A.山歩き/2.山紀行/・・箱根・屏風山


箱根・屏風山から飛龍の滝



屏風山の森 (LUMIX DMC-LX3)

関所跡〜屏風山〜畑宿〜飛龍の滝〜鷹巣山〜小涌谷駅('09-04-18 歩く)
4/15、箱根にターンパイクを通って写真友達と撮影に行った。目的はマメザクラの恩賜公園であったが、その途中、大観山〜箱根峠付近で、満開のサンシュの群生する斜面に 、マメザクラとブナの大木が点在し、時折、ガスが流れてくる幻想的な風景と出会った。
箱根の旬の表情はすごい。この機会を逃してはと、翌日、ゆっくり写そうと一人で出かけた。 今度は箱根に行くのに箱根新道を通ったところ、巣雲川ICあたりで右の尾根の斜面が桜でピンクや白に染まっているのを見かけた。その見事さにまた感動。この時期、歩いて身近に見たいものだと 思い、一日おいて、まだ行ったことのない屏風山に登ってみることにした。コースは上の通りである。屏風山から畑宿まで下ってまた湯坂路まで登り返すのはきつそうであるが 湯坂路の桜を見たいと思ってそのコースとした。

小田原からバスで関所跡まで登る。今日の天気予報は晴れであるが、朝方は霧が残る、というのであった。 その通り宮の下あたりから霧である。関所跡バス停のガソリンスタンドの横から道標にしたがって上って行く。霧で煙る杉林やハコネダケの覆いかぶさるような道を行く。 折角の霧、風景がよかったら幻想的な写真が撮れると思うが、杉林やハコネダケの道に所々場違いなマメザクラが咲いている程度で冴えない。
20分弱緩やかに登ると、屏風のような階段の急登が始まる。 約10分ほど登ると緩やかになって、道標にしたがって左に曲がり、それから少し行って右にまわりこみながら緩やかに登って行く。そしていつの間にか下りだす。もう、屏風山は 過ぎたのだろうか、標識を見落としたのであろうか、とフト思う。さらに行くとハイキングのコース案内のある看板の立つところとなり、その現在地を見て、まだ屏風山を過ぎていないことを確認し納得する。
このあたりからアセビの木、マメザクラ、大木も増え、明るい自然林の山道となる。屏風山へ最後に登り返す階段の手前あたりはマメザクラが満開の広場であった。 階段を登りきってアセビのトンネルをくぐり、ツタの絡まった古木が現れると、看板がないと分からないような山頂に到着した。そこには "ここには北条氏の砦の跡がある"と記された看板が立っていた。こんな山深いところに良く作ったもんだと思う。
屏風山は大体こんなものかな、と思いながら下る。 霧が現実よりきれいに見せてくれているからかもしれないが、実は樹の好きな私にとってはこれからがクライマックスであった。ブナ、ヒメシャラ、アセビ、それから照葉樹の巨木の山道を下る。 特に照葉樹の巨木がすごい。霧の中からぬ〜と現れる、という感じである。しかし、照葉樹というのはどれでも同じように見えて何がなんだか区別が付かない。 シキミという木の花も初めてみた。それも名札が付いていたから分かっただけである。勉強不足を痛感する。
写す方も、巨木に圧倒され、24mmの広角でも収まりきれない。 必ずしも全体を写したからといって、そのスケール感が出るわけでないが、余り一部のみ切り取ると、また、スケール感を想像させない。 その加減が難しく、いつも苦心する。しかし、この苦心している時が一番楽しい。
やがて、コバイケソウ、エンレイソウなどの生えている涸沢に降り立つ。そして、自然林から杉の植林帯に入ると、間もなく、甘酒茶屋のある車道にでる。右に下り、甘酒茶屋の裏手のハイキングコースに入り、 畑宿へと下る。石畳道や車道脇、ヘヤピンカーブのショートカット道を経て畑宿に近づくと、前々日、箱根新道から見た桜の点在する山肌が見えてくる。桜は終盤に差し掛かったのかやや赤みがかった色に変わっている。 本当に桜の花の命は短かく、丁度いい時は本当に瞬間だなという感じがする。
畑宿の「夫婦桜」の案内看板がバス停付近に立っている。それに従って、夫婦桜へと舗装された道を登って行く。10分余登るとベンチ、テーブルのある夫婦桜に着く。 もう、夫婦桜は散り始めているが、その背後の斜面の桜はまだ健在である。ここのベンチから見ると、夫婦桜と左の桜の間が丁度額縁のようになっている。 その額には、山のスカイライン、その山肌に木々の新緑と桜がちりばめられて絵のように見える。のんびりといつまでも眺めていたい場所である。
夫婦桜の前の舗装道路を登って行くと、やがて、「芦の湯」方面への広い山道に入る。沢を渡って、瀬音を聞きながら登って行く。最初はだらだらであったが、階段が現れてから急登が続く。 山桜が左手に見え出すと、間もなく飛龍の滝に着く。沢にかかる橋を渡って滝つぼのあたりまで行って写真を写す。 なかなかの滝である。もう少し水量が多いときは迫力満点ではないかと思った。もう、昼であるが、軽く腹ごしらえして区切りのいい 湯坂路へと向う。この先は檜の植林帯の階段の道を延々と30分くらい登る退屈な道である。
やっと開放的な湯坂路に着いてホッとする。そして、ボケの咲く防火帯で遅い昼食とする。 昨年、4/19にここを歩いた時はマメザクラが満開であったが、今年はもう葉っぱが出て散りかけている。今年はやはり一週間ほど桜は早く咲いたようだ。 他の桜も、さまざまな山桜があってまだ満開のものもあるが、押しなべてみると満開が過ぎてしまったようである。 特に、鷹巣山では"眼下に、蛇行する尾根に沿って華やかに連なる山桜の風景"を期待してきたが、眼下の尾根の桜は標高が低くなるせいか少し色あせていた。
昨年は浅間山から千条の滝へ下ったが、展望も効かず見るべきものもない檜の植林帯の荒れた道で、余り良くなかったので、今回は浅間山の手前から千条の滝へ下るコースをとった。 これが正解であった。左側には桜の点在する早雲山の斜面がいつまでも見え、下りきると園地のような新緑の高木の森を小鳥のさえずりを聞きながら行く良いコースであった。 やがて、見覚えのある千条の滝に着き、桜の時期の箱根のハイキングを終えた。

( マップ・ガイド )
・1/25000地形図 電子国土ポータル 箱根屏風山付近
・昭文社 山と高原地図 「箱根」

(コースタイム)
関所跡7:40--屏風山9:00〜05--甘酒茶屋10:25--畑宿11:14--夫婦桜11:30〜35--飛龍の滝12:13〜33 --湯坂路入口13:06〜17--鷹巣山13:37--小涌谷分岐14:00--千条の滝14:43〜48--小涌谷駅15:06



屏風山山頂付近のマメザクラ




屏風山山頂付近の古木




屏風山山頂付近の森




キシミの花




畑宿付近の山肌




夫婦桜と後の山、右が夫婦桜




飛龍の滝下流の流れ




飛龍の滝




湯坂路、満開の桜も。。。




千条の滝への下りにて




千条の滝への下りにて、早雲山方面


LUMIX DMC-LX3 にて撮影

( END )