A.山歩き/2.山紀行/・・信越トレイル袴岳


信越トレイル 袴岳
( 1135m )

斑尾高原より志賀高原方面を望む


赤池から袴岳 ('07-11-01)
前日戸狩スキー場のとん平から小沢峠北の1210mのピークに登った。そして斑尾高原のホテルに泊まった。 今日は帰る日、余り長い歩きはできない。斑尾山に登ろうかと思ったが、ホテルの窓から見える斑尾山は山頂まで斜面がスキー場のゲレンデとなっている。 あまりにも開けすぎて登る意欲が湧かない。知らない山だが隣の袴岳に登ってみることにする。信越トレイルの地図の裏側にガイドが載っている。 赤池基点に周回して3時間30分とある。時間的に丁度いい。
ホテルの朝食は7:30からである。その前に日の出の写真を写しに行くことにする。 今日は昼頃から崩れるとのこと。そういう時は朝焼けするといわれている。昨日斑尾高原に車で上ってくるとき、見晴らしのいいところがあったので、そこに行ってみた。 上の写真のように手前に高社山が浮かび、その後に志賀高原の山々が連なって見えるなかなかいいロケーションであったが、朝焼けはなかった。

斑尾高原から妙高に向う道の万坂峠の手前で赤池の方に入り、しばらくいくと左手に池が見えてくる。そして左斜め後ろに下っている池畔駐車場への道に入る。 湿原の花の咲く頃ならにぎわうだろうが駐車場には車は一台もなく閑散としている。
車を置いて身支度して袴湿原・袴岳方向の道標にしたがって登って行くと、斜光に輝く黄葉真盛りのブナにカエデ やダケカンバが混じる森が迎えてくれる。歩き始めから紅葉の歓迎、この後どういう風景が展開するだろうかとわくわくしてくる。小高いところを過ぎ緩やかに下りだすと、右側に明るい紅葉の森を見て、左側に紅葉の木々の間から斑尾山を見ながら行く雰囲気のよい遊歩道となる。 やがてそんな風景に袴沼が現れ変化を与えてくれる。そして程なく、袴湿原と袴岳の分岐となる。 袴湿原まで200mとあったので湿原を往復してみた。湿原はすっかり晩秋の装いできつね色一色であるが、湿原の縁のナナカマドが赤く光り、彩りを添えていた。
分岐からは少し陰鬱な杉や潅木のややきつい斜面を登る。10分ほど登ると平坦になり、 ナナカマドの多い潅木の道を行く。少し行くと右側が切れ落ち広く開けた所となった。眼下に斜面が黒木で稜線が冬枯れの木立ちの山が見える。 ここはピークのようで、これより下りとなる。 下ってゆくと、真っ赤なナナカマド越し正面におびただしいブナかダケカンバの林立の山が見えてくる。
あれが袴岳だろうか、楽しみだ、と思いながら下ってゆく。 登り返すとブナ、ブナ、ブナである。林立という感じではない。思い思いに枝を伸ばした比較的太いブナが多い。 ところ変わるとブナの姿も変わるものだと思う。ブナの斜面を大きくZ字を描きながら上って行く。振り返ると、斑尾山が競りあがってきている。
もう山頂かと思うが標識がない。そのうち下りだし、正面の密な木々の間に、こんもりした山の輪郭が見え、次が袴岳に違いないと思う。そして下ってゆくと、広い鞍部に目を奪うような光景が広がっていた。 四方八方に白い枝を伸ばしたダケカンバの巨木(厳密には大木)がアチコチに立ち、その樹間に赤や黄のモミジが点在している。 その生命力あふれる枝ぶりとモミジとのコントラストが実にすばらしい。
ダケカンバの大木の間を縫うようにため息をつきながら上がってゆく。ところが、 これだけでは終わらない。斜面を登るにしたがって、今度は整然と林立するブナ林となる。昨日歩いた小沢峠北のブナの美林より太いブナが整然と林立している。そこを大きくZ字を描きながら登って行く。 そして、傾斜も緩んで少しブナが疎林になると西側が大きく開けた袴岳山頂に到着する。山頂にこぶを持つ妙高山がどっしりと横たわっている。午後から崩れるという割には良く見える。 今日は帰る日、小休止の後すぐ出発する。ブナ林をどんどん下る。20分くらい下ると、ブナから杉林、潅木と変わり、勾配が緩んでくる。 やがて山道は右に直角に向きを変え、右の袴岳の裾を巻くように進む。風景は原野という感じの長い長い巻き道となる。
野ぶとうの葉っぱ、ホウノキの葉っぱ、トチの実の殻などが落ちている。潅木を探す と野ぶどうやサルナシ、アケビなどが見つかりそうであるが、時間がないので素通りする。巻き道に入ってから25分くらい進むと、モミジ林となり、鮮やかなモミジが点在する景色の いいところとなる。太い木に信越トレイルのマークが巻きつけられている。
山道はここら辺から緩やかな下りとなり、黙々と20分余もくだると下に林道が見えてきて林道に降り立った。道標には赤池1.4kmとある。 これから30分位掛かりそうだ、退屈しのぎに周りの紅葉の写真を写しながらのんびりと行く。紅葉の美しい遊歩道が出てくるとまもなく赤池であった。
袴岳は一つのこんもりとした山かと思ったら、袴湿原方面から登ると手前に二つのピークがあり、三つ目が袴岳であった。 それぞれ 展望、ブナ林、ダケカンバ林など特徴があり、それに裾野には湿原や池、原野があり、なかなか変化があるいい山であった。


(地図)
・信越トレイルクラブ発行マップ「信越トレイル1」
略図

(コースタイム)
赤池(P)8:43--袴池9:16--袴湿原・袴岳分岐9:20--袴湿原往復--袴湿原・袴岳分岐9:31--第一ピーク展望所9:43--第二ピークブナ林始まり9:56--第二ピーク付近10:15--鞍部ダケカンバ巨木10:25-- ブナの美林10:35--袴岳10:45〜48 --ブナ林終わり11:06--モミジ林の信越トレイルマーク11:46--林道12:08--赤池(P)12:39





赤池





袴湿原への道、斑尾山が望まれる





袴池付近の風景





第一ピークからの展望





第一ピーク下から第二ピーク斜面を望む





第二ピークのブナ





第二ピークからの斑尾山





第二ピークと袴岳との鞍部のダケカンバ





ダケカンバの山道





袴岳のブナの美林を行く





袴岳山頂から妙高山を望む





モミジの森





林道寸描





[Canon EOS kiss DN/EF-S17-55mm IS USM ]