A.山歩き/2.山紀行/・・箱根・堂ヶ島渓谷


箱根・堂ヶ島渓谷と美術館めぐり



堂ヶ島渓谷夢窓国師山居の跡付近のモミジ

堂ヶ島渓谷〜早川渓谷〜小塚地区〜ポーラ美術館〜箱根美術館('08-11-22 歩く)

紅葉の時期の箱根、ガイドブックに出ている名の知れたところは込み合う。それに車も渋滞する。穴場はないかと地形図を広げて思案する。 そういえば堂ヶ島渓谷を歩いたことがない。そこを中心に電車を利用して周回するコースを設定する。当初は早川渓谷の端の板里の橋を渡って、別荘地らしいところを西に登り、 ポーラ美術館の前の車道にでて、それから強羅に下る予定とした。ところが、現地に行ったところ、その板里の橋は私有地に付き立ち入り禁止となっていた。 さあ〜どうしょうと、急遽、計画を変更した。

登山電車宮ノ下駅で下車し、国道にでて左折し、郵便局の先から右に堂ヶ島渓谷へと下ってゆく。渓谷には 大和屋ホテルという老舗ホテルがあってケーブルで降りてゆく、という話は聞いたことがある。そのケーブルの乗場を左に見送って小路を下ってゆく。ここは「チエンバレンの散歩道」という洒落た名前がつく なかなか風情のある石垣の道である。 上を見ると真っ赤なモミジが覆っている。さらに下ると右に祠があって、朝の逆光に輝くモミジがまばゆいばかりである。
さらに大きくUターンしながら下ってゆくと石垣となり、葉っぱが 黄色くなったイワタバコがびっしりと生えている。その中にぽつんとホトトギスが咲き、彩りを添えている。初夏のイワタバコの時期は良さそうだと思いながら下ると、大和屋ホテルの 玄関前に出る。中庭には滝があるようである。さらに行くと、対星館の前を通り、早川の夢窓橋に出る。周りの山の紅葉は少し色づいているが早いようだ。
吊橋の先で遊歩道は二股に分かれる。右に五分も行くと 「夢窓国師山居の跡」である。この辺はモミジが多く、頭上のモミジの赤と緑のグラデーションがステンドグラスのように太陽に煌き美しい。 戻って早川沿いに常緑照葉樹の森の遊歩道を行く。15分も行くと発電所のある開けたところにでる。周りはモミジや桜の多い園地となっている。ここのモミジも全般的にまだ早いが、一部紅葉したものも見受けられる。
やがて、左に発電所のフエンス越しに滝が見え、右に宮城野への遊歩道が上っているところに至る。宮城野への遊歩道を見送り、桜橋を渡り、国道138へと急坂を登って行く。坂の途中、頭上のモミジや対岸の山肌 の紅葉が見られる。登りきったところは底倉というところである。 ここから宮城野橋へ国道を行くが、歩道が狭く、飛ばして通過する車が恐いくらいである。それに見るべく物もない。ここは宮城野に登る遊歩道を行くべきであったと思う。
宮城野橋の手前で左の車道に入り、ようやく通行車両から開放される。道なりに行くと、開けた公園のようなところに出て、右の橋を渡り、勘太郎の湯の前を通って早川の土手道を行く。 ここが早川渓谷というらしいが、マス釣り場である。上流に行くにしたがって対岸の山肌のモミジも増え渓谷の雰囲気となる。
やがて土手道は終わり、板里の岩崎橋に着く。地形図をみると岩崎橋からポーラ美術館前の道路(小塚林道)の下湯場辺りに登って行く道がある。ここを行くつもりできたが、岩崎橋の入口に私有地につき立入り禁止とあり柵がされている。 橋の先の道は荒れていて人が住んでいる気配がない。地図には奥に紅葉園ホテルがあることなっているが廃業したのであろうか。 これでは小塚橋まで国道を歩いてゆくしかないが、国道は狭く通過する車が恐いくらいであるので、バスで行くことにする。
車窓からみる早川は渓谷が深くなり、モミジが所々きれいなところがある。やがて小塚入口バス停に着く。 小塚橋からの秋の渓谷の色彩が実に美しい(下の写真)。小塚地区別荘地は紅葉や森が素敵であるが、電線がなんとも風情をこわしているのが惜しい。 859mの小塚山は豊かな森のようである。地図では山頂付近まで道があるようなので、どういう風景であるのか行って見たい気持もあったが、先が長いのでパスして坂を延々と登って行く。やがて小塚林道に突き当たり 左に行くと、間もなくポーラ美術館であった。周りのモミジやブナ、ヒメシャラなどの森に洒落た建物が溶け込んでいる。
入るつもりなかったが、佐伯祐三とフランスの企画展が開催されていたので入ってみた。天井まで届くような大きなガラス張りの窓から小塚山のブナやヒメシャラの紅葉の森が見える。まるで 額に納めた絵のようである。企画展も良かったが、窓からの風景をみながらの休憩も格別であった。
この後、小塚林道(車道)を延々と一時間ほど箱根美術館まで下る。だいぶ日も傾いたので庭園のモミジも日陰になったかも知れないと思い、少し入るのをためらったが、 折角来たので入ることにする。青々とした苔の庭に石や流れがあり、モミジの古木が色づいている。 初めて来たがなかなかすばらしい庭園で、美術館の催し物より庭の方がずっといい。カメラマンも結構来ていた。それに混じって心ゆくまで庭園の紅葉を写す。 だいぶ歩き廻って足も疲れてきた。強羅への急坂の下りは惰性でくだり、長かった箱根のハイキングを終えた。なお、箱根美術館の紅葉は一週間前が見ごろであったとのことである。

( マップ )
・昭文社 山と高原地図「箱根」
・地形図 1/25000 「箱根」
・略図「宮ノ下ノスタリジック散策路」

( 特記事項 )
板里バス停では仙石原経由桃源台行きに乗りました。30分に二本くらいあります。

(コースタイム)
箱根登山鉄道宮ノ下駅8:30--堂ヶ島渓谷吊橋8:54--東電発電所9:16〜22--吊橋9:29--底倉・国道9:42--宮城野橋10:06--勘太郎の湯10:13--板里・岩崎橋10:45〜11:05--板里バス停11:12〜30--(バス)-- 小塚バス停11:41--ポーラ美術館12:10〜13:33--箱根美術館14:35〜15:05--登山鉄道強羅駅15:20



1.チエンバレンの散歩道のモミジ




2.堂ヶ島渓谷桜橋付近の滝




3.パークハイツ付近の早川渓谷




4.小塚橋より




5.ポーラ美術館の前の紅葉




6.ポーラ美術館の窓から眺めた小塚山の森




7.箱根美術館の紅葉の庭


LUMIX DMC-LX3 にて撮影

( END )