二 ッ 山



二ッ山山頂付近の縞枯れ


二ッ山('05-09-01歩く)
二ッ山は鉢伏山の奥の山である。以前(2001-6-23)、レンゲツツジを見ながら鉢伏山に登ったが、時間があったので三峰山の 方に歩き横川山まで行ったことがあった。その先の二ッ山に連なる尾根にも遠くレンゲツツジが咲いているのが見えていたが、 道標もなくその先は不明瞭であり引き返した。いつか行って見たいものだと思っていた。 最近、二ッ山へ登った情報もインターネットで見かけた。だいぶ二ッ山へも歩きやすくなったのかも知れないと思い、初秋の鉢伏山から二ッ山 にかけてどんな花が咲いているのだろうか、行ってみることにする。
勝手知った高ボッチへの林道を登って行く。 草競馬場を過ぎて牧場に着く。車を止めて見るが、この時期はもう牛の放牧はしていないのであろうか牛は見えない。北アルプスも見え るが、雪のすっかり消えた北アルプスの山並みは写真を写す気にもならない。すぐ、鉢伏山へと向う。夏休みも過ぎ、夏の花も終わったせいか 閑散としている。鉢伏山荘の前の駐車場には車は一台も駐車していない。
風が強く、ガスが流れてきては鉢伏山が見え隠れする。 すっかり薄褐色に変わり秋を思わせる草地の中の広い遊歩道を行く。すぐ前鉢伏山・扉温泉・鉢伏山分岐になる。前鉢伏山には登ったことは ないので時間があったら帰り寄ることにして、右へ鉢伏山の方に向う。草地にはブルーの花が見える。トリカブトのようである。 そのほかにヤマハハコ、アキノキリンソウ、少しであるがマツムシソウが咲いている。緩やかに右にカーブしながら上って行くと サイロ風の山荘が見えてくる。鉢伏山の草原にマッチしてなかなか牧歌的でいい風景である。
今度は左にカーブしながら広い小石の道を緩やかに登って行く。まもなく、鉢伏山と三峰山・二ッ山の分岐となり、白地に黒で書かれた 真新しい道標が立っている。この分だと道標も整備されていて、今回は、二ッ山まで行けそうな予感がする。
三峰山・二ッ山方面へ 左へ林道のような広い道を行く。道は鉢伏山の斜面を右に見ながらくねくねと巻いてゆく。右の道端の草地にはリンドウが紫色のつぼみを つけている。左を見ると、やや黄葉しかけたレンゲツツジの点在する斜面が はるかに下まで続き、そして谷を隔てた向こうに、船体のような美ヶ原の溶岩台地が横たわり、その上に王ガ頭のアンテナ群が見える。
やがて鉢伏山の斜面とも離れ、湿地帯のような草地を前方の尾根を目指して行く。道は左下に笹の原にレンゲツツジの点在する斜面を見下ろしな がらの尾根道となり、見晴らしは極めてよく、船体のような美ヶ原を左に友連れにしながら行く。
鉢伏山分岐から20分弱歩くと、 右手前方に見覚えのある横川山のなだらかなピークが見えてくる。以前来た時は自然に尾根道なりにたどり、横川山に出てしまった。今回はその手前に 二ッ山方向の道標が立ち(A)、左下に導いている。トラバース気味に下ってゆくと、これから下る鞍部に一筋の道が前面の大きな前二ッ山に 向って伸びているのが見える。そして左肩越遠く二ッ山が覗いている。
下り着いた笹の原の美しい鞍部からカラマツの疎林を登り返して行く。 傾斜がゆるむとススキが多くなり、アキアカネが飛び交っている。左手を見るとススキの向こうに手に取れるような 近さに、高い空の下、美ヶ原が見える。もう山はすっかり秋の風情である。やがて数本の木を交差させて立てかけた1842mの標高点の小ピークに達する。 ここが前二ッ山である。
左前面には、近づいてクッキリしてきた二ッ山が横たわり、右前面の伸びやかな笹の原の窪地には、一筋の道がくねりながら伸び、少し上って 前二ッ山の尾根に消えていっている。尾根にたどり着くと、右岡谷区、左二ッ山の道標がある(B)。道標に従って左に行くと、カラマツ林の 境界に沿った笹の原の急降下の道となる。帰りが思いやられると思いながら約80m位下る。
鞍部は明るい草地でレンゲツツジも多い。 一息入れてカラマツ林の道を登り返し、傾斜もゆるんでくるとダケカンバの木などが多くなり、もう山頂かと思う。しかし、標識はない。山頂はさらに10分弱 ゆるやかに下って登り返したところであった。その山頂は広場になっていて、トリカブトの花が咲き、真新しい道標と古い標識が立ち、二ッ山と書かれている。
山頂の南側は笹の原となり、シラビソであろうか縞枯れとなって枯れ木が林立している。その笹の原には南の方角に 踏み跡が伸びている。地図からしてそちらのほうに三角点があるかもしれないと、縞枯れの写真を写しながら行って見る。そうすると、少し切り開かれた 笹の広場に赤い標柱と三角点があった。しかし、二ッ山という標識はなかった。
山頂で縞枯れやアキアカネの写真を写したりしながら小休止した後、元来た道を引き返す。帰りに前二ッ山と横川山を二つも越えなければならないのは つらい。帰りくらいはのんびりとルンルン気分で下りたいものであるが、車利用の山歩きの宿命、我慢して戻る。前鉢伏山・扉温泉分岐に 着いて、まだ、13:00前である。片道10分とあるので前鉢伏山に行ってみることにする。ほとんど平坦で歩くのは楽であるが、起伏がない代わり景色の変化がない。 仕方ないのでヤマハハコ、カワラナデシコ、アキノキリンソウなどの草原の花を写しながら行く。花の種類も少なく、まもなく一通り写し終わり、写すものが ない、そうそうに三角点を確認して引き上げる。
二ッ山は花もヤマハハコ、トリカブトくらいで、何も取り得のない山のように思えるが、美ヶ原や霧が峰と似通って草原の山で適当に起伏があり見晴らし がよく歩いているだけで清々しくなる不思議な山であった。6月下旬ころの、連なる尾根を真っ赤に彩るレンゲツツジの花の咲くころは最高であると思う。 また、山頂付近の縞枯れも趣があって、写真の被写体としてはいいところであった。

●コースタイム
自宅4:12==相模湖IC5:22==双葉SA6:10〜35==岡谷IC7:25==高ボッチ牧場8:11==鉢伏山荘(P)8:22〜30--前鉢伏山・扉温泉分岐8:34-- 鉢伏山・三峰山/二ッ山分岐8:47--横川山手前左下降点(A)9:04--1842mピーク(前二ッ山)9:38--(B)分岐9:43--鞍部9:53--二ッ山手前小ピーク 10:10--二ッ山10:19〜41--横川山手前左下降点(A)12:06〜22(昼食)--鉢伏山・三峰山/二ッ山分岐12:40--前鉢伏山・扉温泉分岐12:53-- 前鉢伏山13:09--前鉢伏山・扉温泉分岐13:23--鉢伏山荘(P)13:26

●地図:
二ッ山付近の地形図(1/25000地形図)


サイロ風鉢伏山荘




美ヶ原方向を望む




横川山下から前二ッ山と二ッ山を望む




二ッ山から振り返り前二ッ山と横川山を望む




二ッ山山頂




二ッ山のアキアカネ




二ッ山のトリカブト