A.山歩き/2.山紀行/・・大山北尾根
大山北尾根

ー冬枯れの美しい尾根と、シンと静まったモミの純林の道をゆくー


地獄沢橋付近の桜

ヤビツ峠から16号鉄塔(2000-1-4歩く)
今年の初登山としてヤビツ峠に車を置いて、大山北尾根を歩くことにする。 天気も快晴である。ヤビツ峠からの大山までの道は、以前歩いた時は霜が解けて ぬかるんだりしていたが、大分整備されて道は良くなっていた。頂上に近くなる と、左手方向に開けたところが2ヶ所ほどあり、雪を頂いた富士山がスッキリと 見える。頂上はお正月登山でごった返していた。我々も本社の3ヶ所に賽銭 をあげて今年の安全登山を祈願した。
小休止した後、アンテナ塔の脇から北尾根への道に入る。誰一人としてこち らの方に来る人はいなく、ウソのような静かさである。はじめは潅木の下りとなり、 そのうちコナラなどの雑木林の尾根道となる。左手を見ると冬枯れの樹間から富士山 が見られ、しばらく友連れとする。この尾根は北尾根でなく富士見尾根がふさわし いような気がするくらいである。
懸念していた踏み跡も結構ハッキリしており、また、赤やピンクのテープが ついており、迷うような心配はないようだ。といっても初めての道であるので、 念のため地形図と周りの風景を照合することにする。
右手前方に二つほどのピークが見え、その後方にカヤトのピークがあり、さらに その蔭に鉄塔があるようだ。地形図と地形を同定でき安心して進む。1つ目の 1094mのピークの登りに差し掛かる少し手前で、北尾根で初めて中年の女性二人、 男性1人のパーティと出会った。札掛けの方から登って来たとのことであった。
緩やかな下りのプロムナードのような道が続いていたが、ピークにさしかかると結構 やせ尾根となり、急登の道を慎重に登る。登りきるとピークとなり、そこからは緩やかに下っ て、さらに登りかえすと、いつのまにか次の平ったいピークに達した。そこから 左前方にカヤトのピークとガレが見えるようになった。
そこを目指して下るが、すぐ左へ90度尾根は方向転換し左側が切れているカヤト のピークに達する。そこからは大山がよく見える。そこをさらに行くと木々の間から 眼下に鉄塔が見えてくる。鉄塔の周りもカヤトのようである。下りきると16号鉄塔の 立つカヤトの日溜り広場に降り立った。もう、ここからは県道に下るだけであるので、 この日溜りでのんびりと昼食をとることにした。
鉄塔からほんの少し行くと、一の沢峠と県道の分岐となり、手製の道標が立っている。 我々は左の県道へと下る。かなりの急斜面を下るが、傾斜には関係なく真直ぐ天を向 いて立つ、冬枯れのコナラ林や桧林が美しい。傾斜のきついところにはプラシチック 製の階段が埋め込まれていおり、一歩一歩下る。周りはアセビの木が多くなってくる 。
しばらく下ると左下に林道が見えてくる。足場の良いところを選んで、林道に下る こともできるが、正規の道は真直ぐ尾根を下っている。もう一度プラシチック製の 階段を下ると平坦な鞍部となる。その辺のテーピングしている杉の木ところ から左に降りて行く。道は林道には降りず、左下に沢を見下ろしながら尾根の左斜面 を巻くように沢沿いに下っていく。
道はやがて杉林に入り、左前方下に県道の地獄沢橋が見えてくる。そして、 山道はその橋から5,6m札掛寄りの県道に杉林から降りている。ここから、退屈な 舗装道路をヤビツ峠まで登って行く。途中ヘヤピンカーブのところをショートカット する。また、青山荘からは沢沿いに直接ヤビツ峠に登るつもりであったが、ヤビツ峠 近道という道標が富士見山荘のほうを指していたので、それに惑わされて舗装道路を 延々と飽きるほど登ってしまった。

(コースタイム)
ヤビツ峠9:10−大山10:35〜50−16号鉄塔12:06〜30− 地獄沢橋
13:16−ヤビツ峠14:45

物見峠入口から一の沢峠をへて16号鉄塔(2000-12-29歩く)
いつも車での山行であるので、大山北尾根の残りの16号鉄塔から一の沢までをどう いう方法で歩こうか気になっていた。ハイキングMLの情報で物見峠入口に車を置 いて歩いた人がいたので、そのコースで歩いてみた。
もう年末で、ヤビツ峠の付近には登山者はほとんど見うけられない。お正月に美味しい お茶とかコーヒーを飲むのだろうか、唯一、富士見山荘の傍の名水の汲み場は混雑し ていた。
物見峠入口付近はしょっちゅう通っていたが、一度もモミの純林には行っていない。 なかなか周回コースになり得なかったからかもしれない。今日は物見峠入口に車を置く。 いつも路肩駐車が絶えないのに今日は一台も止まっていない。静かな山歩きになりそう である。
道標にしたがって河原の方に降りていく。下には布川に掛かる橋が見える。橋を 渡りながら川を見ると、清洌な流れが、浅瀬のところでさざ波を立てながらゆったり と右へ蛇行しながら流れていく。木々は既に葉を落とし、寒々としている。
橋を渡って初めてモミの大木を目の前にした。丹沢のこんな身近なところに こんなにすばらしい大木があるとは驚きであった。県道から見る限りたいしたことが ないと思っていた。モミの木には申訳ない思いで、ジックリ見上げながら歩く。
そのうち道は沢へと入りこんで行く。山の斜面のあちらこちらには深い 緑のモミの大木 が立っている。姿は見えないが近くの峰で鹿がピーピーと警戒音を発している。 どこか深い深い山に来たような気がする。
そのうち沢を渡って対岸の斜面に取り付き、尾根に向って登って行く。モミの ほかにケヤキであろうか他の木の大木も見られる。約30分も登ると尾根に到達した。 そこを右に行く。近くでキツツキであろうか、カタカタと木の音をたてている。
大木の根が露出した尾根を登って行く。左の深い谷が左手前方の鞍部へ急激に上って いる。あの源流の鞍部あたりが一の沢峠だろうか。道はそこへ向けて尾根の左斜面を トラバース気味に巻いて行く。到達したところはやはり一の沢峠であった。
偶然にも左斜め前方から若い大学生風の単独行者が登ってきた。煤ケ谷から来た そうで、これから大山まで登るとのことであった。若いだけあって休まずに道標には 記載されていない右の尾根へと登って行った。
我々は写真を写したりして小休止した後、同様に右の尾根に取りついた。 最初は 左側が杉林で、右側がモミの木のまじる雑木林の道であった。やがて自然林の道と なり、左側の眼下には林道が見え、その上に辺室山も見える。そのうち左が杉林で 右にモミの大木の見られるピークに達する。その後、すぐアセビの多い下りの道 となり、鞍部に達して登り返し、またピークに達する。
そこから小さな登り下りを繰り返してゆくと、モミの木の並木道のよう に右側にモミの木が一列に並んでいる平坦な尾根となる。平坦な道を少し行くと、 そこから明るいコナラの道を 延々と登るようになる。登っている途中、左手に鉄塔が見えてくる。16号鉄塔かと 思ったが、その手前の鉄塔であった。これを登りきると752mのピークに到達する。 ここで小休止する。
この後は少し平坦な道となって楽になるが、すぐ、150m 余の標高差を一気に登る。この上りは日陰で、風も冷たく寒く、道は石の露出した急斜 面の痩せ尾根となる。あえぎあえぎ登って行ってアセビやヒメシャラなのかすべす べした木肌の木が現われると、左手前方に鉄塔が見えてきて、16号鉄塔のカヤト の日溜りに達した。
今回も日溜りで昼食とし、のんびり休んだ後、県道の地獄沢橋 へ下った。まだ15時前であるというのに、もう谷沿いの道は日陰になって、 すっかり冷え切っていた。その寒々とした道を札掛をへて物見峠入口へと戻った。札掛付 近で、物見峠入口の方からくる 7,8人程のパーテイと出会った。丹沢ホームに泊まり、明日塔ケ岳へ登るとのこと で、忘年山行のようであった。

(コースタイム)
物見峠入口10:22−一の沢峠11:00〜11:05−16号鉄塔12:25〜 48−
地獄沢橋13:45〜50−札掛橋14:16〜20−物見峠入口14:40

(地図)
・昭文社 山と高原地図 丹沢
・1/25000 地形図 大山
・北尾根略図

●追記
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