石 保 戸 山
いしやすどやま
明るく伸びやかな防火帯を登り、水源の森の山石保戸山へ


カエデの一種だろう、この木が多い


石保戸山('05-06-05歩く)
昔、山深い集落一ノ瀬から塩山の町へこの峠を越えて行ったのであろうか、主人に付いてきた犬はこの峠で別れ、 そしてここで主人の帰ってくるのをじっと待っていたのであろうか、そういう情景を想わせる犬切峠。 それに、東京都の水源の森としての豊かな森。石保戸山はいちどは登ってみたい山であった。

道標も何もない山である。数年前の 雑誌「新ハイキング」の山行記録を参考に 登る。高橋には毎年のように新緑の頃白沢峠に登っているので通いなれた道であるが、新犬切峠を通るのは1998年の将監峠・牛王院平 以来である。高橋より「一之瀬・犬切峠」方面への標識に従って右折して登って行く。何も変わったところはない。カーブのカーブミ ラーが増えたようで安心して走れる。この時期、エゾハルゼミの声を聞くたびに、今年も山に登れる幸せを感じる。期待通り、エゾハ ルゼミの鳴き声が聞こえてくる。
そんなことに浮かれた訳ではないが、新犬切峠を見過ごしてしまった。鬱蒼とした森の中に 真っ直ぐの林道に一之瀬林道の標識が立ち、もう一つの林道が右の薄暗い樹林の中に入り込んで分岐しているところが実は新犬切峠であった。 どうも、記憶が確かでないが明るいイメージがあったので、違うと思って見過ごしてしまった。 結局、笠取山の登山口作場平橋まで行って引き返してきた。
石保戸山への登り口は新犬切峠の10m位高橋よりの新しい林道が 左に分かれているその角のところである。そのあたりには車を5,6台くらいは置けるスペースがある。 以前、通ったときは石保戸山への防火帯が見えたと思ったが、7年の空白期間に木が大きくなったようで見えない。 身支度して林道の土の側壁の踏み跡を登るとぱっと開け、明瞭な道が防火帯の中を上がって行っている。
ここからは何も迷うことはない。ただただ防火帯 を登って行くだけである。この奥秩父の東京都の水源の山というか森は防火帯が多く長い。知る限りでは、先に述べた将監峠・牛王院平 にも防火帯があった。それから笠取山から在りし日の斉木林道が防火帯の役目をして白沢峠に至り、白沢峠からは斉木林道と防火帯が 三ッ窪高原あたりまで延びている。奥秩父というとシャクナゲと黒木の薄暗い樹林帯を想像するが、この水源の森の辺りはこの防火帯のおか げで明るく伸びやかな印象を受ける。
登る防火帯の上には真っ青な空があり、それに真っ白な雲が沸いてくる。 また、防火帯の縁には、今開いたばかりのみずみずしいみどりのミズナラ、カエデ、ホウノキなどの大木が点在している。また、ところどころ、 防火帯草地の中にも、カエデ、ミズナラの大木が好ましい形して立っている。今度はどんな大木が現われるか楽しみにして登る。
写真を写しながら40分ものんびりと登って行くと、標石ある標高点、二本楢に到達し、少し下りながら左に行くと、ミズナラの大木が 立ち、遥か下の指入峠を隔てて、目の前に石保戸山が見えてくる。その斜面には防火帯がやはり登っている。 左を見ると、遠くに山並みが見える。倉掛山のあたりのようである。眼下の指入峠までどれくらい降りるのか地図を調べたところ 約標高差100mである。下るのはいいが、帰りが思いやられると思いながら下る。 下ったところには林道が来ている。しかも車がとまっている。聞いた所、山菜取りのようで、新犬切峠石保戸山登り口の左側の林道を 通ってきたとのことである。よくあることではあるが、折角一山越えてきたことを思うと、少しがっくりくる。
ここで防火帯はひとまず終わりである。ミズナラの大木のそばから山道が二本林の中に入っていっている。 ここは左側の広い方に入ってゆく。左の小さな山の右を巻くように2,3分も行くと、右に山道が分岐しているところとなる。それを見送ると 直ぐ防火帯の始まりの端にでる。高橋の方に下る山道と思うが、山道が防火帯の左側外に平行してのびているが、無視してただひたすら防火帯の中 の踏み跡をたどってゆく。
海岸の松並木のような傾いた形のいい立ち木がでて来る。写真を写しながら25分も登ると、ピークに達し、 防火帯は右下に下ってゆく。そしてV溝のようなところに一旦降りて、それから急勾配の斜面を登る。5分も登ると勾配がゆるみ頭上にはウワミズ サクラが咲き、いい香りを漂わせている。
さらに10分ほど登ると地面より露出した石が散在するピークに達し、防火帯はほぼ直角に左に下っている。 このピークが地形図での石保戸山に隣接した小ピークである。この防火帯の小ピークのコーナーのあたりのカラマツ林の縁を注意してみると、 赤いテープが二本木にぶら下がっている。カラマツ林の中を覗くと踏み跡が一旦下り、向こうのピークらしきところに登って行っている。 あのピークが石保戸山であろうと見当をつけてカラマツ林に入っていく。下って登り返し右の笹の中にある道を行くと木々が丸く刈り払われた広場に出た。 そこには三角点の標柱と手製の石保戸山の標識が掲げられていた。
しかし、休むような雰囲気のところでない。雨もぱらついてきたので、写真を写して 早々に防火帯に戻り、元来た道をのんびりと下った。指入峠には11時半頃に着いた。昼食にしょうかと思ったが標高差100mの防火帯の 直登が待っている。一旦休むと登るのが億劫になりそうなので、一気に登ってミズナラの大木付近で昼食とした。 昼食の後、写真写しながらのんびりと下って無事山歩きを終えた。
予想に反して、ツツジ類、シャクナゲ、ドウタンツツジなど花はほとんど なかった。カエデとかの大木は豊富であったので秋の紅葉の頃がいいと思う。「新ハイキング」の記事によると秋の澄み切った時は富士山、飛竜山の山々も 見えるとあった。

●コースタイム
自宅4:30==相模湖IC5:43==談合坂SA5:50〜6:17==勝沼・塩山IC6:40==新犬切峠(P)7:45〜8:00--二本楢8:40--指入峠手前ピーク9:07-- 指入峠9:20〜40--石保戸山手前ピーク10:25--石保戸山10:30--指入峠11:33--指入峠手前ピーク11:43〜12:00--二本楢12:24--新犬切峠(P)12:50

●特記事項
添付地形図において、建設中の林道はVとWがつながっています。

●地図:
石保戸山の地形図

●写真:









ウワミズザクラ















石保戸山三角点入口のテープ



石保戸山山頂