今 倉 山
暮秋の富士山の眺望、冬枯れのコナラ・ブナの美林


手前の山は御正体山



上の富士山の写真の右側に続く南アルプスの大パノラマ 聖・赤石・荒川岳あたりか


道坂峠より今倉山・赤岩(松山)(03-11-14歩く)
昨日、明日はこの秋になっての最低気温とテレビで云っていた。 その前日は雨が降っているので、真っ白な富士山が見られるのではないかと期待して出かける。 道志への413号線からチラッと覗く富士山、予想通り真っ白、クッキリである。
はやる気持ちを抑えて、都留への道を右折して くねくねと上がって行く。やがてトンネルにさしかかる。右側にバス停があって広場になっている。1995年の 昭文社の地図「高尾・陣場」ではここが登山口になっている。しかし、登山口らしき道標がない。 運良くバスが待機している。バスの運転手さんに聞いてみたところ登山口はトンネルを抜けた都留側であるとのこと。
トンネルを抜けると右側に駐車スペース と今倉山登山口の道標があった。まだ、車は一台も駐車していない。静かな山歩きが楽しめそうである。











< 今倉山への道 >


身支度をしてトンネル脇より御正体山と今倉山間の稜線に向かって登って行く。じめじめした樹林の道をくねくね と登ると15分くらいで稜線に着いた。ここが道坂峠であろうか、道標にはそういう名前はないが・・・。
稜線に出て、今倉山へは左に尾根を登ってゆく。葉っぱの落ちた木々の樹間から朝の日差しが射し込み、 明るい山道が真っ直ぐにコナラの美しい自然林を登っていっている。山道の両脇の木立の中には、 残りのモミジ、マユミ、ガマズミの実などが点在し、冬枯れのさびしい風景に彩りを添えて美しい。 紅葉真っ盛りの時もいいが、このような時も趣きがあって好ましい。
待望の富士山が見えないか、左右を見渡すが見当たらない。20分ほどコナラの雑木林の道を登り続けると、勾配も 緩み前面に山が展開する。だいぶ上がってきたので富士山が見えないかと振り向くと木立の間から山の上に チョピリ富士山の白い頭が覗いている。
道は右の尾根伝いに登ってゆく。7,8分も登ると今度は こじんまりした広場に着く。ここまで来ると富士山だと分かるくらい顔を出すが、写真にはならない。 しかし、クッキリして先が楽しみである。一旦少し下ってまたコナラの並木の道を登って行く。やがて 道はカラマツ林の明るい登りとなり、左側の視界も開けてくる。富士山も競りあがってきて、その右手に は南アルプスのパノラマも展開している。
さらにカラマツ林を登ってゆく。ブナであろうか大木が立つ見晴しの良いところに 達する。上を見あげると、ブナ林の中に道は入っていっている。見通しはよくないようだ。ここが 今倉山山頂付近では富士山のビューポイントのようである。一休みして富士山の写真を撮ることにする。 一通り富士山の写真を撮ってブナの道を急登する。まだ頂上まであると思っていたが、少し登ると上の方に 道標が見えてきて今倉山山頂に達した。













































< 樹林の道 今倉山〜赤岩(松山) >


頂上は樹木で展望はないがブナの山を象徴するように2本のブナの大木が立っている。 小休止して赤岩の方へ向かう。道は一旦下って鞍部を通って潅木の道を急登する。 下を見ながら急登していると思いがけずピンクの実が落ちている。上を見上げると密集する潅木に挟まれ窮屈 そうにマユミの実がなっている。窮屈な潅木を登りきると手製の標識があり「御座入山」とある。地図で云うと 西峰のことのようである。
平坦道を少し行くと西端の岩場に達する。ここは見晴台といってもいいくらい富士山と 南アルプス、西側の眺めがすばらしい。富士山は御正体山の山頂から鞍部の方に移動し、 その勇姿を広げている。また、足元を見ると落ち葉の霜の芸術が地面にえがかれている。小休止を兼ねて写真を写す。
西側を見下ろすと、これからどこへ道は導くのであろうかと思う。行く先は遥か下の鞍部(西ケ原)まで急激に切れて、 そこから向かいのピークへマユミのピンクの点在している斜面が駆け上っている。
下って登りかえすのが憂鬱である。意を決してロープに掴まりながら下ってゆく。途中で迂回して うまいとこ向かいのピークに渡るのかと思ったら、正直に最低部まで降りてしまった。左側の潅木、カラマツ 林の林間にピンクが覗いているが帰りに寄ることにして登り返す。じめじめした苔の生えているカラマツ林を登っ てゆく。
陰鬱で本当にどこへ我々を導こうとしているのであろう、と思って歩いていると、大木が 現れだし、林床には倒木が苔むし、風景が変わってきた。道はブナの大木の疎林の斜面をジグザグと登ってゆく。
登りきるとブナの大木の立つ明るい尾根道となり、なかなか好ましいところとなった。7.8分も行くと 岩の多い登りとなり、登りきると赤岩(松山)であった。
赤岩は何もさえぎるものがないすばらしい360゜の展望台 である。まずは富士山を写す。次ぎは山頂にある方位盤を見ながら山の同定を行う。丹沢、奥秩父、大菩薩、八ヶ岳、南アルプス、富士山、御坂の山々、 道志の山々・・・本当にすばらしい眺望である。東京タワーまで見えるようであるが、それはもう空気が霞んできて見えな かった。
雲が出だすと早く、着いた時あった富士山の周りの雲が、同定して写真を写し終わった頃には もう富士山を覆っていた。短時間で あったが360°の大パノラマに酔いしれ、至福の余韻を抱えながら、もと来た道を戻った。「西ケ原」 ではマユミの写真を写し、今倉山では昼食とした。本当に天気に恵まれていい山歩きであった。



山頂のブナの大木















西ケ原のマユミ



































赤 岩 (松 山)





赤岩からの富士山