする。そして、4人ほど乗客を乗せたバスが上って来た。しばらくして、まだまだ発車まで時間があるはずなのにバス停付近にバスが移動してきた。 そして臨時バスだったのだろうか、20分も早く発車した。車窓から見る風景、下るに従ってますますヤマツツジが多くなる。高いバスから見ると、コナラやミズナラなどの高木の林床の燃 えるような赤のヤマツツジは木立ちと共に走馬灯のように流れる。霧降の滝入口で降りて車に戻り、帰りにもう一度ヤマツツジを見ようと霧降高原道路を上がって大笹牧場・今市経由で帰路についた。


(地図)
・昭文社 山と高原地図 「日 光」
本コースはバスがあるので下りの方が楽でいいです。 霧降高原行きの一番バスはJR日光発8:30です。

(コースタイム)
自宅3:00==東名・首都高速・東北道==佐野SA4:55〜5:20==日光IC6:20==霧降の滝入口(P)6:30〜40--つつじケ丘6:43--霧降川7:09-- (写真撮影・徒渉)--対岸の看板7:35--玉簾の滝7:59〜8:04--マックラ滝・大山分岐8:19--マックラ滝8:27〜34--マックラ滝・大山分岐8:40 --牧場入口9:11--猫の平9:18--牧場出口9:51〜57--牧場入口10:20--大山山頂10:25〜32--牧場出口10:46--合柄橋11:27--霧降高原道路12:19-- 霧部高原バス停12:35









霧降川の渓流








玉簾の滝








マツクラ滝








マツクラ滝分岐と霧降牧場の間のヤマツツジ1







マツクラ滝分岐と霧降牧場の間のヤマツツジ2







霧降牧場から男体山・女峰山・赤薙山








霧降牧場出口ゲート付近のヤマツツジとズミ








霧降牧場出口ゲート上の林道から霧降牧場方面を望む







大山と合柄橋間の鞍部のヤマツツジの群落








合柄橋付近のシロヤシオとミツバツツジ






霧降高原道路付近のミツバツツジ




Canon EOS kissDN / EF-S 17-85 IS USM にて撮影