A.山歩き/2.山紀行/・・花咲・田代湿原


武尊牧場から花咲・田代湿原を歩く





武尊牧場から花咲・田代湿原 ('06-06-21歩く)
昨年、花咲・田代湿原へは奥利根水源の森から往復した。 今回はまだ歩いてない武尊牧場を起点に周回してみた。車を東俣駐車場に置くつもりで行ったが、落石のために林道は不通であった。これでは湿原まで行けないと思ったが、真っ直ぐ 武尊牧場の方に行くと、丁度レンゲツツジが見ごろで、スキー場のリフトが三合平まで運行していた。
ゆったりと霧の牧場をリフト は上がって行く。あわただしい日常生活のリズムからスローな自然のリズムへと切り替わってゆくようだ。 三合平のグリーンの牧草地には、白樺の木立ちや真っ赤なレンゲツツジの株が点在して、そのコントラストがすばらしい。 花咲湿原の方から廻ることで 東俣駐車場へマイヅルソウの咲くカラマツ林を下ってゆく。10分ほど下ると見覚えのある駐車場に至る。駐車場の閉鎖でトイレも使用禁止となっている。 駐車場の北側から林道に降りると、直ぐ右側に森へ入っていっている花咲湿原への山道が見える。入口に熊出没注意の看板があるので鈴を付けて 山道を進んで行く。
清流に沿って、せせらぎの音、ハルゼミの声を友連れに行く。身も心も、どっぷりと自然に浸ってゆく。10分ほど 歩くと「長寿の森林」の入口となり、それを見送ると登りとなる。やがて開け、大きく稲妻型に笹の原の山道を登って行く。本コースでの 一番の急登で、振り返ると遥か下に東俣駐車場が見え、だいぶ登ってきたことを実感する。そして東屋が見えてきて尾根に達する。
ここで小休止した後、出発すると、 すぐ、ブナの大木の立つ尾根のピークらしきところに達し、ここより植生が変わったようにブナの斜面を緩やかに下ってゆく。そしてやがて林道に 降り立つ。林道は斜面の中ほどで山道はさらに林道を横断して芝倉沢へと、ブナやとんがり帽子の花を付けたトチの木が茂る豊潤な森を下ってゆく。
この時期、芝倉沢は雪解けで水量が多いようである。伝い渡る石が水をかぶり、苔むしてすべる。滑って転んでは危険であるので靴と靴下を脱いで素足で浅瀬を渡るこ とにする。雪解けの水、切れるような冷たさで、渡り終わるころは感覚がなくなるほどであった。しかし、あれほど重かった足が軽くなったのには驚いた。
その効果もあり、 足取り軽くブナとトチの大木の多い森を緩やかに登って行く。7,8分登ると勾配もゆるみ少し下ってまた沢を渡る。前方には山がなくなり、そろそろ花咲湿原かと 思うが、意外にもブナの混じる森のだらだら登りが続く。ようやく沢から15分弱登って森の前方が明るくなり、待望の花咲湿原の看板が見えパラパラ咲いているムラサキヤシオ も迎えてくれる。
待望の花咲湿原、何が咲いているか、さっと見渡す。目に付くのは長く伸びる木道と林縁の白樺と湿原に点在する コバイケソウの葉っぱくらいである。ようやく足元に目を落としてワタスゲを発見。昨年は7/6に来た。その時はコバイケソウの花が 過ぎていた。今回はいいかもしれないと期待して来たが、花の穂先も出ていない。今年は不作なのであろうか。少し行くと左に木道が 分岐している。そちらの方に行って見ると黄色い花、リユウキンカが群生している。その中に小さな水芭蕉が一個 残っていてくれた。元に戻り先に行くと、ワタスゲが結構点在し、リユウキンカも木道の傍に咲いている。
反対側から来た、ご夫婦と会う。田代湿原はどうでしたか、 ときいたところ、何もなく花咲湿原の方がずっといい、とのこと。12時も過ぎているが、田代湿原で昼食とすることで先を急ぐ。雰囲気の良い ブナ林を登るとヒメカイウ群生地のところに出る。まだ芽吹いたばかりである。 近くに武尊牧場90分という道標が立っている。帰りはここから戻ることで、田代湿原の様子を見に行くことにする。5分も行くと田代湿原の端を横断している木道に出る。 昨年はレンゲツツジとコバイケイソウの花が綺麗であった。今年は何もなしである。これ以上行っても仕方がない。 木道に座って昼食とする。
武尊牧場三合平へヒメカイウ群生地のところから右に入る。ブナやダケカンバの大木の茂る森の平坦な道を行く。なかなかの雰囲気のいい道である。 雰囲気がよいと思われる樹林の景観はどういうものなのかといつも思う。 太い木が適当な間隔で林立して明るいこと、たまには幹が傾いたり、とんでもないところに伸ばしていたりしている大木もあること、森の奥まで見通しがよく奥が明るいこと、 樹林が包み込むように高く天井を覆っていること、などであろうか。これらが当てはまるような森を森林浴をしながら延々と歩く。 山道脇にはエンレイソウ、ミヤマカタバミ、サンカヨウ、ウワズミザクラなどの花が時々現われ慰めてくれる。
1時間ほど歩くと開けて前方に谷を隔てて左に下っている尾根が見えてくる。あの尾根が武尊山への登山道のあるところであろうか、と思いながら沢に向って 下ってゆく。そして雪渓の残る沢を繰り返し渡る(セミネ沢と枝沢)。 沢を渡る山道脇にはまだつぼみのサンカヨウやツバメオモトが見られる。
沢から尾根に登り返すとまたブナの道である。標高が上がったせいか雪渓が残っていたりして、 山道脇にはエンレイソウ、サンカヨウが多くなる。しかし、尾根に上がっても武尊山への登山道はない、どうももっと先のようだ、と思いながら進む。沢から15分ほど歩くと 芝倉沢の枝沢と思われる雪渓の残る枯れ沢を渡る。そしてムシカリが彩りを添えるブナ林をに4,5分も行くと、階段が出てきて、残雪の沢に下る。そこは芝倉沢でサンカヨウの群生地であった。写真を写し した後、またムシカリのブナ林を行く。やがて尾根らしくない広場に出て武尊山への登山道と合流した。
ここから三合平へと ブナの美林の道を下る。一昨年武尊山に登った時はこのブナの美林の道に感動したものであるが、今日はブナ、ブナ、ブナで少し過食気味であり、贅沢な話であるがあまり感動がない。 ただただ黙々と下る。やがて三合平にでて、マイヅルソウ、ベニバナイチヤクソウ、レンゲツツジ、白樺の木立ちなどを愛でながらリフト乗場に向う。
リフトはゆったりと 霧雨で煙る牧場を下ってゆく。いつのまにか、今朝ほどリフトに乗って感じたスローな気持ちも忘れ、今日もずいぶん急ぎ足で廻ってしまったなぁ〜、と思いながら下る。


(特記事項)
リフトは往復1000円です。三合平からの下りの最終便は16:30です。
(地図)
* 昭文社 山と高原地図「谷川岳・苗場山・武尊山」
(コースタイム)
三合平上りリフト終点10:10--東俣駐車場分岐10:26--東俣駐車場・花咲湿原自然歩道入口10:37〜44--東屋11:08〜12--林道11:25--沢11:32〜39--次の沢11:49 --花咲湿原12:04〜17--ヒメカイウ群生地12:40--田代湿原12:44〜13:01--武尊牧場分岐13:04--セミネ沢14:00--サンカヨウ群生の芝倉沢14:36--上州武尊山分岐14:41 --「眠る男」ロケ地15:02〜06--三合平15:17--三合平下りリフト乗場15:30--(リフト)--武尊牧場下りリフト終点15:55








トチの木









以下、花咲湿原














ここまで花咲湿原





























武尊牧場 リフトから撮影


[Canon EOS kiss DN / SIGMA 17-70mm DC MACRO にて撮影]