A.山歩き/2.山紀行/・・仏ケ峰


信越トレイル 仏ケ峰

小沢峠からの下山道にて


戸狩スキー場〜仏ケ峰〜小沢峠〜戸狩スキー場 ('06-10-26歩く)
昨年の秋、ブナの山で知られている鍋倉山に登った。そのとき信越トレイルなる道に引き込まれて 予定のコースを外れたことがあった。その後、信越トレイルが気になりインターネットで調べてみたところ、次の記述があった。
長野と新潟の県境である斑尾山を含めた関田(せきだ)山脈のほぼ尾根沿いを縦走する総延長約80kmの ロングトレイル(長距離自然道)である
ブナの森が好きなので、ブナの多そうなこのトレイルには強く引かれた。しかし、 車での山歩きには不向きな直線状の尾根に沿った長い一本道で、どう歩くかなかなか決まらなかった。ところが「新ハイキング06-10」に信越トレイルの記事が 載っていて、トレイルの1ピークである仏ケ峰なら戸狩スキー場から小沢峠を径由して周回できそうな感じなので、信越トレイルマップを買ったり、信越トレイルクラブ に問い合わせたりして調べ、歩いてみた。

いつものように4時頃自宅を出発する。 鍋倉山で勝手知った道、中央高速・長野道の豊田飯山ICで降り、鍋倉山への道と同じ道を行く。道沿いに戸狩スキー場の案内板が時々見かけられ、 それを目印に行けるので気楽である。戸狩の交差点を過ぎてからはスキー場入口がないか注意してゆく。そうすると歓迎・戸狩スキー場のゲートが立っており、 それをくぐって戸狩温泉民宿街に上って行く。
しかし、スキー場への案内はない。外に出ている地元のおばあさんに「とん平」 はどう行ったらいいかと聞くと上に上がる道を教えてくれ、それに従って上がってゆく。どうやら広そうな道を上に上に上がると自然にスキー場のゲレンデをくねくねと 登る車道に出るようであった。勾配も緩み車道の最高地点に達すると駐車場と「とんだいら SKY TOP」というレストハウスのある広場にでた。

駐車場端には「信越トレイルの案内板」が立っている。しかし、道標はない。丁度よく、リフトのメンテナンスする人が軽トラで上がってきた。 信越トレイルの仏ケ峰へはどう行くか聞いた所、二段目のリフトの右に見えるメンテナンス道(下の写真C)を目指していけばいいとのことである。
下の写真のように、メンテナンス道(ブルーの矢印)は右に一旦向い、ジグザク折り返して二段目リフト乗場付近(A)にでるが、我々はショートカットして橙色の点線のようにゲレンデを強引に登り、 二段目のリフトの乗場であるA点に向った。そこで二段目のリフト小屋をメンテナンスしていた人にも、仏ケ峰への道を聞いたところ、右に上がってゆくとよい、ということであった。 ここから車の通るメンテナンス道はゲレンデの中の設けられている。その道を道なりに廻りこんで登って行く。
裏側に廻ると、仏ケ峰あたりの尾根であろうか、谷を挟んで豊かな紅葉の森が飛び込んでくる。時々、ガスが紅葉の樹冠の連なりの上を流れ、今年も秋真盛りの山にこれた幸せを感じる。 今度は左にUターンしながら登って行く。そうすると道は写真のC点の展望の道となる。絶景である。眼下の紅葉のゲレンデの向こうに千曲川が光り、蛇行しながら流れている。
C点の奥にはさらに斜面が続きゲレンデは緩やかに登って行く。そして二段目のリフトの続きであろうか、 ゲレンデすなわちメンテナンス道を横断しているリフトが見えだすと、ゲレンデの両側は見事な黄葉のブナ林となる。白い木肌のブナの林立と林床の潅木の色とりどりの 紅葉とのコントラストが美しい。ゲレンデとしてブナが伐採されているのが本当に惜しまれるような風景である。
ブナの黄葉を写しながらゆったりと登って行く。リフトが横断しているあたりには軽トラが二台ほど駐車し、リフトの メンテナンス工事をしている。ここを過ぎ、少し行くと左下から上がってきているゲレンデと交わり、その角には信越トレイルの道標が立っている。 この左下から上がってきているゲレンデ道が正規の信越トレイルのようである。
広いゲレンデは緩やかに右にカーブしながら登って行く。 両脇にはブナが並木のように林立し、 林床の色とりどりの潅木が彩りを添え、変化を与えている。合流点から10分弱登ると尾根に到達し、右にリフトの降り場があり、ゲレンデはここでおしまいになる。 尾根にはミズナラの大木に寄り添うように真っ赤なカエデが立っている。その傍に信越トレイルの道標が立ち、左、小沢峠1.6kmとなっている。

本来は小沢峠の前に仏ケ峰ではないのかと不思議に思うが、方向は間違いないので小休止した後出発する。山道はブナ林の中を行く。 この辺のブナ林はすばらしい。太い白い木肌のブナの林立、それに点在するカエデなどの紅葉、見事である。これがずっと続くのかと 思いながら行くと、やがて山道は左にステップ状に登り、右に尾根を本格的に緩やかに登って行くようになる。
尾根に出たので、気象条件が変わりガスが多くなり、 霧雨が降ってくる。山道の周りの木々は、ブナの混じるもう葉っぱを落した雑木が主であるが、鮮やかなカエデが時々現われ、楽しませてくれる。 小さなアップダウンを繰り返して35分も登って行くと、三等三角点のあるところに到着する。しかし、仏ケ峰の標識はない。
一旦下り、鞍部らしきところにはオオイワカガミが多く、春と間違えたのだろうか一つ花をつけている。それから太さのそろったブナの若木の林立の美しいところを上って行く。 そしてピークに達し信越トレイルの道標が立ち、仏ケ峰登山口1.8km,小沢峠0.5kmとある。しかし、仏ケ峰の標識はない(新ハイの記事ではここが仏ケ峰とある。 1/25000地形図もここら辺である)。もう、小沢峠もまじかだし、現われてもいいようなものであるが不思議である。
潅木の道を急降下し、少し登り返してブナが点在しだしたところに信越トレイルの小沢峠の道標が立ち、とん平ゲレンデ2.2km,鍋倉山3.1kmとある。今日はここを右に とん平ゲレンデに下る予定である。そしてすぐ先にも道標があり、妙高市の方に下る道を案内している。信越トレイルマップにはこの先0.7km位のところにブナの美しいところがある と書いてあったので、そこまで行ってみることにしていたが、雨が本降りになり、連れは行きたくないという。仕方がないので、単身、ザックを置いて少しだけ様子を見に行って見る。 すぐ結構なブナ林となり、緩やかに上って行くと小ピーク1154mに達した。雨はますます激しくなり、こんな雨のとき連れを待たしておくわけにはいかないと思い、今日はここまでとして引返す。
信越トレイルマップにピンク色で書かれた「美しいブナ林」が頭から離れない。今日はこれまで、と強く自分に言い聞かせてとん平へと 下りだす。ところが、ところが、これはどういうことだろう、この下りのブナ林の美しさ。鍋倉山の 関田峠辺りのブナ林に匹敵する規模であり、写真を写しながらであるが30分余も延々と 続いたのである。それにガスが幻想的に演出してくれ最高であった。ブナ林を過ぎ、どんどん下ると沢沿いの道となり、さらに行くと沢とも別れ、潅木の道を緩やかに下る。 そして、ひょこりと北条歩道という標識の立つゲレンデに飛びだす。そこから駐車場とレストハウスが見え、道なり7,8分下ると今朝の駐車場に戻った。
仏ケ峰は標識のない不思議な山であったが、終わりよければすべてよしと言うが、本当に至福の山歩きであった。それから、 下りの山道はおびただしいブナッ子達であった。昨年のブナの実の豊作の置き土産、すくすくと育ち健在であった。これから何本大木に育つだろうか楽しみである。


(地図)
* 信越トレイルマップ
このマップはNPO信越トレイルクラブで販売しています。二冊あり、送料も入れて二冊合計1000円です。
インターネットで注文して一週間以内に入手できます。

家に帰って、駐車場から尾根までのルートが新ハイや信越トレイルマップと 異なっていたので、検討してみたところ、正規の道はA点からB点の赤矢印の方向のようである。我々のたどった道は最後まで車の通るメンテナンス道なので、時間はかかるが、緩やかで、間違いなく、ブナ 林も楽しめる利点があったようである。新ハイのコースタイムと比較すると20分ほど余計にかかっているが、我々は弱脚なので実質は15分くらいではなかろうかと思われる。


(コースタイム)
自宅3:45==相模湖IC5:00==諏訪湖SA6:26〜50==小布施SAC7:55〜8:06==豊田飯山IC8:15==戸狩スキー場とん平(P)8:53〜9:05-- 展望箇所(C)9:50--ブナ林始まり9:53--信越トレイル合流点10:02--リフト降り場・尾根10:09〜13--三等三角点10:47--信越トレイル道標(仏ケ峰)10:58--小沢峠11:17〜35-- 大ブナ林の終わり12:05--沢に沿った山道12:42--北条歩道標識12:57--戸狩スキー場とん平(P)13:05〜13:30====志賀高原熊の湯15:00頃






ゲレンデ脇のブナ林





ゲレンデ終点のミズナラとカエデ




ゲレンデ終点付近尾根の紅葉





霧の尾根道を行く1





霧の尾根道を行く2






仏ケ峰山頂 道標には仏ケ峰の山名はない





小沢峠付近の山道1




小沢峠付近の山道2





小沢峠からの下山道のブナ林1





小沢峠からの下山道のブナ林2






小沢峠からの下山道のブナ林3





小沢峠からの下山道のブナ林4




小沢峠からの下山道のブナ林5





小沢峠からの下山道のブナ林6





おびただしいブナッ子達の山道を下る





[CANON EOS Kiss DN /SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]