A.山歩き/2.山紀行/・・浅間山・湯の平
浅間山・湯の平




ー山門のような牙山とトーミの頭の岩峰の間を抜けるとそこには桃源郷のようなアヤメ咲く草原があったー

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浅間山・湯の平(04-07-13歩く)
浅間山は登山規制がされているし、富士山を小さくしたような山で遠くから眺めるものと思っていたので、特に、 これまで登ることに興味はなかった。しかし、最近、湯の平付近の草原にアヤメが咲く と知って不思議に思い、急遽晴れ間をみて行ってみた。そして行ってみて驚いた。 外輪山の黒斑山の下の湯の平は火山岩の砂礫の地と思っていたが、青々と茂った森と草原があった。

いつものように4時頃に自宅を出発して、東名→環八→関越→上信越道を通って佐久ICで降りる。そこから141号線に出て右折し、どこまでもどこまでも真っ直ぐ行くと浅間サンラインというのにぶつかる。これを左折して すこし行くとトンネルが二つあり、二つ目のトンネルの手前で左に登り、車坂峠に通じるチェリーパークラインに乗る。このルートは 初めてであったが簡単で近いしいいルートであった。
すこし登ると浅間山荘方面への標識が出てきて、右の林道に入ってゆく。この林道は使いもしない林道をせっせと舗装している 世の中なのに珍しくダート道である。昔懐かしい道を土埃を立てながら進んでゆくと佐久ICから30分で浅間山荘に到着した。
そこには登山者用の無料駐車場があり、身支度して出発する。最初は渓流沿いの林道を行く。道はウツボグサが多い。二回ほど渡った 橋から渓流を見下ろすと、鉄分の多い温泉が流れてきているのだろうか、川底は今まで余り見たことのないさび色である。 林道はカラマツ林からコナラ林へと緩やかに登って行く。35分も歩くと道幅が狭くなり山道になる。そこから7,8分行くと渓流に降りて一の鳥居に着く。 ここは斜面をトラバースして行く道と渓流沿いの不動の滝径由の道との分岐となっている。
我々は不動の滝径由の道を選んでんでゆく。コナラ、ミズナラの美しい道で、カラマツソウが多くゆらゆらと揺れている。 シシウドの花、クルマユリ、クガイソウ、シモツケ、などが咲き、写真を写しながらしばらく行くと 不動の滝となる。落差30m位はあるだろうか秋の紅葉の頃はよさそうである。ここより5分ほど急登すると一の鳥居から分かれたトラバース道と合わさり、二の鳥居に着く。 ここで小休止する。
二の鳥居から、山道はカラマツの大木の多いところとなり勾配もきつくなってくるが、シモツケ、 クルマユリ、ユウスゲなどがところどころに咲き慰めてくれる。二の鳥居から20分も登ると右手の樹間から牙山が迫って見えてくる。 さらに行くと、左上には荒々しいトーミの頭の岩稜がガスに見え隠れする。まるで岩山の広い門をくぐって行くようである。 しかし、それとは対照的に、行く山道の周りは黒木の点在する明るく開放的な草原となり、オダマキ、フウロウ、シモツケソウ、ユウスゲ、 カワラナデシコ、シシウド、アザミなどが咲いている。そこにはカモシカ平という標識がたっていた。
さらに進むと左にはトーミの頭、黒斑山と連なる荒々しい大岩壁が迫り、右には牙山が牙の形から軍艦の船体のような 形になって周りを圧倒するようになる。右に深い沢を見下ろしながらさらに進むと、硫黄の匂いがしてくる。 沢は浅間山荘付近の渓流と同じ様に赤褐色の錆色を呈してくねりながら下っている。まもなく山道は沢の源流に達し、沢を渡って登り返すと 火山館に着く。
火山館は避難所である。トイレ、水道もある。火山情報も掲示されていて、この日、立ち入ることの出来るのは賽の河原までと あった。今日は湯の平までと思ってきたが賽の河原まで行くことで、小休止の後出発する。 火山館の裏をすこし登ると平坦となり、アヤメ、フウロウの咲くシラビソであろうか針葉樹の点在する草原に出る。 この辺が湯の平のようである。さらに行くと右手奥にほぼ円形状にアヤメが群生する明るい広場が見られ、小鳥もさえずり、 まるで桃源郷である。左手を見るとこの桃源郷を取り囲むように荒々しい外輪山の岩壁が連なっている。人間はこのように 囲まれると安心するのであろうか、本当に心の休まる場所であった。
花や周りの山々を眺めながら行くとわずかで看板の立つ湯の平口に着く。 ここからトーミの頭への登山道が分岐している。巧みに登山道は作られているらしいが、一見してこんなところを登れるだろうか と思うほど迫力ある岩峰と斜面である。トーミの頭への登山道を見送って真っ直ぐ行くとやがてシラビソであろうか針葉樹林の中に入ってゆく。 視界は樹木にさいぎられて、林床のマイズルソウやゴゼンタチバナを愛でながら進む。
20分も歩くと前掛山とJバンドの分岐点に着く。そこにはロープが張られ、立ち入り禁止とある。ここも樹林の中、視界が効かない。 ここまで来て、引き返すのでは折角山に来ても欲求不満がたまるだけである。HPで読んだが、ここからすこし進むと木々もなくなり浅間山 が見えるところがあるとあったので、自己責任で少し進んでみることにする。 5分ほど登ると木々はなくなりケルンが立ち、目の前に浅間山(前掛山)大きく横たわっている。ここで昼飯とする。風が強く、雲が浅間山 独特の多数の筋状の溝のある山肌に影を作りながら次から次へと流れてゆく。
昼食を取りながら外輪山の方を眺めると Jバンドの方もなかなかよさそうなので、昼食の後、分岐点に戻り、Jバンドの方に行って見る。最初は樹林帯である。思いがけずシャクナ ゲが現れる。それも白いのと、ややピンクががかった二種類である。やがて樹林帯を抜けると、左手前方には蛇骨岳、仙人岳、鋸岳(Jバンド) の荒々しい連なりが展開し、右手には丸みを帯びた優しい浅間山が横たわっている。昼食の時は雨がぱらついていたがすっかり上がってすばらしい 眺めである。今回は大きな石のあるところまでとし、ゆっくりと周りの景色を眺めたり写真を写したりして至福の時を過ごす。
帰りはもと来た道をひたすら下って、浅間山荘の天狗温泉でさっぱりと汗を流し帰路についた。なお、驚いたことに 天狗温泉の湯は浅間山荘近くの渓流と同じように強烈な赤褐色の錆色であった。

  • (コースタイム)
    自宅3:52==関越練馬IC5:15==上里SA6:00〜30==佐久IC7:25==浅間山荘(P)8:00〜05--一の鳥居8:40--二の鳥居9:25 --火山館10:30〜45--前掛山・Jバンド分岐11:25--ケルン11:30〜12:00--Jバンド下大石12:20〜35--火山館13:20--二の鳥居14:00 --一の鳥居14:20--浅間山荘(P)14:50

  • (地図)
    ・昭文社 山と高原地図 「浅間山・軽井沢」2004年度版