A.山歩き/2.山紀行/・・上州・武尊山
上州・武尊山




ー白樺とレンゲツツジの美しい武尊牧場から、ブナ林を経て武尊山へ登るー

<< 写 真 集 >>

上州・武尊山(04-06-24歩く)
上州・武尊山はアプローチが長く、日帰り登山を主としている私にとっては登ることはないだろうと思っていた。 ところが友達から武尊山へバスツアーで日帰り登山してきました、ブナ林もよかったよ、という便りを2,3日前に頂いて、 ではと早速出かけてみた。といっても今回は偵察の意味も含めて高山平から田代湿原を廻ってくる予定であった。 しかし、避難小屋のある高山平の分岐点まで登ってみると、天気もよい、時間も早い、武尊山に引き寄せられように とうとう登ってしまった。

自宅を4:00に出て、関越に乗り沼田に降りたのは7:20であった。それから尾瀬の方に向かい、吹き割りの滝の先で左折して 武尊牧場スキー場の方へ東俣駐車場を目指して行った。昭文社の山と高原地図「谷川岳苗場山・武 尊山」をみると、東俣駐車場への道は逢瀬橋のところから分岐しているようだ。逢瀬橋と林道の分岐を目印にしてゆき、 それらしいところで車を止めて橋の名前を確認して、右の林道に進んでゆく。この林道は意外に長い。7,8分ほど 走ってトイレもある広い駐車場についた。山道の入り口には熊注意の看板があった。つい最近、尾瀬で熊出没の記事があったので 鈴をつけて出発する。
カラマツやコナラの茂る森の緩やかな道を15分も登ると、パッと開けて、予想もしなかった 信州の山を思わせる白樺林とレンゲツツジの咲く明るい草原の風景が目に飛び込んできた。そこは武尊牧場であった。 武尊山への道は右の白樺林の中へと伸びている。林立する白樺やレンゲツツジ、オダマキ、ベニバナイチヤクソウなどの写真を 写しながら行くと看板が立っている。水源の森とあり、武尊山への山道が右のダケカンバの混じるブナの原生林の中に入っていっている。
その山道は広く、雪解けの頃ぬかるみになるからであろうか中央に木道が敷かれている。ブナの木々は丹沢あたりのブナに比べて すらりと高く森全体が明るい。教会のドームはブナ林をイメージして作られていると聞いたが、ここのブナ林は、明るく優しく包み込んで くれる雰囲気で、見上げた感じは教会のドームを思わせる。写真を写しながら行くとやがてブナの森は映画「眠る男」のロケ地の 広場に達する。ブナの散策をするならこの辺までである。水源の森入り口からゆっくり20分ほどである。
この後もダケカンバやブナの道が続き、 やがて30分ほど歩くと花咲湿原への分岐点 になる。ここを右に行くとフラット道で花咲湿原にゆけるようであるが、少しアルバイトをした方がいいと思って高山平を径由して 湿原へ向かうことで、そのまま直進する。この分岐点を境に山道は登りとなる。周りの木々の種類もコメツガ、シラビソなどの黒木の 混じる森となり、林床にはマイズルソウが多くなる。道もつい先だって雪が解けたようでぬかるむところが目立つ。
35分ほど歩くと笹が出てきて避難小屋のある高山平の分岐点に達した。天気もいい、まだ10:15である。武尊山へはどうだろうかと所要時間を計算すると 、12:30位には武尊山頂に立てそうである。予定を変更して武尊山へ登ることにして左に行く。
ここからはマイズルソウの多い樹林帯をゆく。思ったより 緩やかに登っており、25分ほど登ると小さなピークに達しこれから登る中ノ岳や武尊山が目の前に高く見えてくる。 まだ、相当登らなければならないなぁ、と覚悟を決めて歩き出すと、今度は下りだす。10分もだらだら下ると鞍部らしきところになりまた登りになる。 大分見通しもよくなり後ろを振り返ると尾瀬の至仏山が意外に近く見える。 そしてテーブルとベンチのある湿原に着いた。10:55である、小休止する。
これから本格的な登りかと思ったらすこし下りフラット になり10分も歩くとようやく本格的な登りとなってくる。そして視界が開け、中ノ岳の岩場が目の前に迫ってくる。 これまで急登はなかったが、長距離のだらだら登りがボデーブローのように効いて、傾斜がきつくなると息切れする。 急斜面の岩場の登りに備えて一息入れることにする。
岩場は最初のは小型のチムニー状のもので、あと二つは階段状であるが、特に問題ない。 この岩場付近では、草付きのところも含めて一気に100mほど高度差を稼いだ結構なアルバイトであった。 岩場を登りきって、左側に小さな 湿原を見ながら中ノ岳の左側を巻いていくと、雪渓が現れ山道の近くにはイワカガミ、ショジョウバカマが咲いている。道は中ノ岳 の左斜面をトラバース気味に進んでゆく。ダケカンバの新緑が美しい。やがて、前武尊山分岐に到着した。
ここからすこし進むと「菩薩界の水」という札がぶら下がった水場があった。これには助かった。ばてばてのところこの冷たい水 で息を吹きかえした。また、水はないだろうと節約して飲んでいたが、山頂の昼飯時も好きなだけ飲むことができた。本当に 菩薩様様でした。そこから三ッ池という小さな池の脇を通ってゆくと、谷筋の雪渓の残ったところを行く。 雪渓の両側の笹の斜面には最近雪渓が解けて顔を出したバイケイソウ、そして花を咲かせているエンレイソウ、キヌガサソウ、 つぼみをつけているサンカヨウなどが見られた。
ここから最後の急登である。さっきの菩薩界の水の効果も切れて、のろのろ登って行くと岩場になり武尊像がたっている。 その下をトラバース気味に進むと標柱が見えてきて待望の武尊山山頂に達した。登山者はもう下って我々が最後のようで誰もいない静かな 山頂であった。昼食を取った後、周囲の写真を写し、ひたすらもと来た道を下った。 ブナ林のロケ地付近に来ると雨がポツポツと落ちてきた。それに追い立てられるようにさらに急いで下り、雨に濡れることもなく 無事山歩きを終えた。

  • (コースタイム)
    自宅4:00==関越練馬IC5:30==上里SA6:15〜45==沼田IC7:20==東俣駐車場(P)8:15〜25--武尊牧場8:40--水源の森入口8:50 --「眠る男」看板9:10--花咲湿原分岐9:40--高山平(避難小屋)10:15--湿原10:55--鎖場直下11:30--前武尊山分岐12:10 --武尊山山頂12:45〜13:10--前武尊山分岐13:45--湿原14:45--高山平(避難小屋)15:20--花咲湿原分岐15:40--「眠る男」看板15:55 --東俣駐車場(P)16:25〜35---途中夕食---(自宅21:10)

  • (地図)
    ・昭文社 山と高原地図 「谷川岳-苗場山・武尊山」2000年度版